「出産」
子宮口が早くから開いていたので、もしかしら予定日より早まるかもね〜なんて言われてたのに、予定日を6日も過ぎた出産となった。しかしながら初産としてはかなりスピーディーな安産だった模様。入院していた人にも「電話をしていたと思ったら次の瞬間にはもう産まれてた」ってぐらい順調だったらしい。安産の的と言われる体重オーバーもかなりなものだったのにね〜。おかげで入院中は私だけおやつ抜きメニューだった。
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いつものようにトイレに行きたくて目が覚める。しかしながらちと様子が違う。あれ?もしかして私ちょっとちびっちゃった?と不安を抱きつつトイレに駆け込む。パンツは水のようなものが濡れている。臭いを嗅いでみる。(人間はこういうときは野生児に戻るものだ)アンモニア臭はしない。ピンときた。これは破水だ!
あ〜でもまだ眠い、もう一度眠ろうか・・・どうしようか・・・ふと欲望との葛藤にかられる。しかし、とりあえず病院に電話をしようと思い立ち、連絡をしてみた。寝起きとはいえ案外冷静。マニュアル通り、診察券の番号やら名前やら週数やら・・・看護婦さんに伝える。すると「なるべく横になって急いで病院へ来てください」とのこと。至急タクシーを呼ぶ。以前から用意しておいた凍らせていたドリンクと入院バッグを持って病院へ・・・。
待合室にはたくさんの人がいたがあまり待つことはなくすぐ診察。そのまま入院。本人的には具合は悪くないのに、車椅子に乗せられて病室まで移動した。なんだか決まりが悪くてうつむくしかなかった。
私が病室に入ったのがちょうどお昼どきだったらしく、昼食が運ばれてきた。赤ちゃんの心拍やらお腹の張り具合を測る機械をつけたまま昼食を頂く。しかし、異常にトイレに行きたくなったので、ご飯は途中で食べるのを諦めた。しかしながらこの時点でそこそこ陣痛はきていたらしく「陣痛が来てても食べるか〜」と男前の女医さんに笑われた。
入院してからすぐ機械をつけられてしまったので、まだ実家の母やら旦那にやら連絡をできずにいた。病院へ来る途中に電話をしようと思ったけど、そんなにすぐに産まれる訳じゃないだろうし、もしかして入まだまだだよ〜って自宅に帰されることもあるかもしれないし・・・と躊躇して電話をしないでいたのだ。
昼食後病室脇の公衆電話から連絡。
母が2時ぐらいの登場。そのあたりからもうかなり陣痛はきつくなっており、しゃべれる状態じゃなかった。痛みをひとことで例えるならば”激しい下痢をしているのに、うんちをしてはいけない状態”って感じ。お腹を締めつけるような痛みがくると、うぉ〜ふんばりてぇ〜!!!と思うんだけど、そこをガマンするというのがツライのだ。とにかくこの繰り返しを続ける。ま、考えてみれば、うんこったって、それは3500gもあるんだから大変さ。ベッドの柵を握りながら、ひたすらこらえる。4時頃王様登場。うんちくん(王子)が出たがったときに、尻の穴の上のほうをおさえると、ちょっぴり楽になるのでそこをぐりぐり押してもらう。(王様は看護婦さんに伝授してもらった)しかし、肝心のピンポイントがずれたりするので、無言で王様の手を取り、自分のケツの当たりに手を移動させる。王様は頑張ってひたすらプッシュを繰り返した。
病院から配布されたゆるゆるの紙パンツと手術着のような上着は、当然のごとく私のからだにおとなしくまとわりついていることなどなく、パンツはだらしなくずれるわ、上着ははだけるわ・・・布団は蹴り飛ばすわで、母が「あらあら」と何度か布団をかけてくれた。しかしながらその行為がもう邪魔くさいのだ。え〜い、うるさい、うるさい、うるさ〜い!!!と机をひっくり返す酒乱の父ちゃんのような心境だった。
まだかな〜、もう出していいかな〜。もうガマンできないんだけどな〜と思ってる頃に、やっとふんばってもOKのお許しが出る。は〜。
陣痛が空いたときにのろのろと歩いて分娩室に移動。いきむ練習をしてから、いざ本番。それからは本当に早いもので3回ぐらいふんばったら出てきた。途中、陣痛の間隔が少し空いたけど、最後は男前の女医さんが私のお腹の上に乗ってぐい〜っと押し出してくれたので、すんなりと出てきた。
股を開いたままの状態で血まみれのわが子を抱いた。すごく温かかった。手足が細くてカエルっぽかった。第一印象は、手足がデカイな〜ということ。もうすでに爪が伸びていてビックリしたな〜。母親学級で他人の出産シーンを観ただけでも目頭があつくなっていたくせに自分のときは案外クールだった。涙なんて一粒も出てこなかった。
王子はお風呂に入れてもらってキレイにしてもらい、体重を測ってもらっていると、看護婦さんの悲鳴が・・・。看護婦さんにおしっこをひっかけていたらしい。やるな〜。