その8

さじを投げるお医者さま

6年ぶりに、ジフテリアで死者がでた。と今日の朝刊に載っていた。
この病気は「感染力が強く、かかった場合の危険が高い」とあった。

小学一年生のとき、このジフテリアにかかった。このときの様子を後に母から聞いた話によると、その朝、私はぐったりとしていたという。枕に血がついていたので気になったという。いつもとあまりにも様子が違うので医者に連れて行ったところ、ジフテリアだといわれたそうである。
あと半日も遅かったら、手遅れだつたと医者にいわれたらしい。

以下私自身の記憶。
わたしを診察した医者(平泉)は、太ももに大きな注射をした。帰りは母におんぶされて帰ってきた。入院はせず、自宅治療であつた。翌日だったと思う。医者が家に来て、また大きな注射をふとももにした。危険な状態が何日ぐらい続いたのか、そのあたりの記憶はない。

だいぶ良くなってきたとき、母と一緒につういんしだした。

あるとき、お薬を待っている間であつたか、待合室で待っていると、受け付け窓口をはさんで、よそのおばさんと医院の人とで、ひそひそ噂話をしていた。「00さんはもうあかんそうよ、お医者さんもさじをなげたんだって」「へえーそうですか、さじをなげはりましたか、そうですか」
こんな感じの会話であつた。それを聞いていた私の頭の中は「なんでやろ」というクェションマークでいっぱいであった。????
「なんでお医者さんがサジをなげるのやろ、サジを投げたらおもしろいのんやろか?」
白衣に身を包んだお医者さまが、サジを投げている姿がちらちら思いうかべていたのだった。

ではこのへんで                  11月2日

その9「樫の棒」


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