どうして どうしてできるだけ やさしくしなかったのだろう 二度と会えなくなるなら
「リフレインが叫んでる」
ちょうど今くらいの時期の寒い朝に、 友達を亡くしました。 その人は私の会社の同期でした。 前の日まで普通に会社にきていた彼女は、 その朝線路を歩いていて、電車に撥ねられました。 彼女とは、特別に仲が良かった訳ではなくて、 廊下や、ロッカーで少し立ち話をしたり、 飲み会のときに話すくらいで、 だから、彼女を死に向かわせた理由はわかりません。 その前日、珍しく残業していた私のところに 彼女が来ました。 私の部署にあった、本を借りたいということでした。 わたしは、「もうすぐ私も帰るから、明日返してくれればいいよ」 といって、他にも何か二言三言あって、彼女は普通に笑って戻っていって、 それが彼女と話した最後でした。 彼女の友人の中で、最後に彼女と話したのは 私かもしれない。 あの時の短い会話は、何度も何度も自分の中で繰り返されました。 あの時何かいつもと違っていなかったか、気付けなかったのではないか。 小さな言葉、たとえば、「最近元気?」とか、「今度飲もうよ」とか 何か、彼女を止める言葉があったのではないか。 その言葉を彼女は待っていたのではないか。 もしかしたら、彼女が抱えていた苦しみはとても大きくて、 私なんかの言葉では、どうすることも出来なかったかもしれない。 でも、もしかしたら、ほんの小さな言葉で、表情で、心で、 彼女の心の方向が変えられたかもしれない。 彼女はもう死んでしまったから、二度と話すことはできません。 ただ、その魂が今、あの日の暗い、寒いあの時間にではなく、 明るく暖かいところにいることを、切に祈ります。