| 出 典 |
日本経済新聞 シナリオ 「賃貸住宅市場 定期借家権で活性化?」 |
| 発 表 |
2000年1月24日 |
| 内 容 |
×:一気に盛り上がる 二〇% ○:活性化は3年以降 五〇% △:長期にわたり低迷 三〇% 契約で定めた期間で建物を賃貸借する「定期借家権制度」を盛り込んだ「良質な賃貸住宅の供給促進に関する特別措置法」が3月1日に施行となる。施行を機に、質の高い賃貸住宅の供給が進み、持ち家に比べて停滞している賃貸住宅市場は活性化するのか。 都市部の開発では、オフィスとともに住宅も整備したい。ところが、賃貸マンションを建てたくても、借地借家法の「正当事由制度」が邪魔で二の足を踏むことが多かった。契約期限が来ても、貸し手は正当な理由がなければ借り手に明け渡しを求めることができないという借家人保護の制度だ。 戦時中、出征兵士の留守宅や遺族が安心して暮らせるようにと成立。戦後の住宅不足の時代は低所得者などの弱者保護の役割も担った。しかし、借家人保護が強すぎ、極端な場合、建物が崩れかねないなどの理由でなければ契約更新を拒めない。このため再開発や建て替えの際、貸し手は退去を求める裁判に時間がかかったり、多額の立ち退き料を払ったりする。暴力団が居座ることもある。 住宅ストックが1968年に世帯数を上回って久しい。住宅・不動産業界などは契約期限通り貸借を解消できる定期借家権の導入を悲願として、法制化を働きかけてきた。 <シナリオ1:良質な住宅の供給が一気に進み活性化> 定期借家権の効果として、まず「個人が自分の家を賃貸に出すケースが増える」ことが期待される。例えば、転勤の際、定期借家権で賃貸すれば安心で、空き家にしなくてすむ。老夫婦二人では広すぎる郊外の戸建てを定期借家で貸し、自分たちは都心近くのマンションを借りてシティライフを楽しむ。逆に都心の自宅を貸し、別荘を借りて住むなど様々な住まい方が生まれそうだ。賃貸ビジネスにとって、定期借家権の利点は収入を計算できること。賃貸期問と賃貸料を設定して契約すれば、不測のことさえなければその通りになる。広くて良質の賃貸住宅を安心して建てられる。投資家に利回り見通しを明示できるので、不動産の証券化や小口投資商品化に向いている。 <シナリオ2:政策が遅れ、市場の活性化は1,2年後以降> 今、住宅・不動産業界は住宅税制がどろなるか定まっていない2002年以降の政策に注目している。住宅政策は戦後一貫して持ち家重視だった。住宅不足の解消と個人資産の形成には、住宅所有が最適だったからだ。国民も土地神話が生きている時代は値上がりを期待し、無理してもマイホームを買っていた。バブル崩壊後の地価下落で「住宅購入はリスクのある行動」になった。それでも、大盤振る舞いといえる現行のローン減税も含め、政府の景気対策は相変わらず持ち家テコ入れだ。証券化の制度充実も含め、賃貸市場のインフラが整うには、二〜三年はかかりそうだ。 <シナリオ3:市場は長期にわたり盛り上がらない> 「地価下落が続く限り、売行きの賃貸料下落リスクは消えず、地主はアパートを建てたがらない」と悲観的な意見がある。実際、賃貸住宅の着工は列島改造ブームやバブル期に伸びている。日本人は「一人前になったら城を持たなければいけない」という持ち家意識が根強く、政府の住宅対策も持ち家重視・賃貸補完から抜けきれない。結局、優良な持ち家が行き渡り、それが貸家としてどんどん出てくるまで、賃貸市場は長期に渡り低迷が続く。 地価下落は所有から利用への動きを促す。定期借家権に続く賃貸市場の整備が進めば、良質な賃貸住宅の供給が増え、需要も出てくるはずだ。 |