高野和明
 
「13階段」で2001年江戸川乱歩賞受賞
 

「13階段」 講談社  評価A
 2000年(脳男)に続き、2001年の乱歩賞作品も面白かった。 その前10年間くらいは推理小説というよりは、社会派の私から見ると、ハードボイルド系の話が多かったので、私好みの作品になってきて嬉しいのだ。

 喧嘩で人を殺した若者純一と、犯罪者の更正に絶望した刑務官南郷。 純一の仮釈放後、南郷から仕事を持ちかけられる。 記憶喪失のため、冤罪かもしれない死刑囚の無実をはらすこと。 報酬は1000万、期限は3ヶ月。


 それだけでも、興味をそそる内容である。 一般的に推理小説は、犯人がわかった時点で幕を閉じる場合が多い。 だから、逮捕されてから、起訴までや、裁判で判決が出た後のことは知らないことが多い。 死刑囚の死の恐怖と戦う日々、法務省のいい加減さ、死刑実行に携わる人々の心理など、興味深く、また胸の痛むことが多かった。 
 また、人が人を裁くことの難しさもよく描かれていた。

 そのような背景によって、物語は現実感を増す。 また、純一の10年前の家出の真相が重要な意味をもってくるなど、伏線も巧妙だ。 純一も南郷も、真面目でとてもいい人物に書かれている。 しかし、土壇場でああなるとは・・・。 この仕事を成し遂げるのは、雲をつかむように感じられたのだが、最後であのようなどんでん返しが待っているとは思わなかった。 本当に最後の最後まで息のつく間もなかった。 でも、ラストはちょっと物悲しかった。

 そして、罪とは何か、償いとは何か、いろいろ考えさせられる話だった。



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