Snow Kiss





もう一度キスして・・・・・あなたの腕に・・・・・・。





舞い降りる雪の様に・・・・・。




落ちて行きたい・・・・・。



















ふと気がつけば・・・・・・。其処は・・・・白く染まった始まり場所・・・・。



そして・・・。隣を見つめれば・・・・・。




金色に光る瞳を揺らす・・・・。大切なあなた・・・・・。







嘘みたい・・・・。さっきまでの・・・・喧嘩の事・・・・。






嵐の様に・・・・・。荒れ狂う互いの不安をぶつけ合って・・・・。




素直な気持ちを言えないまま・・・・・・。






【帰る・・・。】【帰さない・・・・・。】





【顔も見たくない・・・・・。】






心にもない言葉が・・・・・浮かんで・・・・心に傷を作りながら・・・。








互いの目を・・・・・怒りに遮られて見れないまま・・・・。







ふと・・・。彼があたしの手をつかんだ・・・・。









驚きに目を見開けば・・・・。








見つめ合った瞬間から・・・・。



話す言葉が変わっていく・・・・・・・。








【ごめん・・・・・。】





たった一言で・・・・。悲しい喧嘩を終わらせた。

















「犬夜叉・・・・。ごめんね・・・・。明日は、どうしてもあっちに帰らなくちゃ行けないの・・。」
「・・・・・・・・・どうしても・・・?」

「うん・・・。だから・・・ごめんね・・・。」





もっと最初から・・・冷静に話し合ってればよかったのに・・・。
そしたら・・・・喧嘩にならなかったかも知れない・・・。

でも・・・・。いつも・・・しょうがない・・・・。


離れると口にしたら・・・・。不安な想いを叫ばずに居られないから・・・・・。






「・・・・でも・・・。明後日は、こっちに帰えってくるから・・・・・。」

「・・・・・・本当だな・・・・?」




「うん・・・・・。」








御神木に寄り添いながら座って・・・。彼の肩にもたれながら・・・。膝に置いてあった手を握りしめた。


しぶしぶと了解した彼が・・・・淋しそうに息をつき・・・。






「・・・わかった・・・。しょうがねぇよな・・・。」




「本当にごめんね・・・・・?でも・・・一日なんて・・・すぐだから・・・。」
「・・・・・・・・・・。」




了解した彼は・・・・口を閉ざし・・。そのまま・・。重ねてあった手を握り返した。





「淋しい・・・・・・?」





「・・・・・・・・・・・・。馬鹿にすんな・・。」




「淋しくないの・・・・?」



「・・・・・・・一日くらい・・・。」









「そう・・・・。」







強気な言葉に、少しだけ・・・・心が沈んだ・・・・。




【あたしは・・・・・。淋しいのにな・・・・・・・・・。】






ふと・・。淋しい顔をして・・・。赤い衣に頬を擦りつけた。


「・・・・・明日・・・。何があるんだ・・・?」



「追試だよ〜ん・・・・・・・・・。」




「まぁた【てすと】【もし】【ついし】の【ついし〜】か・・・・・。」






「しょうがないでしょっ・・・・。犬夜叉あたしに勉強させてくれないんだから。」
「何だよそれっ・・・・・。」

「当てつけ・・・。」



「お前、ズバッっと言う奴だよな・・・。」
「傷ついた・・・・?」

「まさか・・・。」






少しだけ乗ってきた会話・・・。静かに弾む声・・・。






「犬夜叉・・・。雪・・・また降るかな・・・。」
「・・・・そうだなぁ・・・。降るんじゃねぇか・・・?」
「どうして分かるの・・・・?」

「匂い・・・・。」

「便利な鼻・・・・。」

「ホントな・・。俺は何でも分かる・・。」


「それは嘘・・・。」


「お前も何でも分かるんだな・・・。」


「当たり前じゃない・・・。」


「よく言う・・・・。」


「犬夜叉の事なら・・・・何でも分かるよ・・・?」



「・・・・・・ふ〜ん・・・。俺の心が見えるのか?」
「うん・・・。見える・・・。あたし、目良いから・・・。」


「確かに・・・・。」






静かな会話は、途切れ途切れに続けられ・・・・。


重なりあっていた指が・・・互いの指の先をつついて遊んでいる・・・・。




「・・・・淋しいんでしょ・・・?あたしが帰ったら・・・。」


「・・・・何でも分かるんだろ・・?」


「そう・・・。だから言ってるの。淋しいでしょ?」




「・・・・・・お前がそう言うんだったら・・・・そうじゃねぇか・・・・・?」




「・・・・淋しいって・・・想ってくれなきゃ困るわ・・・。」




「男が・・・淋しいなんて、女に言うもんか・・・。」


「いいじゃない・・。男だって・・。そんな風に言ったって・・・・。」


「・・・・・・お前は女だから・・・そう想うんだよ。」



「いいじゃない・・。可愛くて・・・。戻ってきたくなるもん・・・。」




「・・・・・戻って・・・・こないのか・・・・?」












遊んでいた指先が・・。グッっと指を絡ませて手を繋げた・・・・。



悲しい眼差しが・・・。睫毛に突き刺さってくる・・・・。








「どうでしょう・・・・?」



「おちょくるな・・・・。」



「犬夜叉は・・・・・どう思ってる・・・・?」








問いかけに・・・・。彼の指は・・・手を離して・・・。
そっと手のひらを撫でた・・・。





「・・・・・俺が・・・・。淋しいって言ったら・・・・戻ってくるか・・・・・?」






「・・・・・・・・・男はそんな事言わないんでしょ・・・・・?」



「・・・・・・どうなんだよ・・・。」






「・・・・・・・あたしの為に・・・。言ってくれる・・・・・?」








鋭く尖った爪に・・・・指の腹を這わせて・・・・。

指から・・・・。手首・・・・・。二の腕へ・・・・・。



人差し指を・・・。流れさせた・・・・。







瞳に映る・・・。彼の瞳は・・・・・。真剣で・・・・。


つい・・・・。目眩がしそうになった・・・・。






「俺は・・・・・言う・・・・。お前が・・・。その一言で・・・。俺の所に戻ってくるのなら・・・・。」









プライドも・・・。何もかも・・・・。



全部捨てたって構わない・・・・・・。





彼女が・・・・戻ってきてくれるなら・・・・・・・。




男のプライドを守る前に・・・・・。




俺は・・・・・。情けない男に・・・・成り下がっても・・・・。




彼女のぬくもりが欲しい・・・・・・。









この指から・・・・・。伝わるだろう・・・・・・・?




こんなに・・・・。欲しがって・・・・。



彼女の手のひらを・・・・・・彷徨っている・・・・・。






「・・・・・・・戻ってくるよ・・・・。絶対・・・・・。



犬夜叉が・・・・。そう言ってくれるのなら・・・・・・・・・・。」




「・・・・・本当か・・・・?」



「うん・・・・。絶対・・・・・。何があっても・・・・・・。」






二の腕で止まっていた人差し指が・・・・・。



そっと・・・。彼の頬を伝い・・・・。



唇に触れた・・・・・・。








「・・・・・・・あたしの戻る場所・・・・。此処だもん・・・・・。」





「・・・・・かごめ・・・・・。」





人差し指でなぞる唇・・・・・。


その唇は・・・・。あたしの名前を形どって・・・・・。


そっと・・・・。指に口づけた・・・・。










「・・・・・・淋しい・・・・・・・・。」





「・・・・犬夜叉・・・・。」






「・・・・・お前が居ないと・・・・・。苦しい・・・・・。」







「可愛い人ね・・・。」












彼女が・・・・戻ってくる為に・・・。して欲しい事なら・・・・。

俺は・・・。恥も何もかも・・・・・抱えて・・・。



何度でも呟く・・・・・。




人から見れば・・・・。なんて・・・・。情けない奴だろうか・・・・・。



それでも・・・・・。




彼女は言う・・・・。






そういう所も全部・・・・・・・・。





可愛い人ねと・・・・・。





姿形に不釣り合いな・・・・・・優しい言葉を・・・・・・。






俺はいつも・・・・。そんな言葉を欲してた・・・・。


彼女の唇から・・・・・。




俺の事を・・・想わせる・・・その甘い優しい言葉を・・・・・。









「・・・・・戻ってくるわ・・・。絶対に・・・・。」


「・・・ホントだな・・・・?」



「うん・・・・。犬夜叉が・・・淋しいって・・・・言ってくれたから・・。」


「もっと・・・・言ってやろうか・・・・・?」




「・・・・・ふふっ・・・。ホント・・・可愛いね・・。犬夜叉。」




クスクスと・・・・笑いを浮かべる彼女・・・・。



俺が言うこの言葉・・・・。



お前は分かるか・・・・・?




この言葉に・・・隠れる深い意味を・・・・・・・。














「・・・・もっと言ったら・・・・・・。





お前は・・・・。ずーっと・・・・。此処にいてくれるか・・・・・?」





「犬夜叉・・・。」







大きな目を見開いて・・・・。驚いて・・・。



心が分かると言う彼女は・・・。見破れなかったみたいだ・・・・。



俺の・・・・・言葉に隠れた束縛を・・・・・。






「・・・・・淋しい・・・。だから・・・・。ずっと此処に居ろ・・・・・。

俺から離れるな・・・・・。なぁ・・・。いいだろ・・・・・?



ずっと・・・・。俺の隣に・・・。座ってろ・・・・・・・。



そしたら・・・・。




二度と・・・・・・・・・。」











彼は知らないんだ・・・・・・。あたしの心に住む・・・・ちっぽけな・・・・束縛を・・・・。


彼に・・・。沢山の束縛を貰って・・・・・。




そっと・・・。あたしの束縛を送り返す・・・・。




すっかり罠に・・・・はまってくれたのね・・・・・・?



あなたの・・・・・・束縛を・・・・。


あたしが束縛して・・・・・。




その身体に・・・。鎖が掛かっているのを・・・・・。


彼はまだ・・・・知らないのね・・・・・・・。









「あたしを・・・・離さない・・・・・・・?」


「あぁ・・・・。離さない・・・・。」



離さないのは・・・・。あたしの方よ・・・・・・。





「戻って・・・。来て欲しい・・・・・?」


「出来る事なら・・・・。帰らないままでいて欲しい・・・・・。」


「・・・・・離さないんでしょ・・・・・?」


「お前が・・・・それでいいならな・・・・。」




「・・・・・・・ぅん・・・・・・・じゃあ・・・・。離さないで・・・・・・。」








「あぁっ・・・・・・・。かごめ・・・・・。」







手のひらで遊んでいた指が・・・・。きつく・・・・。背中に回って・・・・。

彼の胸に・・・・頬を押しつけさせられて・・・・・・。


嬉しかった・・・・・。





あたし達・・・・・・・・。束縛好きよね・・・・。




何処までも・・・・独占欲の固まりで・・・・・・。










でも・・・・。あたし・・・・。




束縛されれば・・・・・されるほど・・・・・・・。



幸せなのよ・・・・・。






「・・・・・・かごめ・・・・。」




耳元で・・・・。ささやく・・・・。名前・・・・。




あたしにとって・・・・。



どんな愛の言葉よりも・・・・・・・。



心を掴まれた気がするわ・・・・・。






「犬夜叉・・・・・・。」





【淋しい】・・・・・・。こんな一言で・・・・・。


彼女が縛れるのなら・・・・・。



もっと早く・・・・言ってりゃよかったと・・・・・。



俺は素直にそう思った・・・・・・。



ぬくもりを・・・・・離さずに居られるのなら・・・・・・。





聞こえるんだ・・・・。




彼女の・・・・早い心の音・・・・・・。





俺と一緒に居るから・・・・・。そんなに早いんだろ・・・・・?




俺が感じるのなら・・・・・。



彼女もきっと・・・気づいているはず・・・・・。






今にも爆発しそうな・・・・・。




俺の・・・・・心の音・・・・・・。






だから・・・・。もっとそばに居ろよ・・・・・。




そしたら・・・・。何だって・・・・・。聞こえてくるはずだから・・・・。



聞こえるだろう・・・・・・?








いつだって・・・・。【好き】と・・・・叫んでいるんだ・・・・。



暴れ回って止まらない・・・・。



お前は・・・・。俺の心が分かるんだろう・・・・?




気づかない振りしてるだけなら・・・・。






お前は・・・・。意地悪な女だよ・・・・。





世界一伝えたくて・・・・・。世界一・・・・恥ずかしい言葉を・・・・。





こんな俺に言わせようとするんだから・・・・・・。












風が吹くたびに・・・・・。二人の上に・・・・。


木に降り積もった粉雪が・・・・・・ハラハラと・・・・・・。




輝きながら舞い降りて・・・・・・




そっと・・・髪を濡らす・・・・・。





いつしか・・・。その粉雪は姿を変えて・・・・・。木よりももっと上の・・・・・空から・・・・。



天使が・・・・夢を振りまいていた・・・・・・。











降り始めてきた雪にも気づかない・・・・。




だってそれは・・・。二人とも・・・・瞳を閉じているから・・・・・。






降り続ける雪の中・・・・。





深く・・・・・・甘い・・・・・・。口付けを・・・・・。















「ん・・・・・・・。」



「はぁ・・・。」




離した彼の唇から・・・・。甘い・・・ため息の様な息が漏れた・・・・。



「・・・・・・・何で・・・・・・・泣く・・・・・・?」



「・・・・帰りたく・・・・なくなっちゃった・・・・・・・。」


涙の訳は・・・。



こんなに愛しい時間から・・・・。離れていく自分に対しての涙・・・・。



こんな・・・・別れ惜しい日は・・・・・。初めてかも知れない・・・・。



怒りにまかせて・・・・井戸に飛び込むならば・・・・。



いくらか・・・。諦めつくけれど・・・・。




こんな・・・・・・。




優しいキスの後・・・・・。離れるのが・・・・・・淋しい・・・・。









「帰らなきゃ・・・・いいだろ・・・?俺・・・。淋しいって・・・散々言ったぞ・・・。」
「・・・・・・でも・・・・。帰らなくちゃ・・・。」

そっと涙をふき取って・・・。苦笑いをした・・。

「嘘吐きだなぁ・・・・・。お前・・・。」


そう言って・・・。もう一度唇に触れた。



「・・・・ごめんね・・。でも・・・・。嬉しい・・・・。」


「何が・・・・・?」




「・・・・・犬夜叉が・・・・・・・。やっぱ・・。何でもない・・・。」



少し俯いて・・・瞳を閉じた・・・。




「・・・・・何だよ・・・。気になるだろ・・・。言え。」
「ダメ、言わない・・・・。犬夜叉、きっと驚くから・・・。」

「おどろかねぇよ・・・・。さっさと言え・・・・。塞いじまうから・・・・。」



目を細めながら・・・。ゆっくりと唇を近づける・・・・・。



「好き・・・・・・。」




近づく唇に・・・・・。好きと・・・・。




その途端・・・。彼の唇は止まった・・・・。



「・・・・・・・・・。お前・・・。間ぁ悪いぜ・・・・。」

少し、眉をひそめながら・・・口元だけを笑わせた・・・。


「ダメだった・・・・?」



「・・・・せっかく・・・・。別れの口付けしてんのによ・・・。今言うなよ・・・。」


「・・・・・お別れのキスだったんだ・・・。てっきり・・。

このまま・・・離してくれないんだと想ってた・・・・。」


「・・・・なぁ・・・。お前・・・。どっかに閉じこめてもいいか・・・?」

「え・・・・?」




彼の眼差しが・・・・鋭く・・・・彼女の唇に突き刺さる・・・。





「・・・・・お前・・・。閉じこめて・・・。何処にも・・・・いけねぇ様にしちまおうかな・・・。」
「・・・・・こわ〜い・・・・。」
「・・・・・だったら・・・。別れのそばでそんな事言うな・・・・。」
「・・・・大げさ・・・。一日くらいで・・・。」

「・・・・お前が脳天気なんだ・・・・。」

「嘘だよ・・・・。嫌だよ・・。一日だって・・・・・。」



そう呟いて・・・。肩におでこを預けて・・・。ぎゅっと抱きついた・・・・。





「こんなに・・・・帰りたくないって・・・・想ったのは・・・初めてだよ・・きっと・・・。」
「・・・・・・・冷たい奴だな・・・お前・・。初めてなのかよ・・。」

「だって・・・。犬夜叉いっつも最後には帰れ帰れって言うじゃない・・・・。」
「・・・・あんなの・・・・・嘘だ・・・・・。」

「あたしは・・・・・結構ショックだったのに・・・・。知らなかったでしょ。」
「・・・・・・・・・。」



彼女の言葉に・・・・。彼は目を丸くして・・・。抱きついている彼女を見下ろした。



「・・・・・・だ・・・だってよぉ・・・・。お前が帰る帰るってうるせぇから・・・。
俺だって・・・。」

「さっきは淋しいって言ってくれたのに・・・・。」


「だから・・・。いっつも帰れって言うのは・・・・。あれは嘘だって言ってんだろ・・・・。」






「あたしも・・・・・・・うっそ〜・・・・・・・・・・・・・・。」






軽く、そう呟く彼女に、彼は少しだけムスッ・・と頬を膨らませた。





「・・・・・でも・・・・。井戸に飛び込むとき・・・。淋しいのは本当・・・・・・。」


「・・・・・・かごめ・・・・・?」





背中に回した指先で・・・・。赤い衣をぎゅっと掴んだ・・・・。





「帰れって言うから・・・・。もう・・・戻ってこなくて・・・いいのかなって・・・。」
「なっ・・・・。大げさだぜっ・・・。」

「・・・・・でも・・・。平気・・・・。」



「え・・・・・?」







彼女は瞳を閉じて・・・・。背中に回した手のひらを・・・彼の胸元へと置いた・・・。



「犬夜叉が・・・いつも・・・・絶対迎えに来てくれるから・・・・。」







彼の腕は・・・・ぎゅっと細い身体を抱きしめて・・・。
耳元には・・・唇を寄せた。



「・・・・だってよぉ・・・。お前・・・帰ってくんのおせぇんだもん・・・・。」
「・・・・・・うん・・・。作戦・・・。」


「作戦・・・・?」






彼女は・・・・うっすらと口元を微笑ませて・・・呟いた・・・。


「犬夜叉をあっちに来させる・・・・・・作戦・・・・。いつも・・・・引っかかってくれてありがと。」

「・・・・・・お前なぁ〜・・・・。」


眉間にしわを寄せる彼・・・・。




すると彼女はまた・・・・。




「うっそ〜・・・・・・・・・・。」









その言葉に・・・・。二人は・・・・クスクスと笑い合っていた・・・・。




笑い合った後に、見つめ合えば・・・。

また・・・。磁石の様に・・・・。口元がくっついて離れない・・・。







「・・・・・・お別れの・・・・キス・・・・・・?」


ふと唇を離して・・・・。問いかけた。

彼が・・・・うっすらと困ったような笑いを浮かべて・・・・・。呟く

「・・・・・・迷ってる・・・・。」


「え・・・・・?」







「・・・・・・別れの口付けか・・・・。離す気のない・・・・口付けか・・・・。」



「・・・・・・どっち・・・・・・?」







「・・・・・・・・帰るんだろ・・・・?」


「・・・・・・・ぅん・・・・・。どっちみち・・・・。」

「・・・・・・じゃあ・・・。明日一日分しとかねぇとな・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・あんまりすると・・・。帰りたくなくなる・・・・。」

少し困ったような顔で・・・。彼女は・・・。彼の胸をそっと押し返した。


彼は・・・。そんな彼女を見て、意地悪そうな笑みを浮かべた。


「・・・・・それが・・・俺の作戦だ・・・・。」





「え・・・・・?」


驚いて・・・・目を見開く彼女に・・・・。彼は真顔で・・・・・・呟いた。




「うっそ〜・・・・・・・・・・。」










「も〜っ・・・。真似しないでよっ・・。」

笑いながら、彼の胸をトン・・・と叩いた・・・。


「・・・・仕返しだ・・・・。」
「ふふっ・・・。子供みたい。」
「・・・・・・・悪かったな・・・。」
「でも・・・可愛い・・・。」

「・・・・あんまり、その言葉を俺に向けるな・・・。」
「・・・・恥ずかしいんでしょ?犬夜叉、突っ張ってる人だから・・。」
「だぁれが突っ張ってるだこらぁ・・・・。」


「ふふっっ・・・・・・か〜わ〜い〜い〜♪」

「男に可愛いはあわねぇっつうの・・・。そういうのは・・・・女に使うもんだろ。」
「いいじゃない。あたしが想ったんだから・・・。」


「・・・・・まぁいいよ・・。お前に言われるんだったらな・・・・。」



「・・・・・・ふふっ・・・・。あ・・・・・。もう陽が暮れちゃうから・・・帰らなくちゃ・・・・。」
「お前っていっつも急だ・・・・。」


甘い雰囲気から・・・・ふと立ち上がる彼女に、彼は呆れた顔をして呟いた。




彼女は、彼に振り返り・・・。小さく手を振った。
「・・・・・・・じゃあ・・・・。帰るね・・・・。」

「・・・・・・明後日帰ってくるんだろ・・・・?」





「うん・・・。」















さっきまで・・・・。弾んでいた声が・・・・急に途絶えて・・・。
二人・・・・。井戸へと向かった。




ゆっくり・・・・・ゆっくりと歩きながら・・・・・。



途中・・・・・。彼女が・・・・。


【そう言えば・・・・・雪・・・・降ってたんだ・・・・・。】


と、一言だけつぶやき・・・。



【・・・・・・全然・・・・・気づかなかったな・・・。】




そう・・・・。彼も呟いた。









「・・・・・・じゃあ・・・明後日だな。ちゃんと・・・・約束守れよ。」
「・・・・・もちろん。」

井戸の縁に腰掛けて・・・・。彼を見上げる・・・。

彼の右手はまだ・・・・。彼女の手をつかんでいた・・・・。






「ねぇ・・。犬夜叉・・・。」



「ん・・・・・?」






彼女は・・・・・淋しい色をした瞳を・・・・・彼へと向けた。




「・・・・・・出来れば・・・・・迎えに来て・・・・・・・?朝・・・・早くに・・・・。」

「・・・・・・・・来て・・・・欲しいか・・・・?」
「うん・・・・。」






悲しそうに・・・・頷き・・・。井戸の底を見つめる・・・・。





彼は・・・・そんな彼女を見て・・・。うっすらと微笑んだ。


「いつもみてぇに・・・・迎えに行ってやるよ・・・・。
お前・・・。連れ戻しにいかねぇと・・・・。いつまでも帰ってこねぇからな・・・・。


あ・・・・・。そりゃぁ・・・お前が俺を来させる作戦だったっけ・・・・?」



意地悪そうにそう呟く彼に・・・。彼女は・・・・・にっこりと笑顔を浮かべた。



「・・・・また・・・・引っかかってね。」
「・・・・・おう・・・。引っかかってやるよ。」



見つめ合って、少しだけ笑うと・・・。彼はそっと彼女から手を離した。
そして・・・。彼女が・・・・呟く・・・・。

「じゃあ・・・。バイバイ。」




「あぁ・・・・。明後日まで・・・。此処で我慢しててやる・・・。」
「うん・・・・・・。」






彼女が・・・・。いざ・・。井戸へ飛び込もうとした時・・・。
彼は・・。ぐいっっと強い力で・・・。彼女の肩を掴み頬に手を当てて唇を奪った。




彼が・・・・眉間にしわを寄せながらした・・・。とても強引な口付け・・・・・。








深い口付けから・・・・瞳を開いたとき・・・。


彼が・・・・・ニッ・・・・と笑って呟いた。



「おまけだ・・・・。」




そんな彼に、彼女も笑う・・・。


「ありがと。」






そして・・・・。彼女は・・・井戸の中へと消えていった。
















井戸の底を見て・・・。彼は・・・・・雪の降る空を見上げた。




降り続ける雪・・・・。





唇に・・・・・堕ちては消えてゆく・・・・・。







あぁ・・・・・・・・・・愛しい・・・・・・・唇のぬくもり・・・・。








次に逢える日まで・・・・・消えないで・・・・・・・・・・・。











END





::管理人より::

とても甘い甘い小説を書かれる愛の病KAKEI様より頂きました。
本当にKAKEI様は小説を丁寧に書かれておりますので
何だかのめり込んでしまいます(*/∇\*)
「淋しい」
犬君に切なげに言われてしまうと
もう追試なんてっ!!!
と私なら…(妄想)
本当に素敵で甘ぁい小説をありがとうございました(>_<)