☆やっと会えたね。〜咲耶誕生〜☆
私がひたすら感じていたのは「熱さ」であって、「痛み」とは違う感じだった。痛すぎると熱く感じるのだろうか?とにかく腰から下がガンガンに熱い。熱く熱した金属をぐるぐる巻にされたような気分。そして堅い固まりが「詰まってる」感じ。
また波が来かかっているのを私の表情で悟った助産婦さんから、「次の息みで産もうね!」と声がかかり、「今何時ですか!?」と死にものぐるいで聞くと「六時五十五分!」
...その瞬間「無理です旦那様!!ごめんなさい!私は産みます!!」と、心で叫びながら精一杯息んだ......。
頭がポコンと出る感じがした。そのまま息み続けていると「もういいよ!」と言われる。はあっと息をついて「ハッハッハッ」と短足呼吸。すぐにまた「もうちょっと!」と言われて慌てて息を吸う。
ぐうっと息んですぐに、肩がつるんっ!と出るのが分かった。その一瞬、肩から胴、膝のでっぱり...全身が出たのが分かって、自然に「ああっ!」と力が抜ける。終わったと言う安堵感となんとも言えない優しい気持ちで涙が出た。
そして頭を起こして必死になって先生の手元を見た。そして小さい声で「さく。さくや。」と呼んでみた。そして咲耶が猫みたいな声で「きゃあきゃああん」と泣いた。先生と助産婦さん二人が「おめでとうございます」とそれぞれ言ってくれる。「ありがとうございました...」と感涙している私に、「はい、お母さん握手ね〜」と、咲耶の手を私に触らせてくれた。まだしっとりぬれていた。
元気に動いて泣いていたから全然心配じゃなかった。「よろしくね」といって顔を見たはずなんだけど、涙越しで歪んでいて良く思い出せない。もっとちゃんと見ておけば良かったな。でもほんの三十秒位だったので無理もないかもしれない。
その後咲耶は処置を受けるために助産婦さんに抱かれていかれた。私のほうもまだ一仕事。胎盤を出す後産と言うやつ。頑張るぞと思っていたら、先生がツンツンとへその緒を引っ張ったらニュルンと出て来てしまった。いとも簡単に...。結構これで苦労する人もいたりするらしいのだけど。
そして目の前で胎盤が袋に入れられて計りに乗せられるのとか、を見ていた。どの位出血したのかとかも計っている。そうこうしているうちに先生が縫う準備を始めている。幸せに浸っている中でたくさん縫われた。はっきり言ってお産より痛かった...。麻酔ももちろんかかっているはずなんだけど、本当に痛い。
あまり痛がっていたら先生に「痛がりなのかな?」と言われたが、助産婦さんが「いや、陣痛のときも静かだったし...」と言ってくれた。気をそらそうと縫いながら色々話してくれるんだけど、痛くてなかなか会話にならない。やっと終わって足を固定していた台をはずされると、足を伸ばしてそのまま休む。終始寒気がしていたけれど、ようやく毛布をかけてもらっておさまった。
少しして、バスタオルにくるまれた咲耶が、看護婦さんに連れてこられる。やっとちゃんと顔を見たけど、ぎゅっと目を閉じていてまんまるになったまま、タオルの中に埋もれている。恐る恐るしか触れなかったし、部屋が寒いのが気掛かりで仕方なかった。
そこで初めて「へその緒が首に巻かれていて、右手も一緒に絡まっていたから、ちょっと頭がうっ血して黒いけど、一週間位で治るから心配ないからね。」と言われた。そうだったんだ、無事に生まれてくれて良かった。
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