| 出 典 |
日高義樹のワシントンレポート「やすい石油の時代は終わる」 |
| 日 付 |
1998年5月17日 |
| 内 容 |
■ヤッカマウンテン ネバダ州の西のはしにある死火山で、アメリカはこの山の地下に核廃棄物の貯蔵庫を作ろうとして、すでに16年間研究している。アメリカにとって有利なことは、この場所は人口の密集地から100km以上離れていて、軍が核兵器の開発・実験を行ってきた場所の真っ只中にある国有地であるということである。したがって、民間の地主や活動とぶつからないという利点がある。それにもかかわらず、州の知事、二人の上院議員と下院議員ら地元の反対の声は大きくなってきている。しかし、合衆国政府は断固としてこのプロジェクトを続ける決意である。 新しいアメリカのエネルギーを確保するため核廃棄物の問題は避けて通ることのできない問題である。ヤッカマウンテンがアメリカで脚光を浴びているのは、アメリカが原子力エネルギーに新たな関心を向けはじめたことを示している。 ■ホワイトハウスの新エネルギー政策 1997年にアメリカの大統領科学技術特別委員会は大統領に対して、「21世紀のエネルギー研究・開発への挑戦」と題した報告書を提出した。このなかで、アメリカが現在の好景気を維持しながら発展するためには、中東の石油を中心に置く現在のエネルギー浪費のあり方を根本的に変える必要があると報告されている。また、この報告書では、21世紀に向けてのエネルギー戦略は次の3つであると報告している。 1.従来のエネルギーを効率的に使うための大掛かりな研究プロジェクトを開始する。 2.地熱、風、太陽などの自然エネルギーの開発に力を入れる。 3.原子力エネルギーの開発に全力を挙げて取り組む。 注目されるのは、この中で、原子力エネルギーのあらたな開発に力を入れることが強調されたことである。アメリカは原子力エネルギーが、放射能の危険と核廃棄物の問題を除けば空気を汚さないクリーンなエネルギーであり、開発途上国にとって安価なエネルギーとなりうると考えている。 アメリカが原子力エネルギーに注目しているもう一つの理由は、不安定な中東情勢にある。アメリカに好意的であったサウジアラビアの態度が近年変化した。これにより、アメリカは中東からは21世紀にわたって、安定して石油を輸入することはできないと判断した。 最近、アメリカでは「やすい石油の時代は終わった」という内容の論文が相次いで発表されている。論点は、以下の3点である。 1.21世紀になると中国を含めて各国の石油の消費量が急速に増え、資源争奪戦が激しくなる。 2.採掘可能な石油埋蔵量は増えているが、採掘や僻地から石油を市場に運ぶために膨大な費用がかかる。 3.中東の石油が再び幅を利かせるようになり、世界はOPECに振り回され、第3次石油危機がやってくる。 アメリカでは、1970年代以来、原子力発電所が建設されていないことから、一般には原子力発電の時代は終わったと考えられているが、現実には世界で最も多い100箇所以上の原子力発電所が稼動している。アメリカの原子力発電所の特徴は、20年以上も前に建てられているため、減価償却が終わり、極めてやすいコストで発電することができることである。 ■フランスはなぜ80%の電力を原子力に頼っているのか? フランスは日本と同じように資源を持たない国であり、中東の石油動向に振り回されるのを嫌って、原子力政策に力を入れた。日本とほぼ同数の原子炉を持ち、それらは都市の近郊や畑のある開けたところにある。 ・フランスは1973年の石油危機の後、国家戦略として原子力エネルギーの利用に力を入れることにした。 ・国民の意思を統一するために70年代に徹底的な討論を行い、共産党も賛成した。 ・フランスは原子力エネルギーの安全性について先生や子供たちに理解してもらう努力をした。 |