「青が散る」 宮本輝 著
十数年ぶりに読み直してみた。当時の自分の女性に対する接し方、ものの考え方、価値観など、いろいろなものを思い出すことができた。異性に対するあこがれの気持ち、同性をうらやむ気持ちなど、ちょっと忘れていたことがたくさんあるということに気がついた。結婚をし、子供が生まれて、いいオヤジになってくると、ちょっとくらい見栄えのよい女の子を見ても、気後れすることもなく、どんなこと考えているんだろうとか、どんな性格をしているんだろうとか、客観的な観察をすることができる。あのころはこうはいかなかった。必要以上に緊張したり、尻込みしたりしていた。今くらい人間ができていれば、大学の頃もう少し、もてたのかもしれないなどと、くだらないことを考えたりする。女を女としてしか見ることができなくて、その女がどんなものかわからなくて、勝手にとてつもなく大きなもののように感じている自分がいた。そういうことをこの作品を読んで、思い出した。この作品を読んで、自分がどう変わったかがよくわかるようになった。自分は今、女も男も、まず人間というくくりで見ることができるようになった。そしてその人間の中で、どういう男か、どういう女かと見ることができるようになった。男と女を並列の、同じ土俵で見ることができるようになったのだ。これは人間として成長したということなのか、あるいは年を取ったということなのか、よろこんでいいことなのか、悲しいことなのかよくわからない。