●●●分離不安症●●●
●分離不安症とは●
お留守番ができないという症状です。
ひとりぼっちになると「過剰に吠える」「不適切な排便、排尿」「破壊」
といった行動が代表的です。
なりやすい犬は、「母犬と離されるのが早すぎた犬」、
「依存心の高いメス犬」に多い行動です。
特筆すべきは、これらの行動が「わざと」「あてつけで」行われているのではなく、
寂しさというストレスを回避するための物質によって、
生理的に行われている点です。
分離不安症の犬は、不安に関与する「セロトニン」
という脳内の物質の作用が弱いということがわかっています。
このことは、「叱ってしつけても絶対に治らない」といったことを示しています。
●症状●
飼い主の外出直後から30分の間に出現します。
- 飼い主が出て行く姿に対する攻撃性:うなり声、足首に噛みつこうとする。
- 破壊行動:物をかじる、穴を掘り、物を破る。
- 自虐行為:体を過度に舐める。
- 多動:止まることなくうろうろする、階段を上がり下がりする。
- 不適切な場所での排便、排尿。
- 心身症:下痢、嘔吐。
- 無駄吠え。
●治療●
行動療法と薬物療法とがあります。
○行動療法○
- 飼い主と犬の関係の再構築。
- 擬似外出。
- 外出を知る手がかりの排除。
- 外出時と帰宅時の愛情表現の排除。
- 不適切な罰の禁止。
- 散歩の頻度増加。
- 犬が安心できる場所の提供。
犬の行動学では、犬は最低でも生後60日間は、
母と兄弟とともに過ごさなけれ ばならないとされています。
子犬に歯が生えて、離乳食を食べるようになるのは、
生後40日で充分であることもありますが、肉体的な自立(離乳)と、
精神的な自立とは別のものと考えねばなりません。生後60日をまたずに、
母犬や兄弟から離された子犬は、精神的発達段階が中途 のまま、
新しい環境にさらされてしまいます。
もしも、60日以前に、子犬を入手した場合は、母犬になりかわって、
子犬の正常な精神発達を促してあげるための配慮が必要です。
具体的には、譲り受けた子犬を、誰もいない部屋にひとりぼっちで
置き去りにして飼うことはお勧めできません。
「寂しさに慣らしてお留守番の練習」は、少しずつ段階をおって、
精神的な自立とともにおこなわれるべきです。
幼い頃「さみしい」という気持がトラウマとなってしまった犬は、
その後、「分離不安」という問題行動に直結するからです。
まずは、人がいるリビングルームなどに犬の居場所をつくってやり、
夜眠るときは、枕元に連れていって、鳴いたときに「よしよし」と
なだめてあげるといったことが必要です。
また、日中だれもいなくなってしまう家庭の場合は、
いきなり幼い子犬がひとりぼっちで長時間おかれてしまうわけですから、
離乳直後の精神的発達が不十分な子犬を充分ケアしてあげることは不可能でしょう。
外出をする30分前から、犬に注意を向けてはいけません。
遊んだり、触ったり、餌を与えたり、声をかけてはいけません。
ドアを出るときは、さりげなく、犬の注意をひかないように立ち去って下さい。
おやつや囓る物を置いてゆくだけでは、何度かは気を紛らわすことにはなるかもしれませんが、
この問題行動を持つ犬の決定的解決にはなりません。
囓る物に犬の嫌いなにおいや味を塗っても、対象物がかわるだけで、
やはり根本的な解決にはなりません。
帰宅したときは、「だだいま」と声をかける以外は、しばらく犬を無視してください。
もし、留守中になにか失敗していることを発見しても、
絶対に指摘せず、見て見ぬ振りをしてください。
叱ることは、ますます問題を複雑化して悪化させます。
後片づけは犬に見せないように行って下さい。
犬は空腹だと精神安定度が悪くなるため、必要なら事前に食事をさせて下さい。
犬が落ち着いて眠れる場所を与えて下さい。
普段から、出入り自由なクレートやかごなどを、犬がリラックスできる場所に置いて、
落ち着いていられるスペースを準備しておきましょう。
外出の前に、飼い主が脱いだ寝間着などをその中に一枚いれてゆくのも有効です。
ラジオや音楽などをかけてゆくのもよいでしょう。
○薬物療法○
「クロミカルム」という治療補助剤(飲み薬)を使用して効果が出る場合もあります。
しかし、あくまでも「補助剤」なので、行動療法なしでは効き目がありません。
獣医師のもとで、本当に分離不安症なのか、正確に診断した上で、使用すること になります。
●予後●
分離不安症における問題行動の多くは学習された行動のため、
行動療法の予後は大変良好です。
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