手術前日

手術を翌日にひかえ、必要なものはほとんどそろった。しかし、まだコットン100%のワイヤーなしブラを買っていない。近所の店をのぞくが、どこにもおいていない。仕方なく街まで出て、下着の品揃えで有名なスーパーマーケットに行った。コットン100%のブラは有りそうでなかなか無い。一応、それに近いものを手に取って、涙が出そうになった。もともと小さいサイズでコットン100%、ワイヤーなしのブラは、小学生のファーストブラのように見える。ペラペラのちびたブラを手に、情けなさがこみ上げてくる。こんなものを再びつける日が来るとは思わなかった。理不尽とは分かっていながらも、一生懸命探してくれるPUDGEに八つ当たりしてしまう。「こんなの着けたくない! なんで白ばっかり持って来るの? 子供じゃないんだから!」そんなCHUBを落ち着かせながら、PUDGEがスポーティーな感じの、グレーでコットン95%、カップのしっかりしたワイヤー入りブラを見つけて来た。これなら妥協できそうだが、ワイヤーが入っている。「ワイヤーは取ってしまえば良いよ。」PUDGEの機転でCHUBのクライシスは回避された。

その夜は、またもやPUDGEが大活躍した。乳房が二つある姿を残しておきたい、というCHUBの希望で、CHUBの上半身の型をとってくれたのだ。特殊メークアーティストという仕事柄、体の型をとるなどお茶の子さいさいでこなしている。型に石膏を流し込み、固まったところで取り出すと、何となく芸術的な雰囲気をただよわせた上半身が現れた。CHUBにも乳房が二つあったんだ、という証拠が残る。これで安心して乳房を切ってしまえる、と感じた。

窓の外には満月が見えていた。二人並んで見上げる月は、この上なく美しかった。「治療が終わったら赤ちゃんをつくろう。」と言うPUDGEの声を聞きながら、この世に生きる幸せを感じていた。癌にならなければ味わえなかっただろう、深い、深い幸せだった。

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