その17
やっぱり井戸水はぬくいのだ
お寺での生活が始まってしばらくすると、いろいろ様子が変わってきました。起床の時、先生が起こしてくれていたのが、「これからはこの太鼓で起こすから、この音で起きるように」と言って、「ドーン。ドーン」と叩きました。人の声から太鼓の音に変わったのです。
朝、顔を洗う時井戸水でしていたのが、「今日から男子は井戸水を使わないように、川の水で洗いなさい」となったのでした。混雑して朝支度が遅くなるのが理由でした。
井戸のすぐそばを流れている谷川は、とてもきれいし、いつも流れている。飲む事だってできるでしょう。言われるままに、川の水を洗面器に入れて洗うことにしました。手を入れてみてびっくりしました。とても、とても冷たいのです。「あぁ、やっぱり井戸水はぬくかったのだ」と気が付きましたがもうしかたがありません。先生のめいれいです。
夜遅く、私なんか半ば眠りかけていた時、先生が「男子はよく聞くように、今日から新しい便所ができた。おしっこは新しい方ですること。今場所を教えるからみんなついてきなさい。そうだ、ついでに寝る前のおしつこをしておきなさい。」と言われました。眠い目をこすりながらみんなについていきました。ならんで順番がきたので、わたしもしました。よく見ると、樽を地面に埋めただけのものでした。空樽利用の仮設トイレだったのです。
声から太鼓の音へ、井戸から川の水へ、便所から樽の中へ。
ぬくもりから少しずつ遠ざかっていったのでした。
ではまた 3月9日
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