姥捨て病院

お年寄りが何らかの理由で長期入院する時、大抵2〜3ヶ月で退院させられて別の病院へ
移るってパターンが多いんだけど。そこの病院は違ってた。入院してきたら、亡くなるまで
入院していて良かった。だからいつも満床だった。

お見舞いなんて、殆どこない家族が多い。
たまに来ては本人に名前や住所の練習書きをさせて、書類にサインをさせている光景が目につく。
今まで家族と住んでいた人は、急に病院に入れられて寂しがり、戸惑い、そして環境の変化に
ついていけずに呆ける。でも、家族にも何らかの理由があってこういうかたちを取ったはずだ。
数ヶ月もベッドの空きを待って、そして入院させて、月20〜30万の入院費と引き換えに、時間と
病院に預けているという安心感を手にいれるのだろうか。
入院後間もなく亡くなる方もいれば、十数年入院している方もいる。
何とか歩けるけれど、病院の管理上の都合で強制的に寝たきりになってもらう人もいる。
「歩くと危ないからねぇ」なんて言われて。危ないから介助歩行で、なんて人員的余裕は無いのだ。
リハビリを頑張ったところで、帰る家は無いに等しい。
家族は永久入院を望んでこの病院を選んだのだから。

寝たきりだと褥瘡(床ずれ)ができやすい。
処置はする。が、治ってきたところである看護婦のひとこと。
「やだぁ、治ってきちゃったねぇ。家族に怒られるよ。」
何の為の治療なんだろう。なんて思っていたらこの病院にはいられないということだろうか。

本当に老人看護をしたいと思っている看護婦は、みなこの病院をさっていく。
辛いから、看護をしたいと思うほどに病院の体質に疑問を感じてならないからだという。



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