LONELY JOURNEY
OF
ENGLAND COUNTRYSIDE


イングランド田園 独り旅

その2




   初めての「英国ドライブ」道は、地図と磁石が頼り。「道路標識の英語の地名」を見落とさぬように注意しながら、慣れぬ道にクルマを走らせたせいか、些か疲れました。

しかし、英国は日本と同じ左側通行で、車も右ハンドルです。その点、余り戸惑う事もないのですが、交差点の十字路には信号機が無く、代わりに「ラウンド・アバウト」と言う、日本のロータリーを大きくしたような「ロータリー」が必ずあって、左折車は問題無いのですが、直進車・右折車・Uターン車は、中央の「ロータリー」に沿って”ラウンド”しながら進むのです。

英国では、自分の進行方向の右側に見えた車には、「必ず道を譲る」という鉄則があるので、混雑や信号待ちや渋滞も無く、スムーズに流れるのです。私も最初は戸惑いましたが、慣れると要領よく車の流れに乗り直進・右折が旨く出来るようになりました。

         

 ”ローワースウエル村”の私の宿、オールドファームハウス・ホテル」は、16世紀(400年前)に建てられた”古い大きな農家”を、外観はそのまま残し、内部を12室から成るホテルに改造した石造りの建物のでした。各部屋はそれぞれ特色があり、設備も完備していました。
おまけに、一日中営業できる「公認のバー」があり、「ウイスキー(もちろんスコッチ)・ビール・ワイン等」が好きな時に好きなだけ飲めるので、お酒の好きな私には堪らなく、「佳い処」でした。

私が予約しておいた部屋は、一番古い母屋の、一番安い屋根裏部屋でした。低い位置に屋根組み・梁等大きな柱があり(それだけに趣がありましたが)、うっかりして頭を打ち付け、頭に「コブ」がいくつも出来ました。(笑)
此処も部屋は「ツインルーム」で、充分な広さがあり、「ベット」も居心地の好いものでした。しかし、此処も「B&B]なので、食事は朝食のみです。したがって、昼食と夜食は外でしなくては成りません。朝食は前に述べた通りの「フールイングリッシュ・ブレックファースト」で、充分過ぎる位でした。

 私は滞在中の6日間「取材とスケッチ」の毎日で、近隣の小さな村を車で廻りましたが、訪れる小さな村では食事の出来る店も無いので、充分すぎる朝食を少し残し、それで「サンドウィッチ」を作り「バナナ等」の果物と、「コーヒー」もジャーに詰め、昼食に毎日持参しました。

          

 広い田園地帯の丘の木陰で、放牧された牛や羊を眺めながら摂る昼食は、又楽しいものでした。食事の後、草むらにゴロリと寝ころび、「イングランドの晴れた空・白い雲」それだけで”楽しい、優雅な時”を満喫しました。
そんな時、私はたった独りで、この広い英国の田園の中に居るのだと、何とも言えない”幸福感と喜び”に浸ることが出来ました。 それは、年来の夢が叶えられた得難い、ひと時の喜びでした。 いや、それは、「狭い日本の中で繰り返される、常日頃の煩わしさから逃れ得た」歓びでもありました。
  
<註;当時父は僅かですが、まだ会社生活をしていました。>

さて、昼食は前述のように凌げても、夜は何とも成りません。が然し、幸いな事に私が止まったホテルの道の向こう側に、村でたった一軒のパブ(イン)があり、此処では昼と夜には「ランチやイブニングミール」それにバーでは、例の「スコッチウイスキー、ビール、ビター(英国特有のビール)」を提供してくれ、私も毎晩地元の若い人達や老人達と、そして旅行者達に交じり、カウンターでビールとウイスキーを飲み、テーブルに座って「夜の晩餐」と言っても「田舎料理」の食事をしました。

伝統的イギリスの田舎料理は、油っこく、凄いボリュームで、最初の2・3日は物珍しさもあって美味しく食べたのですが、
4、5日目になるともうウンザリ、ステーキ等も10オンス(300g)もあるのです。日本人、特に私のような「スモールイーター」はとても食べられません。これには閉口し、さっぱりした日本食が無性に恋しくなりました。英国でも、ロンドン等の大都会ではフランス・中国・日本各国の料理が食べられるのですが、田舎の町や村では望むべくもありません。然し、近年英国は「食べ物が不味い。」という汚名を返上すべく、英国料理をベースにヨーロッパ・アジア等世界各国の料理をアレンジした「モダンブリティッシュ」と呼ばれる料理が脚光を浴び始め、ロンドンを始め大きな都市では、それらのレストランがどんどん増えて、「フランス料理的な美味しい英国料理」がどこでも食べれるようになるかもしれません。

          

私はこの「ローワースウエル」の宿に滞在しながら、コッツウォールドの小さな村々を車で廻り画材を求めてカメラやスケッチで取材しました。
コッツウォールド地方」は、穏やかな丘陵地の続く田園地帯で広大な牧草地や畑や森が広がり、その間に村々が点在し、「英国で最も美しい田園風景」といわれ、日本でも度々テレビで紹介されるようになりました。

中でも『バイブリー・ローワースローター・アッパースローター・バートンオンザウォーター』等の村々が特に有名です。私はこれらの村々を訪れながら『ローワーズウエル』の村で6日間過ごしました。それでも宿泊費は5泊で、148ポンド(約24000円)と安いものでした。



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