2002.11.6(2002/11/06 10:45)

 換気扇騒動

  普段、土日にゆっくり家にいることはまずない。したがって、セールスマンに遭遇することもめったにない。

 その日曜日、夫は留守。私はめずらしく、ひとり家にいた。そこへ、換気扇カバーのセールスマンが来た。「1枚450円で2カ月から3カ月もちますよ。とにかく見るだけ見て下さい」とのこと。換気扇の手入れは大変なので、ふと心が動いた。試しに取り付けてもらうことに。「かなり汚れていますね」と言われてみると、カバーの網から油が垂れている。それをはずして、強力磁石でパルプを張った枠をレンジに取り付ける。取り付け簡単。見違えるほどきれいに見える。心はぐっと動いた。

 枠が3900円。これは永久保証すると言う。転居したら転居先のレンジの合わせて無料で枠を取り替えてくれる。「そんなこと言っても、そのときこの会社が存続している保証があるの」と私のきつい一言。パルプシートは1枚450円12枚入り。今なら2枚サービスして枠と共に9300円消費税なし。9300円というとおおかた1万円。これは、私にとってスッと出せる額ではない。だいたい財布に入っているかどうかも怪しい。考えていると、「今日は枠だけでもどうですか。これで3カ月は持ちますし、シートがダメになったら、電話していただいたらすぐ郵送します。送料はこちらで持ちます」。なかなか誠実そうな人で、不景気な今、中小企業の努力を応援してあげなければという気持ちにもなる。福岡の営業所から来ているとのことで、テーブルの日本酒の瓶を見つけて「出張中、熱燗で日本酒が飲めない。沖縄で燗つけて飲ませてくれるところご存じですか」などと世間話もはずんだ。

 でも考えた。うちでは換気扇の手入れは基本的に夫の仕事。このところ、少々さぼりがちだが、かといって彼の領域を勝手に侵して良いものか?一度これを取り付けると、永遠にシートを買い続けることにならないか?使い捨てはできるだけしない我が家の方針から言ってもどうなのか。ここは衝動買いすべきでない。結局、多いに心が動いたけれど、「夫に相談してから」と断った。

 あそこまで話し込んで、結局買ってもらえないなんて信じられなかっただろう。けれど、感じの良いセールスマンはあっさり「そうですか」と帰っていった。

 その後すぐに、油の垂れている網状レンジカバーを洗った。きれいになった。やってみればたいした手間ではない。「楽」に走ってしまうことで私たちは何を失っているのか。改めて考えされられた。