報告

事前にしこりのことを伝えてあったイモウトに、最初に癌であることを告げた。泣きながらも、ロンドンに来て病院側からの詳しい説明への同伴や、手術後の手伝いをしてくれると言う。ただでさえ忙しいのに、と心苦しかったが、「わがままを言いなさい。」とのイモウトの言葉に甘え、ありがたくお願いすることにした。日本語と英語、動物と人間の違いがあるにせよ、普段から医学用語に親しんでいるイモウトの存在は、芯からパニクっているCHUB夫婦には心強い。

イモウトには伝えることができたが、チチやアニ、そして自ら乳がん治療中のハハにはどうしても言い出せない。どう伝えようかと思っただけで涙があふれてくる。親の生きているうちにこんな病気になるのは親不孝だと思った。どんな思いをさせるのかと想像するだけで苦しかった。そんな心の内をイモウトに話すと、彼女がとても辛い役割を引き受けてくれた。イモウトの口からチチとアニに伝えてもらうことにした。

問題はハハだ。化学療法の1クール目を、白血球不足のため半分で終えたところだ。これからスキーに行って楽しもう、次のクールに向けて白血球も増やそう、という矢先のこのニュースがどう作用するか。かといってCHUBの手術後にハハに伝えた場合、ハハは化学療法の真っ最中で苦しんでいるだろう。そんなところに悪い知らせを加えるのはどうだろうか?結論は出なかった。

イモウトがチチに報告した旨、知らせてきた。「ある意味CHUB、でかしたよ。」と笑っている。電話口でチチは無言だったそうだ。「あのチチが言葉を失うなんて一生に一度だからね。」「言えてる、言えてる。」

笑うしかない時もある。

チチの意見で、ハハにはCHUBの手術が終わるまで知らせず、スキーを満喫してもらうことになった。普段なら旅行先から電話などかけてこないチチが、手術間近のCHUBにハハの声を聞かせようと電話をくれる。「今、お母さんは手を洗っています。」ハハが近くに居るから癌の話はするな、と言いたいのだろうが、まるで棒読みだ。ハハが不審に思わないのが不思議なくらいの下手な芝居。ウソをつけない人なのかな、と親子生活30年にしての発見だった。

アニからはe-メールが届いた。照れ屋で、妹たちにはなかなか優しい言葉もかけないアニからのメールだ。早く読みたい!プリントアウトして家宝にする!それなのにコンピューターがよりにもよってウィルスにやられ、日本語メールが読めない状態なのだった。いつもながらタイミングの悪いCHUB家の話である。

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