![]() | 4年ごとの憂鬱 | ![]() |
夏のオリンピックがある年は、アメリカに住んでいるのが嫌になる年です。
アメリカのオリンピック報道は国際映像に縛られている国のそれと違い、1局が放送権を握っているので、自国の選手がメインになるのは仕方が無いとしても、他国の優れた選手に対する好意が無さ過ぎると思うのです。<br> メダル候補の他国選手の演技の最中に自国選手の経歴を流したりするので、結果が出てみれば、入賞した選手の事は全く知らずに終わってしまったりします。
だから、見なくなってしまいました。
でもオリンピックを避けようとすれば、他局は4年おきの大統領選一色で、夏場は両党の党大会もあるし、11月の投票日に向けてラストスパート、そろそろ重箱の隅のつつき合いが焦げ付いてきています。どちらも汚い部分が噴出して押さえられなくなっている時期です。
毎日のニュースを見ないわけにはいかないので、大統領選の話題はどうしても入って来ますから、嫌な気分がどんどん増して行きます。オリンピック報道にしろ、大統領選報道にしろ、アメリカ人の執拗なほどの「負けず嫌い」な部分が全面的に押し出されているという気がします。
ところで今、大統領選で一番の話題なのは、民主党候補のケリー氏のベトナム戦争疑惑。数々受けている勲章は、虚偽の申告なのではないかという事で紛糾しています。たとえば彼の自伝に書かれた軍歴のなかでも一番の栄光に輝く「1968年クリスマスの戦闘」は、当時の軍部の記録で「翌年の1月であった」事が確認されています。
ここで問題なのは、彼が勲章に値するかしないかという事ではありません。
米軍はよほどの特殊な状況下にないかぎりクリスマスには休戦をするので、その「クリスマスに出動した事」が受章に深く関わりがある事、特別な日付だったので「脳裏に焼き付いている」と語っている事、それが当時の記録では「全く別の日だった」という事が問題です。
つまり「自分の軍歴を劇的効果的に繕うために虚偽で塗り固める」という姿勢が、一国のリーダーとしてふさわしいかどうかということになります。もちろん軍歴という事になれば、ブッシュ大統領だって「徴兵制を回避するために州兵に志願した」「その州兵も、従軍期間を全うしたかどうか定かではない」という疑惑がありました。
ただしブッシュ氏は州兵にいた事実を、表立った選挙の道具として使っているわけではありません。
でもケリー氏はベトナム帰還兵の英雄であることを、非常にプラスに使って政治活動をしてきています。それが根本から崩れたら・・・困るでしょうね。
先日、1971年に当時27歳だったケリー氏が、初めて下院議員に立候補した時のTV対談を見る機会がありました。対談相手は、4ヶ月しかベトナムにいなかったケリー氏に対して4年近くも最前線にいた、当時25歳のジョン・オニールという人でした。どちらもベトナム帰還兵の団体を組織しており、ケリー氏が反戦を全面に押し出しているのに対し、オニール氏の団体は「とにかく平和理に兵を帰還させたい」という主旨でした。
オニール氏は最初からひどく怒っていました。
ケリー氏の下院議員出馬に利用されているのが分かっていたからです。番組中でも、それを何度も訴えていました。その1971年当時から、ケリー氏の軍歴に対する疑惑はあったんです。今回大統領に立候補したから、反対政党が掘り返して来たわけではなく。
オニール氏に新聞記事や公文書を持ち出されてビシビシと決めつけられ、ケリー氏は言葉尻を捉えて混ぜ返す事しか出来ませんでした。
そしてその時のオニール氏は帰還して来たばかりで、身の振り方も決まっておらず、ケリー氏に追随していたほうが得なんです。でもそれをしない。水面下の炎のように、顔つきは穏やかでも火の玉のようになっているのが分かるのでした・・・オリンピックの憂鬱が、とんだ話に発展してしまいました。
でもその時のオニール氏、かなりかっこ良かったですよ。顔だちはモト冬樹みたいでしたけどね。
このところまたケリー氏の事で引っ張り出されてしまい、しかも暴露本まで出版したので、それだけだったら気にも留めなかったと思いますが、あの71年のフィルムを見たら・・・
