あらかじめ用意していた生理用ショーツと
夜用ナプキンを看護婦さんに渡していたのでそれを履かされ
最初に入った布団の敷いてある和室に寝かされた。
さっき寝ていた人はいなかった。
病室に行ったのか、家に帰ったのか、少し気になった。
「何かあったらこのボタン押してください」
といわれ一人になった。
頭の上には水子供養のお札が額に入って壁に立てかけてあった。
やっぱり中絶の人のための手術室だったんだなぁと思うと
なんだか悔しかった・・・
一人になったとたん涙がどっと出てきた。
さっきまでおなかにいたのになぁ・・・
もういないんだなぁ・・・
そう思うと悲しくて申し訳なくて泣くしかできなかった。
声を上げて泣きたかった。
しばらくするとさっき手術中手を握ってくれていた看護婦さんが様子を見に来てくれた。
「大丈夫?痛かったら痛いっていってよかったんだよ」
といわれた。
手術直後顔面蒼白だったらしい。
お昼ごはんを食べて帰っていいよといわれた。
早く帰りたかった。
私が寝かされていた部屋は外来の診察室の隣に位置する部屋だったので
妊婦検診にくる妊婦さんのおなかの赤ちゃんの心音が丸聞こえだった。
ほかの人の赤ちゃんは元気なのに、なんでうちの子は???
そんな思いでいっぱいだった。
それから隣の手術室から手術に使った器具を片付けている音が聞こえてきた。
ガラガラという金属がぶつかる音・・・
水で何かを流している音・・・
・・・久遠を水道で流して捨ててるんだ・・・
そう思うと気が狂いそうだった。
手術して1時間くらい経ったころだろうか。
永遠を小児科へ連れて行って帰ってきた旦那が会いにきた。
永遠は車の中で眠っているという。
「なんで麻酔しないでいいっていったの?」
と旦那は聞いてきた。
「永遠産んだときも麻酔しなかったからね・・・」
と答えていた。
永遠は普通分娩で出産した。
久遠のことも本当ならそうやって産んであげたかった。
でも出来なかった。
せめて陣痛ではないけれど
お姉ちゃんのように痛みと共にあの子を出してあげたかったのかもしれない。
ただそれは永遠の別れであったけど・・・
その頃おっぱいも張ってきた。
まるで久遠に飲ませるためのおっぱいのように・・・
後でわかったのだが胎盤ができるとおっぱいは止まるような仕組みになっているらしい。
医学的にはただ単に手術で子宮の中の胎盤を取り除いたので
おっぱいが張ってきただけだったのだが
何もかもが悲しかった。
永遠の断乳も間に合わなかった。
断乳できなかったせいだったのかなぁ・・・そんなことも考えていた。
永遠がおきると仕方ないので旦那が車に戻りまた一人になった。
とても長い時間一人でいた気がする。
その後食事が運ばれてきて一人で食事をした。
その病院の食事はおいしいと聞いていたが
バターロールにジャムを塗ったもの2つとコーヒー一杯だけだった。
昨日の夕飯以来、何も食べてなかったのでそれだけで足りなかった・・・(笑)
食後帰っていいということだったので
2時前には会計を済ませ家に帰った。