◆ 人の動きと会話の関係  part 2
広々とした空間に高ーい天井(まさしく吹き抜け)そして窓から降り注ぐ陽の光・・・。
贅沢な空間を手にいれた満足感にひたるひと時・・・。
これが吹き抜けが演じる一般的な役割といったところ。

しかし「わたし達の家」では、この吹き抜けをちょっと違った、もっと生活感のあるものにかえます。前ページの観点に戻って、こんどは断面図で考えてみます。
<B図>
この図をじっと見つめてもう一度吹き抜けの役割を考え直してみます。
1Fキッチンと2F子供の部屋とはどんなふうにつながれたらよいのでしょうか?
普通に作られている子供部屋の広さは、一般的に6帖から8帖。
この中に勉強机、ベッド、クローゼットといったものがおかれます。
この部屋がもつ役割はなんでしょう?「子供部屋」あるいは「勉強部屋」という部屋は、子供にとっては、なにかと口うるさい親から逃れるため?親は勉強部屋へ子供を入れてしまえば、なんとなく親としての責務を果たした安堵感が得られるため?各自がそれぞれ自分のいるべきとされる部屋で過ごす一日・・・。シーンとした家の中。

 この静けさはとても不自然で、空虚なものに感じます。

<街の図書館に行きましょう。>


そこには、多勢の人が出入りしている中、勉強している人、借りる本を選ぶ人、走り回る子供をたしなめる親、郷土史を手に取るお年より。静かな場所だけど、決してシーンとなんかしてません。多勢の人の息使い、咳払い、歩き回る音、あたりを気使いながらのヒソヒソ会話。そういった音が入り混じり、空間の息吹となって人々を包み込んでいます。
わたし達親は、子供にとって勉強する目的や意味、存在価値を改めて考え直す必要があるように思います。
受験勉強というものが、子供がものを学ぶ姿を根本的に変え、家族の暮らしを息のつまるようなものに変えてしまったのです。

 そこで、勉強机をこども部屋から出してしまいましょう。
<作例 2階の間取り>
やがて思春期を迎えるこどもにとって1人でものを考える場所も必要です。
こどもの部屋には、クローク、ベッドの他日記が書ける程度の小さな机と本棚をつけてみました。 
<B図>の吹き抜けでつながる「?の部屋」では、宿題でも、マンガでも、プラモデルでも、なんでもいいじゃないですか。
下で食事の支度をしているお母さんが、こどもがそこにいる事を気配で感じることができて、なんとなくだけど確かにつながっている、という意識は小さな家族を感じる幸せにつながります。

これまでのように、1階と2階とを階段という通路だけでつなぎとめ、そのうえ子供部屋をすべてがそろったりっぱな部屋にしてしまえば部屋は、孤立した空間となり、子供の人数分がろうかに沿って横一列に並べられた家はもう家というよりは、トイレ共用のアパートに近いものになってしまう。


 こども部屋から勉強机をスペースと一緒に外へ出すと、子供部屋はこれまでの広い勉強部屋から、必要最小限の小さな部屋になり、この部屋の役割は、これまでの「こどもの城」みたいなものから、こんどは、自分自身の身の回りの事を、自分できちんとできるようになるための責任が与えられた「生活の基本を身に付ける場所」となります。
 そして外に出てきた机と本棚が置かれたスペースは、吹き抜けを通してお互いの気配を正直に伝え合い、勉強していようが、遊んでいようが、そんな事よりももっと大切にしたい、家族が一緒であるという何かほっとする安らかな落ち着きが得られます。


 こうして出来た「?の部屋」に、わたし達は「ミニ図書室」という部屋名をつけました。




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