転送台へ!

スタートレックの異星人

  登場する多彩な異星人たち。その多くがヒューマノイドなのは、一つは予算のせい、もう一つは人間と絡ませる場合ヒューマノイドの方がドラマとして理解しやすい、という側面があります。異形の生命体としてはホルタ、結晶生命体、アルマス、Q、シェイプシフター、トリル(本体)などがありますが、先々はそうした生命体についても触れていきたいと思います。 
惑星連邦 クリンゴン ボーグ ヴァルカン ロミュラン
ハーブ・ベネット演じるボブ提督 惑星連邦(The Federation)【全シリーズ】
  2161年、ロミュラン帝国との戦争終結後、地球周辺領域の統合と安全保障を図るために設立されたのが惑星連邦の起こりです。惑星連邦宇宙艦隊司令部はサンフランシスコに司令部を置き、われらが主人公たちの航宙艦エンタープライズやボイジャーも、ここに所属しています。異文化との交流や深宇宙探査など、その任務は防衛だけにとどまらず多岐に渡っています。
  その姿は正義の輸出に熱心な米国を思わせますが、シリーズを重ねるにつれて組織自体の設定も肉付けされていき、ただの理想主義者の団体という訳ではなく、『宇宙艦隊規約』(宇宙艦隊のガイドライン)が潜在的にはらむ矛盾点を指摘していくなど、厚みを増しています。『宇宙艦隊規約』は内政不干渉の原則とも呼ばれていますが、これは連邦外部の国家全てに適用されます。結果として、眼前で今しも滅びんとしている文明があったとしても、連邦加盟国でなければ見過ごさなければならないというジレンマがあるのです。これらの問題に対し主人公たち(カーク、ピカード、シスコ、ジェーンウェイら)が如何に対応していくか、それらがスタートレックの見所の一つでもあり、指揮官たちの個性を発揮する場であったりもします。
  艦隊士官は宇宙艦隊アカデミーで徹底した教育を受け、自由と博愛を徹底的に叩き込まれた、ある意味鼻持ちならない完璧な人間として描かれてきましたが、シリーズを追う毎にその点を指摘する声が持ち上がり、レジナルド・バークレイ(新スタートレック)やトム・パリス(ボイジャー)などの人間としてどこかしら欠点のある(と、いうよりも私たちから見ればごく普通の人間)が登場し始めます。
  あわせて付記しておきますと、連邦のこの理念は原案者ジーン・ロッデンベリーの思想が色濃く出ており、あまりに夢想家じみた理想論は多くの批判を呼んだものの、ベトナム戦争当時という世相を考えれば、冷戦構造を打破しようと意気込んだ、時代を先取りした未来観であるとも言えます。そしてスタートレックシリーズは、「人類未到の」未来に「勇敢に航海」を始めたのですから。(何しろ最初の作品の出演者には第二次大戦! の出征者もいるのですから)

 ※代表的人物 カーク、ピカード、シスコ、ジェーンウェイ……って、全員と違うんか?

  ※参考エピソード 全エピソード 

カークのチャディッジを務めるウォーフのご先祖様クリンゴン帝国(The klingons)【全シリーズ】
  クリンゴン!
  仮にもトレッキーを名乗る者で、この名に魅力を感じない人はいないでしょう。連邦最大の敵、最強の盟友、最後の馬鹿者(失礼!)、その姿や立場を次々と変え、スクリーンに現れるたびに魅力的な勇姿をあらわすクリンゴンは、スタートレック内でもバルカン人と並び不動のスターであります。
  クリンゴン帝国の母星は惑星クロノス。資源衛星プラクシスの爆発(スタートレック6)を機に連邦と同盟関係になり、スタートレックシリーズ最高の悪役という地位はボーグらに譲ったものの、その魅力はいささかも衰えません。
  クリンゴンは国家予算のほとんど全てを戦争に投入するという戦闘国家で、彼らのアイデンティティは「戦って名誉ある死を迎えること」にあります。クリンゴンの世界観設定には日本の武士道が参考にされていると言われていますが、日本人から見るとそれは誇張されてた滑稽なものに映ることでしょう。勿論大きくデフォルメされていることは事実ですが、日本人ですら「刀は武士の魂」などという誤った理解をしている向きも少なくはないのですから(そう呼び始めたのは江戸期以降で、いわゆる精神論としての武士道が確立され始めてからのもの)無理からぬ事とも言えます。クリンゴンにおける『刀』に当たるものは、『バトラ』(作中でもバトラ、バトラフ、バトレフなどと呼び名がまちまちですが、ここでは一応バトラと呼び習わすことにしま)になります。バトラはクリンゴン伝説中の神カーレスが用いた刀剣で、カーレスやバトラはしばしばその名を作品中に見ることが出来ます。(カーレスが作中のエピソードに取り上げられたものもあります)
  なお、クリンゴンには茶の湯の伝統もありますが、これは毒草を煎じた茶を喫し、勇気を試すというすさまじい儀式となって現れます。
  またクリンゴン人は主要臓器が二つあるという設定も明らかにされ、凄まじい生命力に対する具体的な説明ともされています。
  さて、クリンゴンを語る上で欠かせないのは、その艦船ですが、ここでは最も魅力的な『バード・オブ・プレイ』にだけちらりと触れることにしましょう。バード・オブ・プレイはクリンゴン帝国の主力艦として長く活躍し、猛禽類を思わせる奇異なシルエットから多くの心を掴んでいる名脇役(?)の一つです。クローキング・デバイスと呼ばれる透明偽装装置を備えており、姿を見せることなく敵に忍び寄り襲い掛かる姿は正に猛禽類を思わせます。このシステムは同じく敵役ロミュラン帝国からの技術供与を受けた物ですが、原則的に遮蔽(透明)状態にある時は攻撃できません。が、クリンゴンは実験機ながら遮蔽したまま攻撃できる艦を開発していました(スタートレック6)。が、その後スクリーンに現れないのは単に技術を失ったものなのか、それとも姿を隠したまま攻撃することの卑怯を悟ったのか、不明です。劇場版スタートレックでクリンゴン艦が進軍するバックで流れていたあのテーマが、ファーストコンタクト(劇場版8作目)でクリンゴン人連邦士官ウォーフの登場シーンでアレンジされて流れていたのを耳にして震えを憶えた方も少なくないでしょう。音楽は同じジェリー・ゴールドスミス。さすがの名調子は『オーメン』でアカデミー賞を受賞した手腕に恥じないものです。
  脱線しましたね。
  ではまとめに一言。「クリンゴンよいとこ一度はおいで(でも命は二つ用意してな)」

 ※コロス(TOS、DS9)、ウォーフ(TNG、DS9)、ガウロン(TNG、DS9)、カーン(またはクーン:TNG、DS9)、グリルカ(DS9)など

  ※参考エピソード「新種クアドトリティケール(TOS)」「錯綜した美学(TNG)」「クリンゴン帝国の危機前/後(TNG)」「クリンゴンの暴挙前/後(DS9)」 

ロキュータス  ボーグ(The Borg)【新スタートレック〜】
「無限の大宇宙」。TNGで初めてその姿を現し「浮遊機械都市ボーグ」で新シリーズ否定派のファンさえもその存在感は認めざるを得なかった、最高の悪役がボーグです。ボーグはヒューマノイドと機械とのハイブリッド生命体。設定の段階では昆虫型の生命体で、蟻の様な集団生活を行う異星人というものでありましたが、予算の関係で没。結果として先の様な種族となり、個体としての意識を持たぬ集合意識的存在と変貌しました。
 ボーグの目的は「他種族の生物的、文化的特性を同化吸収し、集合意識に取り込む」というもので、それが彼らの「進化」にあたります。繁殖については子供も作るようなことを前出のエピソードで確認できますが、それ以後は忘れられたか、無視された設定らしく、基本的に他種族を吸収することで繁殖します。(ボーグの幼生態というものはそれ以後画面に現れません。が、あるいは蜂のように「巣」があるのかもしれませんが)
 有機的な反応を見せぬボーグの不気味さは「バイオニック・ゾンビ」などと評され、一見無軌道に増殖しつづけるその様は、ジョージ・A・ロメロが大量消費の象徴として描いた「ゾンビ」と確かに似ていなくはありません。ただボーグは蜂を思わせる生態を持っており、一般のボーグ(働き蜂)の一人称は”We”(われわれ)であるものの、中核となる意識体(女王蜂)の一人称は”I”(わたし)となっています。現状確認された個体意識を持つボーグはボーグクイーンやロキュータスが知られています。詳しくは、エピソードを。(それゆえロキュータスは”I”という一人称を用いています)
 さて、ボーグのテクノロジーですが、出会った文明を次々と吸収する、という点できわめて高水準であると想像できます。登場当初より連邦の新鋭艦エンタープライズを遙かにしのぐ加速を見せ、光子魚雷やフェイザーなどのエネルギー兵器を瞬時に無効化してしまうほどです。が、「ファースト・コンタクト(ST8)」で明らかなようにボーグ自身に対する有効的攻撃手段は運動エネルギーを用いた兵器(実弾銃)や格闘武器(バトラ)などのようです。じゃ、何でそれをつかわねぇんだよと言う話もありますが、一つには反作用を伴う兵器は無重力下の運用が難しいこと、また出力調整が行えないため場合によっては艦に致命的なダメージを与えてしまうことなどが考えられます。近接戦は勿論、同化されるリスクが極めて高いためです。しかしさすがにポジトロニック・ブレイン(データの頭脳に当たる物)を目にしたことはなかったようです。
 ボーグの宇宙船は確認されているだけで二種類ほど存在していますが、やはりその造形で目を見張る物と言えばボーグ・キューブ(立方体ゆえキューブと呼称されている)でしょう。宇宙船ならではの斬新すぎるデザインは、機能のみを追求し続けたボーグにふさわしくデザイン性など皆無で、非常に説得力がありました。(きっとミニチュアを作るのもラクだったでしょうが)

※代表的人物 ロキュータス(TNG、DS9)、ヒュー(またはブルー:TNG)、ボーグクイーン(ST8)

※参考エピソード「無限の大宇(TNG)宙」「浮遊機会都市ボーグ前/後編(TNG)」「ファースト・コンタクト(ST8)」「ボーグ ナンバースリー(TNG)」「UNITY(VGR)」

ヴァルカン大使サレクヴァルカン(The Vulcans)【全シリーズ】
 ヴァルカン人と言えばスポック。それ故に演じることが難しいとされていたヴァルカンも、VGRのトゥボックの出現で、漸く色々なヴァルカンが画面に姿を現すようになりました。
 ヴァルカンの祖は、ロミュランと同じであるといわれています。ヴァルカンはもともと好戦的な種族で、恐るべき体術と技術力を用いて争った結果、滅亡の危機を迎えたようです。その危機を乗り越えるために、ヴァルカン人は感情を捨て、理性、論理を以て己を律する術を得ました。
 ヴァルカンといえば「非論理的」という科白で有名ですが、決して感情がないわけではありません。むしろ激烈な感情を強烈な自制心で押さえ込んでいるようです。「感情の赴くままに生き、感情を解放しよう」と主張し、ヴァルカンを放逐されたのは(その後のエピソードではなかったことにされているような)スポックの兄、サイボックですが、そうした動きがヴァルカン内部にも厳然として根付いていることは、その後のエピソードにも散見できます。
 一見平和的な種族ですが、軍事技術力などは未知数ながら極めて高度な物を保有しているようです。また、独特の体術体系を持っており、著名な物としては「ヴァルカン掴み(ヴァルカン・ピンチ)」があります。首の付け根あたりの経絡を刺激して相手を昏倒させる技ですが、ヴァルカン以外でこの技を実践したのは、今のところデータだけです。
 またヴァルカン特有の能力として「精神融合(マインドメルド)」があります。二者の精神を文字通り「融合」し、意識を共有するというものですが、その危険性はホロ・ドクターをして「ばかげたこと」と言わしめたように、様々な危険をはらむ物であります。快楽殺人者と精神融合したら……ヴォイジャーでは、そうしたエピソードも語られます。
 また、ファーストコンタクト(ST8)で描かれているように、人類と最初に接触した異星人はヴァルカン人です。「長寿と繁栄を(Live long and prosper)」という挨拶に代表される平和的精神は、後の惑星連邦の理念に大きく寄与しました。
 人類にとっては良き同胞であるヴァルカン人。クリンゴンと並ぶシリーズ最高の脇役として、これからも君臨し続けるでしょう。

※代表的人物 スポック(ヴァルカン大使スポック:TOS、TNG)、サレク(TOS、TNG)、トゥボク(VGR)、サイボック(ST5)

※参考エピソード「バルカン星人の秘密(TOS)」「殺人鬼スーダ(VGR)」「潜入! ロミュラン帝国(TNG)」「スタートレック3ミスター・スポックを探せ」

ロミュラン指揮官ロミュラン(The Romulans)【全シリーズ】 
なう ぷりんちんぐ
転送台へ! 本店へ