ミズさんの魅力にせまる 生の舞台より〜

雪組公演 「ソロモンの指輪」「マリポーサの花」 

  

「ソロモンの指輪」「マリポーサの花」 2008年、年末の今ごろになって、ふと、思い立って感想ページをupしようと思ったわけは、ばたばたして過ごしたこの1年を振り返ってみたとき、この2作品がこれまでのタカラヅカ観劇の中でも特に心を揺さぶられた大好きなお芝居とショーだったことを思い出したからです。こんな素晴らしい2作品を大劇場でミズさんで観ることが出来て本当に幸せでした。ブログの記事を一部修正してこちらに載せます。

「ソロモンの指輪」
お芝居、ショーともに、どちらもずっしり中身があって重いので、知人の中にはショーはミロワールのように盛り上がれるタイプのほうがよかったという人もいますし、そうかもしれないとも思いもしましたが、今思うのは、これでよかった、いえ、これがよかったということです。とても好きなショーです。毎回、深く考えず、美しいもの激しいもの、豪華なもの、優雅なもの、ゆめゆめしいもの、切ないものなどなど舞台から迫ってくる思いに浸りきって楽しみました。
独特のお化粧、衣装が豪華、ダンスが魅力的、歌も好き、セットも面白くてシンプルでいて豪華。次々にとぎれなく変化していく舞台。あちらこちらでいろんな人たちが繰り広げるドラマ。ソロモンの指輪のお話、わかったようで分からないような夢のお話をなんとなく楽しむ。かつて見た、ちょっと怖い?童話の世界のいろんなページが次々と繰り広げられるような。その楽しみ方は見方によってまさに、さまざまです。

残念なことに、DVDでは、その楽しさの切り取られた一部しか見れません。もっとも、生で観ても座る席によってその見え方は大きく違い、楽しみ方も異なりましたが。前方席センター(ラッキーにも貸切公演で最前列が当たったのです)では、豪華でいろんな人たちの細かな表情等の情報を一度に受け取れてそれはそれは楽しかったです。特にジャングルの場面など。だけど、2階B席センターからの全体の眺めの美しいことといったら、それも、何度でも観たいものでした。特に海のシーンは。
どこの席に座ってもオペラグラスでミズさんを見たい、目が離せないところというのもあるもので・・・
幕開きは豪華な黒い衣装をまとったミズさんに注目したい誘惑に勝てず、極楽鳥のコマちゃんとせしるちゃんを見落とすこと数知れず。でも、何度かはオペラをはずして全体を見ているのですから、見たいと思って見ているはずなんですが、動きや表情など、はっきりとは脳裏にやきついてはいません。後ろにも大勢いますしね。目が忙しい。 指輪の上に立つ、豪華黒燕尾のミズさんには、いつも心の葛藤がつきまといました。ミズさんをずっとオペラで見たい!と。でも、下のもそもそした極楽鳥も見たいし、舞台手前も見たいし、セットの動きも見たい。オペラで見ては全体を見、オペラで見ては全体を見、としてはいるけれども、いっぱい見落としているとでもいいましょうか。一方をしっかり見れば、一方を見落とすというのがやまほどある作品です。ある日はこっちを見ていたら、ある日はこっちを見落とす。
指輪の上に立つ豪華な黒燕尾のミズさんのその妖しく高みから支配する存在感から目が離せませんでした。何度も観ましたがほとんどオペラを向けていました。
音楽も、作品の魅力と言う意味でとても大きなウエイトを占めます。どの曲もとても好きです。主題歌も聴けば聞くほど魅力的です。つまりは実況CDを聞くだけでも惹かれるのです。
第6場。祝祭の場面は、前方席のほうが細かいところを一度に把握できてその異様な明るさ、にぎやかさが見えます。後方席からではオペラでミズさんをおい勝ちになると、そういったものを見落としていたように思います。
そして、ごくごく短いミズさん一人の第7場はまたなんとも魅力的でいて切なかったように思います。うちに閉じこめた魅力とでも言いましょうか。せり下がりの最後まで、客席から遠いところ、自分の内なるものを見ている妖しく美しい白地に赤の衣装をまとった艶めかしいミズさんを目で追っていました。

「マリポーサの花」
とある南の小国の物語。何度も政変を繰り返し、逃げ惑い、人々は不満を鬱積させていた。高級クラブの経営者ネロ(ミズさん)はかつて、エスコバル(ゆみこさん)とともに、軍の特殊部隊にいて現政権樹立のために尽力したのだが、結果は、大国の後ろ盾によって擁立された軍事政権下で搾取や弾圧そして貧困。力では世界は変わらないとさとったネロは密輸で資金を調達して、病院や学校を建設する等、裏の家業、自身のできることで、祖国に利益をもたらそうと取り組んでいた。

現政権樹立の功労者でもあるのだから、その中でのほほんと暮らせることもできたはずだけど、そうではなく、祖国のために自分に出来ることをするという強い思いを持ち続けているネロは、政治犯を海外にに逃がしたりもしていた。そんなネロを見てエスコバルはあぶないと忠告をする。でも、その時は「やばくなったら表の顔で生きるよ」と明るくネロ。
外国資本に屈することなくプランテーションを切り盛りしているイスマヨール(まやさん)と手を組み、裏の事業を行っていたのだが、その娘セリア(となみちゃん)と大学生の息子レナリス(桂ちゃん)がクラブでダンサーと歌手として働いていた。大統領サルディバル(ハマコさん)の誕生日パーティがネロのクラブで行われていた。そこで、サルディバルにマイアミの大富豪、フェルッティ氏(きたろうくん)を紹介されるのだが、その時、大統領が銃で狙われた。幸い、エスコバルが阻止してことなきを得たのだが、銃を持ち込んだのはリナレスだった。フェルッティ氏がらみと、リナレスがらみの二つのやっかいな出来事が同時に進行し始める。

フェルッティ氏は「裏の商売の話をしよう」と話を持ちかけてくる。なんのことかさっぱり分からないととぼけるネロ。フェルッティ氏がその場を離れるとすかさずやってくるエスコバル。
「正体を調べよう。手を打つのはそれからだ」と頼もしい仲間です。

そして、銃で狙われるサルディバル。 そこに記者だと名乗ってロジャー(かなめちゃん)登場。エスコバルに話を聞きたいと追いかけていく。

ネロは、リナレスを追いかけてクラブの裏口で拳銃の件から話をする。
リナレスは、「たとえどんな犠牲を払おうとも、この現状を放っておくことができない」と熱い思いを抑えつつも語る。ネロは、「君が無謀なことをするのを放っては置けない、君らのやり方で国民の支持を得られるのか?それがなければどんな闘争もむなしいだけだ」と話をしようとするのだけれども、自分の理想をただひたすらに述べて去るリナレス。

一方、フェルッティについて調べていたエスコバル。ネロとカフェで落ち合って・・・
「マイアミを仕切っているマフィアだ」
そして、リナレスの件にも話が及ぶ。
エスコバルは、「リナレスもいつまで無事にいられるかわからない・・・自分達にできることはない」とすっぱり切り捨てるのだけれども、
ネロは、「チャモロが帰国するらしい」とリナレスから聞いたことを話す。
エスコバルは「ありえない、CIAに見張られているはずだ。帰国した途端逮捕されるのがおちだ。」
とそんなことに拘るなというスタンスから二人の過去の話へ。

ネロは「チャモロが戻れば、今はバラバラな勢力が組織化されるかもしれない」
二人はかつて周到に準備して戦ったのに今の状態がこれ・・・
見切りをつけたんだろというエスコバル。
見て見ぬふりはできないというネロ。

どちらの気持ちもよく分かります。
リナレスがなげかけた波紋に対して、エスコバルは
「ついてきたたことを後悔はしていないが、この先は分からないぞ」
と言い、ネロは、
「それでいいじゃないか、お前は自分の心配をしろよ」
と言う。そして、エスコバル
「あんたに言われたくないな。あんたこそ、もうちょっと自分のことを心配したらどうだ」
この二人のやりとりが、その後の二人の行動を暗示しています。
ネロは自分のことより、みんなの幸せのために出来ることをしなければという思いが強い。
エスコバルは、自分のスタンスもあるのだけれども、ネロのその思いに共感し行動する。

二人が話しているところに、ロジャーが割って入ってきます。ロジャーがCIAである、知りたがっているのはチャモロの情報と気付く二人。

フェロッテイ(マフィア)への対策のためにイスマヨール邸を訪れるネロ。
ネロの身に危険が及ぶのではと気遣うイスマヨール。
拳銃事件の件について、イスマヨールは、「連中の幼稚な暴力には愛想がつきた。政府に抑圧の口実を与えるだけだ」とリナレスたちの行動をリナレスがからんでいるとは知らずに大人の立場の考えをこぼします。
イスマヨールが農場を見回りに行き、セリアがリナレスが帰ってないという相談をネロにもちかける。
セリアはリナレスのことに全く気がつかなかったことで自分をせめるのだけれども、ネロは、
「自分をせめるのはよくない。仮に気付いていても何かできたとは限らないだろう」
となぐさめる。そう、そう思う出来事ってありますよね。
また、セリアは、
「どうしてなんだろう。世界には、安全で平和に暮らしている人たちもいるはずなのに」
と、それに対してネロは
「けどその国も、ずっとそうだったわけじゃない。それなりの犠牲を払って勝ち取ってきたんだ。俺達はまだその途中にいるんだよ」

この言葉は胸に響きます。今、平和かもしれない、でも、それだってみんなが意識して守っていかなければいつどんな風に変わってしまうか分からないと思います。
ネロのセリアに対しての言葉、
「たとえどうであれ、必ず良かったと思える日が来る」
セリアを励ましつつ、その日に向かってやれることをするんだという思いが伝わってきます。

そして、このシーンのあとの銀橋のネロの歌が胸に沁みます。

ほんのささやかな願いとか 悲しませたくない人とか 何故守ることも出来ないのだろう それも定めとは思いたくはない 拭いきれない虚しさなど 人の世について回る影・・・

の歌の後、ネロは路でフェルッティの子分二人に囲まれます。そして、フェルッティのもとへ。
ネロの仕事をのっとろうとネロをおどすフェルッティ。
だ、け、ど・・・
ネロが一枚上手です。(エスコバルのおかげですけどね。)
ネロの迫力、なかなかの見ものです。マフィアがかわいくみえるのも面白い。
夜中に大統領官邸に向かうネロとエスコバル。
フェルッティと名乗って、乗り込む二人。
ネロは、サルディバルにこれ以上フェルッティをのさばらせるなと賄賂の記録を元に脅しをかけます。
またまたなかなかの迫力のネロ。その近くに出来る男の雰囲気を漂わせてスマートに佇むエスコバル。

この件を終えて、エスコバルは、
「悪い夢みたで終わらないかな」
ネロ「まさか」
エスコバル「これで片付けばいいが」

エスコバルは穏便に済むことを願い、平穏な日を求めているのでしょうね。
そんなエスコバルにネロはリナレスの居所を探してくれと頼みます。
それに対しエスコバルは「もう、そんなことに人生を費やしたくない。何のために生き残ったんだ。俺もあんたも」と。
ネロは「俺だって、もう同じ絶望を味わいたくはないよ。(中略)みすみす罠に落ちるのを黙って見ちゃいられない。出来ることがあるのに躊躇したくない」
という思いを訴えます。
エスコバルは、その思いに「これが最後だ」と同意して手伝います。

リナレスにあう、ネロ。だけど、ネロのチャムロに帰国を思いとどまらせたいという思いはリナレスに受け入れられずリナレスは去っていく。
「命は理屈で捨てていいものじゃないわ」というセリアの悲しみ、嘆きをなぐさめるネロ。
そして、自分がかつて軍にいたことなどを話て自分にしかできないことがあると何かに突き動かされるように強く言うネロ。

セリアは自分が知らなかったネロの心の一面を知り、苦しい思いを歌で表します。

大学のキャンパスでは、学生たちが集会をしている。
そこに、警官がきて、リナレスを逮捕していく。
それを見ているロジャー。これまでの軽い記者の雰囲気とはうってかわった冷たく威圧的な雰囲気を漂わせて。

一方、ネロのクラブに無人の車が突っ込む。そのことを知った、エスコバルは店をゴンザレスに任せていそいでネロのもとへ。ネロが狙われるとぴんときたのでしょうね。さすが、切れ者エスコバル。

ホテルの前でネロはフェルッティの子分に襲われるが、取り押さえる。そこに、かけつけるエスコバル。(ものすごく頼りになる友人ですね)

ホテルで状況を語り合うネロとエスコバルだけど、
大急ぎで動きつつ、ネロ「リナレスが生きている間が勝負だ」
に対して、エスコバルは冷静に
「リナレスとチャモロでは意味が違うぞ。そこまでする価値があるのか」
突っ込まれて気がつくネロ。

セリアの弟でなければ同じことをするとは限らないからよく考えてくれと言って去ろうとするネロにエスコバルは自分がネロの部下だったと話しかけ・・・それをさえぎるようにネロの言う、
「友達だよ、たった一人だけの、俺の」
の言葉がとても胸に響きます。本当はついてきて欲しいのだろうけど、それは言えないネロ。
これまでの二人のツーカーの行動を見てきたので、ここでの覚悟はつらい。
だけど、エスコバルの、全てを分かっていいよといった思いのこもった、
「そうか、じゃ、行けよ」
ネロの「うん」
からこの二人の関係がよりしっかりと伝わってきます。

この後のエスコバルの自分の生き方の歌がまた胸に響きます。

「俺は生きて何を、この世界の何を、変えることがあるだろう・・・・」
「俺は生きて幾度人に巡り会えるのか・・・」

自分のことも、ふと考えさせられますね。

ロジャーとフェルッティを使って取引するネロ。そばにはエスコバル。
リナレスが生きているうちに助け出すことができてほっとするネロ。
でも、それもつかの間。ラジオからはチャモロが明朝かえってくると聞こえてきます。

ネロが戦いに行くことを察知したセリアは行かないでとネロにすがります。
セリアは二人で生きればいい。地の果てでもいいと、行って欲しくないことを訴えるのですが・・・
この思いとってもよく分かります。そばにいたい、行って欲しくない、もう、あえないかも知れない、死んでしまうかもしれない、生きていても帰ってこれない・・・などなどめまぐるしくいろんな思いがセリアの頭に浮かんだことでしょう。
でも、ネロは言うのです。
「そんなところには絶対行かせない。もっと素晴らしい世界で俺は君を愛したい。だから行くんだ。」
この言葉に衝撃を受けました。
地の果て、そこでも愛はこわれないのか?苦しいしいたげられた状況でも貫けるものとは限りません。セリアのために、祖国のために、ネロが今出来ることを実行して、素晴らしい世界で幸せになりたいという思いが胸に響きます。そして、自分だけが幸せになると言う道を選べなかったのだとも思えました。

「必ず戻る。ここが祖国だ。俺と君の」の言葉がとてもせつないです。
セリアのいつ?という問いかけに、生きている証に毎月この日にこの花を送るといって生けてあったマリポーサの花を一本セリアに渡し、去るネロ。

戦いに行くネロをエスコバルが待ち受けています。
エスコバル「戦場ではあらゆる死を覚悟しろ、そう叩き込まれた」
ネロ「生き残るために」
エスコバル「そうだ」
この台詞があとの場面でよみがえります。
2度目以降はもう、この台詞を聞いただけで辛い。

チャモロが上陸し、ネロたちと合流し、ネロたちが残って戦い、チャモロ他数名を逃しつつ戦うシーンは圧巻です。
ネロ、エスコバルはチャモロを逃がすという目的を果たしました。
でも、その時、エスコバルとの別れが・・・
エスコバル「あらゆる死ってなんだ。部下の死もそのうちだろう」
ネロ「お前は部下なんかじゃない。俺のたった一人の友達だ・・・・・」

軍で叩き込まれたはずのことだけど、そんなことはどこかに言ってしまって取り乱すネロに涙、
エスコバルの「このまま死なせるな。行くところを見てから死にたい・・・」などなどの言葉の数々にようやく立ち去るネロ。
チャモロの声、エスコバルの歌・・・すべてに涙。

場面は変わり、イスマヨール邸。
リナレスもずいぶん回復し、おだやかな日常の中、どことなく気持ちの沈んだセリアに届く1輪のマリポーサの花。何かしら?と開けてみるセリアがその箱の中身を見たとき・・・
ネロが生きているという喜びをかみしめた表情にまたまた涙でした。よかったと。でも、また、それとは別に、ネロのセリアへの愛、広い意味での愛(リナレスを助けたのもセリアへの愛ゆえなど)、それまでのネロの日常と今の孤独を思って涙した日もありました。

最後のネロのモノローグ
「エスコバルのためにも俺は生きよう。そして、セリア。いつの日か必ず君に会いに行く。変わらぬ思いと、マリポーサの花を携えて」
にまたまた涙でした。

心に響く台詞がいっぱいのこの作品、好きです。
架空の国のお話ということですが、もしこれがキューバなら、3,4年後には再会できるのかな?
ラストのショーの白い衣装の二人のデュエットダンスを見ながら、再会できたのかな?それとも、天国でしか会えないのかな?とかその日によっていろいろ感じていました。
主題歌も素敵で歌を聴いただけでもうるうるきたりします。
生きていくうえで何を大切にするのか?考えさせられました。

最後に一言、ミズさんは、とても自然に大人の男らしくかっこよく佇んでられました。
ゆみこさんのエスコバルとのやりとりも本当に自然で、目の前にその世界が広がりました。





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