曲が始まるまでに、曲のプロフィールと歌詞を熟読できた方は、すごいです(^−^)

「春と修羅」
(mental sketch modified)

詩: 宮沢賢治
曲: 高田遼  


 宮沢賢治さんの有名な詩に、法華経の世界をモチーフにした「春と修羅」があります。この詩は賢治さんが26歳の頃に書かれたはずです。法華経が示す理想を追い求めながらも、生な己の心に阿修羅を見ざるをえない26歳の若い賢治さん・・・
 
「春と修羅」法華経の世界修羅賢治さんの現実の存在を意味していると思えます。
 これは、詩人宮沢賢治の精神の風景と外界の輝く春の景色を対比させた、壮大な構想を持っている詩です。
 現実の天空は、賢治さんの心の中では青き海となり、その海の底で苦悩する彼の魂は、己に唾し歯軋り行き来する阿修羅の魂なのでしょう。

 真っ青に澄み渡る四月の天の「海」には、ガラスのように透明な冷たい風が行き交う美しい春(法華経)の世界であるのに、修羅(賢治)の心を導いてくれる法華の言葉を自分のものとしきれない修羅の苦悩・・・
 いっそのこと、この心と身体とが微塵となって天空の彼方までちらばれば、いずこにか「まこと」の言葉に出会え、阿修羅の心が求めている世界を得ることができるのではないか。

 この
「春と修羅」は、以上のように解釈できるものと私は思っています。

 この詩に表現されている色彩の豊かさ(灰色、琥珀、青、黒、白、玉髄、黄金など)にも、注目してよろしいでしょう。
 そして、26歳の詩人の驚くべき語彙の豊富さと尋常ならざる詩才とが、途方もなく広く深い彼の精神的世界を余すところなく表現しています。

 ある中国の女性文学者が彼の作品群を翻訳し終わって、「宮沢賢治は、早春の東北の大地に咲いた白いこぶしの花です。」と語っています。

 宮沢賢治さんの肉体は滅びても、彼の心は滅することなく世界の人々の心の中でも行きつづけています。
 

「春と修羅」
(mental sketch modified)


心象のはひいろはがねから
あけびのつるはくもにからまり
のばらのやぶや腐植の湿地
いちめんのいちめんのてんごく模様
 
(正午の管楽よりもしげく
 琥珀のかけらがそそぐとき)
いかりのにがさまた青さ
四月の気層のひかりの底を
唾しはぎしりゆききする
おれはひとりの修羅なのだ

 (風景は涙にゆすれ)
砕ける雲の眼路をかぎり
  れいらうの天の海には
    聖は璃の風が行き交い
      ZYPRESSEN春のいちれつ
       くろぐろと光素(エーテル)を吸い
        その暗い脚並からは
          天山の雪の稜さへひかるのに
            
(かげらふの波と白い偏光)
         
  まことのことばはうしなわれ
          雲はちぎれてそらをとぶ
         ああかがやきの四月の底を
        はぎしり燃えてゆききする
       おれはひとりの修羅なのだ
        (玉髄の雲がながれて
       どこで鳴くその春の鳥)

      
日輪青くかげろへば
         修羅は樹林に交響し
           陥りくらむ天の椀から
             黒い木の群落が延び
               その枝はかなしくしげり
              すべて二重の風景を
             喪神の森の梢から
            ひらめいてとびたつからす

             
(気層いよいよすみわたり
              ひのきもしんと天に立つころ)
        草地の黄金をすぎてくるもの
        ことなくひとのかたちのもの
        けらをまとひおれを見るその農夫
        ほんとうにおれが見えるのか

        まばゆい気圏の海のそこに
         (かなしみは青々ふかく)
        ZYPRESSENしずかにゆすれ
        鳥はまた青ぞらを切る
          (まことのことばはここになく
           修羅のなみだはつちにふる)
       
    
    あたらしくそらに息つけば
        ほの白く肺はちぢまり
          (このからだそらのみじんにちらばれ)
        
いてふのこずゑまたひかり
        ZYPRESSENいよいよ黒く
        雲の火ばなは降りそそぐ


*パソコンの辞書では出てこない漢字が7〜8つありました。賢治さんの語彙にパソコンがついて行けません・・・

*クイズ:この曲では、チェロが主役になっています。なぜでしょう?

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