我孫子武丸
「人形はライブハウスで推理する」 講談社ノベルズ 評価A
天才腹話術師・朝永嘉夫と恋人の睦月、探偵役の人形「鞠夫」とのシリーズ4作目の短編である。 物語は全て睦月の視点で語られるが、男性の作者なのにいつも女性心理が適切に描かれている。 少女小説としても魅力的なんじゃないかとよく思う。 ちょっと煮え切らない恋人に対する、切ない感情とか、つい意地をはってしまうところとか。 「いいねえ、こういう気持ちって」と忘れかけていたものを思い出させてくれるのだ。
また、人形鞠夫(これは朝永氏の別人格なのだ)も生意気だが、愛嬌があって睦月とのやりとりは軽快で面白い。 ちょっとした事件でも、並外れた観察力で鋭い指摘をする探偵役なのだが、ちゃんと論理が明快で納得できる結末になっている。
今回は、睦月の弟などが登場したり、2人の仲がさらに進展したりなど、先がますます楽しみな展開になっている。 推理小説としての読みごたえだけでなく、キャラクターの成長ものとしても楽しめる。 次作はあまり間をおかずに出して欲しいなあ。
2002/8/23