西澤保彦
「黄金色の祈り」 文藝春秋 評価C
面白くなかった。 表紙の絵はとてもいいんだけれど。
吹奏楽部に所属する中学生の「僕」の語りで、物語は展開される。 2年に進級したとき、花形の楽器である「トランペット」への楽器がえを顧問に言われたのが始まりで、「僕」はいつでも主役になれる、自分は主役になるべき人物だと思い込む。
中学校で楽器盗難事件があったり、音楽的才能があり人気者だけれど、エキセントリックな生徒がいたりなど、なんとなく書かれていることがみな伏線となっている。
「僕」は3年になっても、部長に全然推薦されず面白くなく思う。 このへんから「?」と感じながら読み進めていくのだが、高校生になり、音楽を途中でやめ勉強でも「主役になれない」ので、上手い具合に留学する。 アメリカでいろいろ経験して日本に帰ってくるのだが、就職もせずにひきこもったりする。 そして、友人に刺激されて作家になろうと努力し始める。
このあたりが、ちょっと強引な気がする。 ちょっと推理小説好きなことも述べられてはいたけれど、突然作家になるっていうのも・・。 そして、中学校時代の楽器盗難事件に続く、上記のエキセントリックな友人の変死を盛り込んだ物語によって、本当にミステリ作家になるのだが、やはり「何かが違う」と僕は思い続けることになる。
結局、この主人公は「嫌なやつだった」というだけの結末にしか思えないのだ。 それから、倒置法というのか、
「〜だった。 ○○までは。」という表現の多用が気になってたまらなかった。 会話の中にまで出てくるのはとても読みづらかった。 書き下ろしだからなのかな。 2002/8/29