「春一番」

春一番が吹いた日、洗濯物が飛ばされました。
お気に入りの真っ白なテニスのズボン、
すごい風の音に気付いて、ベランダを見たら、
もう跡形もなく行ってしまった後でした。
慌てて下を見下ろしたけれど、9階のベランダから
あの大風で飛ばされてしまっては、どこへいったのか
全く見当もつきません。
泣きたい気持ちで、でも諦められずに、自転車に乗って
探しに出かけました。
自転車置き場から、外に出たとたん、ありました。呆気なく発見。
道端の自転車の前カゴにふうわりと引っかかっていました。
ここに偶然、見事着地したのか。それとも誰かが拾ってくれたのかもしれない。
真っ白なズボンが、汚れてしまうのをかわいそうに思った人がいたかもしれない。
大切なズボン、返してくれた風に感謝。
あったかもしれない誰かの善意に感謝。
大慌ての私を椿が笑って見ていました。