ともだちになるために・・・

自閉症の人達は社会の中でみなさんと同じように暮らすことが願いです。そして、自閉症の人達の親は子どもたちが安心して社会で自立した生活ができることを心から望んでいます。

自閉症の人達にとって有効な療育方法として”TEACCH”というものがあります。

ここでは、ちょっと難しそうなこの事を療育の立場ではないみなさんにもできるだけ解りやすくお伝えできればいいなあと思っています。尚、これらはあくまでも私個人の”TEACCH”に対する解釈と、私個人の社会に対する願いです。ご指摘やアドバイスがありましたらこちらまで。

”TEACCH”ってなに?★

”TEACCH”は、単なる一つの療育の方法や自閉症の人達への接し方を指すものではありません。わたしたちが自閉症の人達と社会で共に暮らすための「社会的な支援のシステム」を指すものです。そしてそこには、「自閉症の人達をより理解すること」こそが全ての基本なのだ!という哲学があります。

自閉症の教育は、長い間、暗中模索、試行錯誤の連続の中で、いろいろな方法が試みられてきました。

日本では1992年からやっと毎年二人の留学生を”TEACCH”の生まれ故郷である、アメリカはノースカロライナ州へ送り始めた・・・というまだまだ始まったばかりのものです。

にもかかわらず、確実に成果を上げていることに”TEACCH”にやってみるべき価値があることがわかると思います。

では、「具体的にどんなものなの?」と聞かれれば、「自閉症児(者)にとって眼鏡や通訳機のような物」と答えるでしょう。情報を視覚や聴覚から脳へ伝達する際にエンコードのちがいから文字化けしてしまう彼らにとって”TEACCH”は、情報をはっきりとわかりやすくし、その事によって自信が生まれ行動範囲が広くなるからです。

”TEACCH”とは情報を構造化して提供するための環境操作です。構造化とは決して特別なことではなく、日常の社会の中によく取り入れられているものです。例えば

日常生活では・・・ TEACCHでは・・・
1.スケジュール帳 初めと終わりを解りやすくするために、絵や写真、文字などでその日(イベント)のスケジュールを表しその通りに行う。
2.オフィスの仕切り たくさんの情報から必要な物だけを取り入れる力が弱いため、いろいろ見えたり聞こえたりすると処理できないので、集中して行うために仕切りを付けて作業する。
3.工場の分業 一人でやる作業でも一度に多くの作業内容は理解できないので、不合理でも分割して一つずつ順番に行う。
4.道路や街並みによくある標識 言葉のない人はカードに絵や文字を書いて持ち歩きそれを相手に見せてコミュニケーションの手段にする。

これらは、一目でわかるようにとか、誰がいつやっても順番を間違えることなくできるように整理整頓された様子です。わたしたちは初めての場所や言葉の通じない外国では、標識や看板の文字を頼りにしますよね。自閉症の人達はいつもそのような世界に生きているだけで、文化の違い(障がい)をのぞけば同じです。

”TEACCH”によって共通の意味を理解し合えば普通につき合うことができます。多少の自閉症的な癖は残りますが、これだって「なくて七癖」ということわざがあるくらい誰にでもあるものです。

★May I help you?★(サポートするための方法)

「障がいを持つ人達と普通に接したいけど、どうすることが一番いいのかわからない。」そう思っている人はたくさんいると思います。身体が不自由だからと言って、なんでも代わりにやってあげることが一番良い方法でしょうか。それは違いますよね。本人の持っている力でやれるようにちょっとサポートしてあげることだと思います。そしてそれは障がいによっても違うし、個々によっても違うのです。けれども、基本姿勢は同じですから相手のことを知ろうとする気持ちさえあればOKなのです。

自閉症の人達の場合、聴覚による言葉の情報より、視覚による色や形や量といった情報の方が優先します。なにかを伝えたいときは、≪いつ・どこで・何を・どのようにするのか・どうなったら終わりか・次はなにか≫をわかりやすい方法で見せることです。

例えば「買い物で物の値段を教えたい」ときは、数字では量の概念が解りづらいので実際に紙幣や硬貨を見せたり、絵を描いたりしてそれにマッチング(一対一)させるようにします。自閉症の人達はとても律儀ですからお金の向きまできれいに揃えて出してくれます。しかし、スピーディという概念はないので時間がかかってもゆっくり待ってあげて下さい。(なのに、自閉症の人は順番を待つのが苦手なんです。これをわがままと言わないでね。^^;;

もう一つ「掃除をしてもらいたい」ときは、目に見えづらい小さな汚れやゴミは認知しないので終わりが解らず困惑します。テーブルを拭くときは一度べちゃべちゃなふきんでテーブルを濡らしてから、玄関などのはき掃除は湿った新聞紙をまいてからやるようにすれば、水や新聞のないところが終わったところ。よりきれいになるし一石二鳥なのです。あと、上から下、左から右という順序を教えてあげると完璧です。なぜ上から下、左から右なのか。これは文字を読む順序の法則なのです。(^^

自閉症の人達の中には、物事の順番が解らないために苦労している人が多いのです。食事に意欲を見せないのでどうしたものかと困っていたら、食べる順番がわからなくって食べたいのに食べられずパニックしていた。そこで、順番に目の前に出すようにしたり、お弁当も左から右へ順番になるように工夫するとそれまで付きっきりで食べさせていたのが、一人でルンルンと食べるようになった。という話もあるのだそうです。

彼らは決して人が苦手なわけではありません。目を合わせて話しかけるとかその場に合った行いなどのコミュニケーションの仕方が解らなくて困っているのです。また、いつも同じであることを好み変化におびえます。父親が苦手という自閉症の子がいました。その子はお父さんが嫌いなのではなく、出張や不規則勤務で居たりいなかったりするのが理解できずイライラの原因だったので避けていただけでした。お父さんのスケジュールをあらかじめ教えることですんなり受け入れたそうです。                                                                

*参考文献*

◎朝日福祉ガイドブック「自閉症のひとたちへの援助システムーTEACCHを日本でいかすにはー」/朝日新聞厚生文化事業団

自閉症Q&A/ノースカロライナ大学TEACCH部・日本自閉症協会京都府支部・Q&A日本版作成ネットワーク

「ぽぷら」(会報誌)/日本自閉症協会北海道支部札幌自閉症児者親の会

◎「自閉症教育の道しるべ」/佐賀大学文化教育学部付属養護学校教諭 服巻智子氏の講演会より

★さいごに・・・★

「自分でできた」は本人の自信につながり次のやる気につながります。「解ってくれた」はその人への信頼につながり心の交流が生まれます。言葉だけがコミュニケーションの手段ではありませんよね。心を通わせる。それが本当の交流なのではないでしょうか。障がいがあろうがなかろうが、相手を理解しようとすることをしなければ自分も理解されず寂しい思いをするだけですから・・・

♪友だちになるために  人は出会うんだよ

 どこのどんな人とも  きっとわかりあえるさ

 友だちになるために  人は出会うんだよ

 同じような優しさ    もとめあって いるのさ・・・

  ・・・友だちになるために  人は出会うんだよ

    一人寂しいことが   誰にでもあるから

    友だちになるために  人は出会うんだよ

    誰かを傷つけても   幸せには ならない♪

 

「友だちになるために」

    作詞 新沢としひこ/作曲 中川ひろたか/編曲 増田裕子 より抜粋・・・