Allen Say Allen Sayは戦前の横浜で生まれ、上海育ちの韓国人を父に、アメリカ帰国子女の日本人を母に家の中ではごく自然に英語が使われているような家庭に育ち、 彼は16才の時に、母が生まれ育ったアメリカのサンフランシスコに父親と一緒に移り住みました。 彼は青山学院、アメリカに渡ってカリフォルニア大学、サンフランシスコ、ロサンゼルスの美術学校などを経て、写真家として成功していましたが、50歳の誕生日に描きあげた『The Boy of the Three-Year Nap』(三年寝太郎)以降、次々に絵本を出しています。
『The Boy of the Three-Year Nap』 では1989年にイラストでコルデコット賞次席、その他を受賞し、『Grandfather's Journey』では1994年にストーリー、イラスト共にSayが手掛け、コルデコット賞を受賞しています。
小学校の図書館では、お薦めの本やシーズンにあった本を紹介するために、絵本を並べてある低い棚の上に立て掛けておいたりするのですが、そこで見た本が『Grandfather's Journey』でした。 イラストの感じからすると東洋人のようで、裏表紙を見ると折り紙で折った船のイラストが描いてあるので興味をそそられはしたものの、ボランティア中だったので読むには至りませんでした。
ある日、ディスカウントショップで見かけたその本は、手頃な値段で売られていたので買って家に持ち帰りました。 読むうちにひきつけられるものがあり、主人公であるおじいさんの時代は外国人を見るのもめずらしい明治時代だと思われ、今でこそ海外在住は「ねこもしゃくしも」の時代ですが、100年程?前の渡米のお話を不思議な気持ちで読みました。
『Grandfather's Journey』 / ALLEN SAY / H.M.Co
1994 Caldecott Medal Winner
むかし一人の青年が船に乗ってアメリカを目指し、汽車や船に乗り時には徒歩で一日中歩きながら、石と砂の大地、また広大な農場、ビルの立ち並ぶ都会をへと進み、人種の様々な人達と出会い握手をかわしながらいろんなところを旅してカリフォルニアに落ち着きます。 その後日本に帰り彼は結婚をして妻と一緒に再びアメリカにやってきて、そこで彼等の新しい家族である娘が生まれ、鳥のさえずりを聞きながら彼女の成長とともに時は過ぎて行きました。 そんな彼は徐々に昔の友を懐かしみ、望郷の念がつのり娘の高校卒業を期に、故郷へと帰るのでした。
その後娘は結婚して男の子が生まれ、その小さな男の子に彼はたくさんの思い出がつまったカリフォルニアの話を聞かせるのですが、日本とアメリカどちらの国も愛したかれはもう一度彼等が過したあのカリフォルニアに行きたいと願うのでした。
この本の主人公は作者でもある" 男の子 "アレンセイのおじいさんであり、娘は彼のお母さんです。 祖父がもう一度訪ねたいと願いながらも果すことができなかったアメリカへの旅を16歳の彼が訪れ、生活しそしてアレンセイにも娘が生まれ、おじいさんを懐かしむところでストーリーは終わっています。
裏表紙には金の折り紙で作った船が描かれていてなんとなくアレンセイのメッセージが込められている気がしました。
自分が想像した日系人のストーリーとは違い、自分が何人であるかというよりも、自分の求める故郷を日本にアメリカに探し、どちらも愛したおじいさんとそのそのおじいさんを慕うアレンセイの生きてきた時代を考えると、ことばでは言えない感情を感じながらも、おきらく海外駐在生活を反省してしまうのでした。 そして興味本意で読んだこの本を通じてますますアレンセイという人はどんなひとなのか、もっと他の本が読んでみたいと思いました。
コルデコット賞受賞でアメリカではメジャーとなってしまったこの本を、他民族国家のアメリカ人はまた絵本を読む子供達はどのように受け止めるのでしょうか? それにしてもこの本が日本で翻訳出版されているかどうか少し気になるとことです。
『TEA with MILK』 / ALLEN SAY / H.M.Co
『Grandfather's Journey』を学校のライブラリーで見かけた頃のちょうど同じ時期に、町の本屋さんで新刊書として売出していました。 表紙をみるとセーラー服をきたボブへアーの女子高生が、木造校舎の校庭で立っているもので、裏表紙は茶道の稽古をしているシーンが描かれています。
あきらかにこれは日本に関係しているとは思いましたが、その作者が『Grandfather's Journey』と同じ人だと気が付くまで1年程かかってしまいました。
『For Saito Misako Sensei』と『下がり藤』の家紋のページからこのお話はスタートします。
まーちゃんと呼ばれる女の子はアメリカに住んでいて、自分の家では御飯を、お友達のいえではパンケーキを朝食に食べる生活をしていましたが高校卒業までアメリカで教育を受けました。 彼女の卒業とともに一家は父親の故郷である日本に帰国しましたが、アメリカ育ちの彼女はもういちど高校に通い、お稽古ごとをしながら日本人女性としてのたしなみを躾けられます。 しかし戦前の日本の生活に彼女は馴染めず、家を飛び出しデパートで英語を生かして外国人相手に通訳をする生活をします。 彼女にとって日本は堅苦しい異国の地でしかなく、自分を理解してくれるひともいない、そんな時自分と同じ英語を話す日系男性と知り合い結婚します。
『TEA with MILK』とは紅茶を一緒に飲む相手が欲しい、理解してくれる人が欲しいということでしょうか? それとも茶道=日本の伝統=堅苦しいというイメージから逃れるため、なのか? いろいろと想像してしまいました。 主人公のまーちゃんとはアレンセイの母親であり、『Grandfather's Journey』の続編を母の側から書いたストーリーです。 この2册の本とアレンセイの子供の頃を描いた本の3册で、親子3代のストーリーが完結するとどこかで読んだことがあります。
カバーをはずした本の表紙には家紋の『下がり藤』のエンボスがとても印象的です。 (余談ですが私の嫁ぎ先の家紋もこれと同じです)
アレン・セイ その他の本
文とイラスト
Emma's Rug, Houghton, 1996 Stranger in the Mirror, Houghton, 1995 Grandfather's Journey, Houghton, 1993 Tree of Cranes, Houghton, 1991 El Chino, Houghton, 1990 The Lost Lake, Houghton, 1989 A River Dream, Houghton, 1988 The Bicycle Man, Parnesso Press, Houghton, 1982 The Inn-keeper's Apprentice, Harper & Row, 1979 The Feast of Lanterns, Harper & Row, 1976 Once Under the Cherry Blossom Tree: An Old Japanese Tale, Harper & Row,1974 Dr. Smith's Safari, Harper & Row, 1972 イラスト
The Boy of the Three Year Nap, by Dianne Synder,Houghton, 1988 How My Parents Learned to Eat, by Ina R. Friedman,Houghton, 1984 The Secret Cross of Lorriane, by Thea Brow, Houghton,1981 The Lucky Yak, by Annetta Lawson, Parnassus Press, 1980 Magic and the Night River, by Eve Bunting, Harper & Row,1978 Two Ways of Seeing, by Wilson Pinney, ed., Little, Brown,1971 A Canticle to the Waterbirds, by Brother Antoninus, EIZOPress, 1968 まだ文字を読めない子供用に英語のカセットテープ付きペーパーバッグの本もあります。