恩田 陸
「ネバーランド」 集英社 評価B
それぞれの家庭の事情のため、冬休みも学生寮に残った男子学生「美国(よしくに)」「寛司」「光浩」と、自宅生だけれど家に1人だからと、寮に入り浸る「統(おさむ)」の7日間の物語。
寮に大勢いたときは、その中での自分の位置づけがあったけれど、4人しかいないときにはその位置づけをやり直さなくてはならない。 他人に囲まれて暮らしている男子高校生の、人間関係の対策を端的に書いている。 初日は自分と相手との距離感がつかめずにいるが、共に朝夕食をとり同じ時間を過ごすうちに親しくなっていく。 夜はゲームや酒盛りをしながらたくさん話をするのだが、お互いの心の闇・恐怖に感じていることをつい告白してしまう。
みな、偏差値の高い進学校の生徒という設定のためか、過去や家庭に問題を抱えている17歳の高校生男子の割には上品で、さわやかである。 だから、安心して読めるし彼らの会話も楽しめる。 単純な設定のシンプルな物語なのに、ひきつけられてぐいぐい読んでしまう、テンポのよさや謎が含まれている。 「何かある」と期待させるような書き方なのだ。
私の読んだ恩田氏の作品は、これが4作目なのだが、全て違う雰囲気や魅力を持っているので、なんとなく不思議な作家というイメージがある。 あとがきに主人公の美国はいいヤツだが、面白みに欠けてしまったと書かれているが、私もちょっとそう思ったけれど、そういうキャラクターは必要だからいいのではないかと思った。 2002/6/26