在来軸組工法による基礎蓄熱外断熱の家
【足立区保木間:T邸】
 

我が家がRCのせいか、出会う人によく「木造では外断熱はできないんですかねぇ」と訪ねられるので、妻が手がけている木造の物件をご紹介します。

在来軸組パネル工法+外断熱+基礎蓄熱+太陽光発電+健康素材
工事床面積:約33坪/坪単価:約67万円
設計監理:一級建築士事務所オーガニックテーブル
施工:西本工務店

*この家の説明に入る前に、まずなんで木造も外断熱かっていう説明を簡単にしましょう。
 日本の伝統住宅は、厚い塗り壁で囲まれた『無断熱・蓄熱構造』というもので、通気がよく、壁に熱を貯める工法と言えるそうです。この場合は室内の水蒸気(体や料理、入浴などで発生します)が効果的に排出されて、木材に水蒸気のストレスを与えませんでした。そのため、建物は100年以上もつ長寿命だったわけです。
 しかし現代では、塗り壁が新建材に変わり『蓄熱層』がなくなってしまいました。暖房もストーブやエアコンなど、室内の空気を暖めるものに変わっていきました。そうして、室内の気温を維持するために『高気密・高断熱』という考え方になりました。室内の空気を逃がさないように、気密性を高くし、暖めた空気が冷えないように、冷やした空気が暖まらないように、断熱材を使用して家を包むわけです。この変化の裏で室内の水蒸気が逃げにくくなっています。そしてその水蒸気が人間に様々な健康被害と、建物の短命化に影響をあたえているのではないかと言われています。
 木造の『内断熱』と『外断熱』の基本的な差は、断熱材が水蒸気を止めるバリアとなる『気密層』の内側に来るか、外側に来るかです。
 気密層の内で断熱するか、外で断熱するかで大きく変わるのは、結露です。冬に窓ガラスが結露するのは、暖かい室内の空気に含まれる水蒸気が、冷えた窓ガラスに触れて水滴になるためです。それと同じことが、壁の中でもおこるんですね。
 だから、結露を防ぐには、断熱材を気密層の外側にもってきて、気密層が冷えないようにするのが効果的なわけです。

 RCの外断熱の詳しいことは、「史上最大のミステーク」をお読みください。

*左の内断熱の構造は、梁や柱の間に断熱材を入れる、一般的な工法です。外側に防水シートを張り、その上から外壁が張られます。この場合、壁の中にコンセントや配管などが入る部分はどうしても断熱材が薄くなったり、無くなったりします。また柱や梁の部分は断熱材が入らないので、断熱効果にムラが発生します。
 そして、防水シートが気密層となって、断熱材を通って来た室内水蒸気を受け止めます。ここは断熱材の外側なので外気の影響を受け、室内と大きな温度差になっています。その結果、断熱性の弱いところに集中して結露が生じるそうです。金属など冷えやすいものは、特に結露しやすくなります。
 そうすると、断熱材や木材にカビが生えてしまうわけです。木材のカビは、それをエサにするシロアリを呼び、断熱材のカビはダニを呼ぶ原因にもなります。
 また、断熱材や防水シート、内壁に囲まれた柱や梁には通気層がありませんから、木材の呼吸も妨げられています。木材の周りが結露で湿気たものに囲まれているなんて、考えただけでゾッとしますね。

*外断熱の場合は、右図のように隙間無く一定の厚みの断熱材で家をくるむことができ、断熱層のムラができません。
 そして内外に通気層がもうけられ、湿気を効果的に逃がすことができます。室内の水蒸気は、気密層となる構造壁で受け止められますが、ここは断熱材の内側にあるため、極端な温度差がなく結露を起こしませんし、通気層に面しているために湿気も溜まりません。
より詳しいご質問は「エコ広場」の方でお願いします。設計者である妻が直接お答えします。



これが壁を包む断熱フォーム。暑さは7ミリ。材はリサイクル可能なスチロール


基礎も断熱フォームで包まれている。基礎と木材の間には、気密パッキンが入れられ、隙間から空気が漏れるのを防いでいる


白い点線の部分にエアコンが設置される。冷暖房の空気はここから床下全体の基礎を暖めたり、冷やしたりする。そして壁内の通気層を通って家全体を巡る仕組み

*さて、4月19日のT邸の現場です。
この建物は『基礎蓄熱』なんです。床下にエアコンを設置!して、床下全体に送風します。その風は壁の内側通気層を通って家全体を巡り、最後は2階の天井にある、通気見切りから室内に入ることになります。見切りは「防火ダンパー付き」で火事のになったらピシャっと閉じて煙りや火などを閉ざす仕組みだそうです。

夏は基礎のコンクリートに冷たさを蓄熱して、冬は暖かさを蓄熱してエネルギー効率を高めるわけです。
 でも、間違えてはいけませんよ。我が家と一緒で、これだけでポカポカ、冷え冷えの家になるわけじゃありません。寒いときはちゃんと着て、厚いときもあるていど我慢が必要です。
 まず、甘やかした室温で暮らすことから脱却しないと、エコ住宅の意味はありませんからね。

*床下にエアコンって、まぁ! 僕は始めビックリしましたね。この家の場合はどちらかというとローコストなのでエアコンですが、これから施工する別の物件では、これにソーラー温水熱を使う設計だそうです。面白そうです。

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