キリ番プレゼント小説

沙世さんへの2200番のキリ番プレゼントです。けっこう長くなりましたが、がんばって書きました。舞☆★ちゃんへのと同じ登場人物を使っております(^_^;)

  

   月が綺麗な日のことだった。

夜。その暗闇の中、1人の少女が歩いていた。その道にいるのは2人だが、1人・・小さい方は、大きい方におぶさって、寝ている。
服には砂が付いている。来た方向からすれば・・・砂漠の方に行ってたのだろう。あんな遠いところに用があるのはそんなにいないはずだ。
手には、大きな箱を持っている。・・・・時計師なのだろう。この国に時計師は、きっと、彼女しかいないのだろう。元々人が少ないくになのだし、「時計師」というのはなる者が少ないな職業だから。箱に、『アナタの時計、直します。・・・・』という、宣伝文句が書いてある。
この道は、2人とも、幾度か通ったことがあった。『祭り』の後の肝試し。大きい方は、3回。小さい方は2回、参加した。『お化け』の役は、いない。真っ暗の道を、歩くだけ。それだけ。それだけが、怖かった。
その、『肝試し』の時、1度だけ、『お化け』のようなものを見たことを、2人はある。
そのことを、大きい方・・・姉の方は、思い出しながら、歩いていた。

 

「今夜は月が綺麗だな・・・」
『誰か』がそう思ったとき、『祭り』は始まる。
『夏祭り』、『星祭り』、『月祭り』・・・人々は色々な呼び方をするが、どれが本当かだなんて、だれにも分からない。
『祭り』は、たいてい、夏にある。それは、空を見上げる人が多いからなのかも知れないし、もとから日が決まってるのかもしれない。
『祭り』の真実はだれにも分からない。
だが、人々が待ち望んでいつということだけは、確かである。

『祭り』が終わるのは、たいてい9時か・・・まぁ、それくらいだ。
終わってからも、子ども達には楽しみがある。わたがしも、金魚すくいも、氷も、くじも楽しみにしているが、本当に好きなのはこれかもしれない。
3人、1組になり、1本の道を歩く。いわゆる、『肝試し』というやつだ。
これは、「大人には内緒」、ということを条件に開く。大人達は、ほとんどが知っているのだが、そのことは言わない。「昔、自分たちもやったのだし、止める権利はない。」というような、本当はやらせたくない、という親たちの意見もあるが、まぁ、たいがいは「どうせ、1年に1回の祭りだ!危ないことでも何でもやれ!!」というような感じだ。

子ども達は、組を決めている。
やめるという子もいるし、やらければ帰らないという子もいる。
結局、最後まで残ったのは、13人。去年に比べれば、少ない方だ。
3人の組が4つ、2人の組が1つだ。2人の組は、最初でも、最後でもなく、途中で行くことになった。「2人しかいないのに、最後とか怖い順番にいくのはかわいそうだ。」これが、子ども達の意見だ。

最初の組は、パン屋の息子と、イサのところの娘2人だ。もともとはちがう組のはずだったが、一緒にしてくれと頼んだらしい。全員、10歳もいっない小さな子達だ。
元気に進めるのも、最初だけだ。
灯りはてもとの小さなろうそくだけ。
その灯りが消えると、座り込んで泣くしかなかった。

次の組は全員動こうとしなかった。原因は、先ほどの組の子ども達の泣き声だった。

その次は、もう何度もこれを経験したことのある、15の少女のスーと、病弱な5つの少女だった。2人の組だ。
この組は楽勝だった。たとえ灯りが消えようが、どこかで、うさぎがはねようが、スーが泣き始めた小さな少女を抱えて歩けばいいだけだった。

その次は、時計師の娘・・5つの、妹の方だ。それと、ジャンケンで負けたことがないという8つの少年。怖い話が大好きな10の少女、ロテだ。
夜は、とても、静かだ。
その静けさは、夜の闇をいっそう恐ろしく見せ、何もいない林さえも、化け物の巣に見せた。
時たま聞こえる虫の声は、『お化け』の持っている鈴の音に聞こえ、自分から伸びる影は、じっとこちらを見つめる鬼に見えた。
前の組が持っている灯りは、死んだ者の魂であり、待ちかまえている鬼の目であった。
まず、1番小さいのが泣き出した。もともと、こうゆうのが好きだから来たのではなく、3つ上の姉に連れられてきたのだ。原因は、ロテにある。調子に乗って、自分が知っている中でも、けっこう怖い話を聞かせたのだ。それ自体は怖くないのだが、話し方が、すごい。内容は、「この話を聞いたら、呪われてしまい、24時間鏡を見ては行けない」というものだった。その小さいのは、いつも、寝る前に姉からもらった鏡を見ていた。
次に泣いたのは、以外にもロテだった。森の方から聞こえてきた。鳥の甲高い鳴き声を、『お化け』の笑い声と思った。
8つの少年も動けなくなるまで、そう時間はかからなかった。1番年上のロテが泣き出してしまったのだ。どうして良いか分からず、暗闇の中を走り回り、近くの田んぼに落ちた。
結局、次の組・・・最後の組に救出された。

最後の組は、時計師の娘の姉の方、先ほどの組のロテの兄、父親に無理矢理連れてこられた7つの少年だった。
途中で、前の組に出くわした。時計師の娘は、妹をあやし、ロテの兄は、田に落ちて泥まみれになっていた子どもを助けた。そして、妹をしっかり立たせてやった。
泥だらけになった少年を家に送り届けるため、ロテとその兄は先に帰った。『肝試し』の道とは違う道を通って。
「こわいね。」
「もう帰ろう。」
「もういいでしょ。」
7つの少年は、幾度もこんな事を言っていた。だが、泣きはしなかった。時計師の娘の妹の方は、姉の手をじっと握りしめ、泣きながら歩いていた。姉の方も、泣きそうだった。
灯りはもう消えていた。たよりになるのは、『綺麗』といわれた丸い、丸い・・・月。
人影が見えた。それは、木の陰だったかも知れないし、自分たちの影だったかも知れない。・・・・そう思えるようなものではなかった。
小柄な老人のような、人影。3人の子どもは、ゆっくりと、『それ』に近づいていった。
「今宵は、月が綺麗ですね。」
確かに、『それ』はそう言った。
子ども達は、一目さんに逃げ出した。田にはまろうが、転ぼうが、ただ、家を目指して、走った。

 

「こんな日だったかな。」
姉の方が、つぶやいた。
道の先に、人影が見えた。
小柄な老人のような人影。2人は、ゆっくりと『それ』に近づいていく。
「今宵も、月が綺麗ですね。」
「そうですね。」
姉の方は、微笑み、そう、答えた。

月が綺麗な日のことだった。

 

沙世さんへの2200番のキリ番プレゼントでした。みぃ作。

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