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スタートレック(略称TOS)

邦題:宇宙大作戦(宇宙パトロール)

NCC1701A USSエンタープライズ
 惑星連邦(地球圏を中心とした組織)所属航宙艦エンタープライズ号(NCC−1701)の冒険物語。今見ると映像もしょぼいし、話も笑えてしまうものが多かったりしますが、製作された年代を考えると恐るべき作品としか言えません。メインキャストへの黒人起用もかなり異例の事だったようです。
 実際の所、細部の演出のまずさや主人公カークのパーソナリティが確立していなかった(いやむしろ、女とみれば誰でもくどく、と誤解を招いた演出をしていた)ことなどから、放映当初はむしろ酷評されていた部類に入っていたことは、ファンならばご存じの事でしょう。それが再放映を通じて、スタートレックの生みの親ジーン・ロッデンベリーの未来観や、エンターテイメントとしての面白さが再認識され、不動の地位を築いたこともまた、有名な事実です。それが逆に一部の熱狂的なファンを生み、作品世界やそのあり方にまで口出しをし始めるようになることは洋の東西を問わないようです。大抵に置いてそれが後発の作品の堕落を生むのですが、本シリーズはあえて作品を新たに作ることなく、冬眠期を置いた上で、ついにそうしたファンの声をはねのけ、自らのアイデアと思い入れを十二分に詰め込んだ「新・宇宙大作戦」を生み出したのはまた、後のこと。やはりクリエイターには、視聴者に必要以上に媚びないスタンスを貫いて欲しい物です。視聴者を無視する、と言うことではなく、主張したいことを視聴者の嗜好によってねじ曲げないだけの気構えが欲しい、という意味ですが。
 さて、本シリーズは劇場作品としても計6本を重ね、高い支持を受けてきました。日本では残念ながらインテリを気取る一部の批評家から「夢のような世界観」などと評され、アンチスタートレックも少なくはないようです。作品は本来、個人が楽しむべき物でありますから、様々な意見が出て来るのは至極健全なことだと評価していますが、影響力を持つ人間は、その発言には責任を持つべきだと個人的には思います。
 なお、劇場版の「ジェネシス三部作」と呼ばれる2,3,4は、実は1で投資した資金を回収するために作られた物だ、ということを考え合わせると、やはり当初は苦しかったようです。この三部作が大当たりした、というのも皮肉な話ですが。
 さてさて余談はさておき、本題に戻りましょう。人物解説です。 
カーク  スポック マッコイ チェコフ スールー  スコット 
カーク

 ジェームス・T・カーク(ジム)

女にだらしがない、おっちょこちょい、けんかっぱやい。いい所のない人のように聞こえてしまいますが、一応主人公です。アメリカという国のナショナリズムを端的に表した人物像はさすが、というところ。演じるはウィリアム・シャトナー。「ローデッド・ウェポン」「フライング・ハイ2」でのコミカルな演技や「パトカーアダム30」での熱血警官T・J・フッカーなど、見れば見るほどカークって地のまんま? と聞きたくなります。「魔鬼雨」というマイナーな映画にも出ていますが、最近改めて観てみようと思うと、見つからないですね。「フライング・コップ/知能指数0分署」オープニングのゲスト出演でのあの馬鹿っぷりは、まさにウィリアム・シャトナーならではのサービス精神でしょう。
 ミドルネームは「タイベリアス」。ローマ皇帝ティベリウスと同じ名前ですね。ご大層な名前に負けてる気がしますが、業績は凄いです。
 エンタープライズ号初代艦長クリストファー・パイクの後を継ぎ、地球を救うこと……何回? そのおかげで彼は惑星連邦最大の英雄としてその名を後世にまで伝えられます。そしてその後、彼の乗艦であるエンタープライズ号は惑星連邦艦隊の旗艦としてB型のジョン・ハリマン(結局何したか解らない人)、C型のレイチェル・ギャレット(ロミュランという敵と交戦中、ややこしいことになって死亡)、そしてD、E型のピカード艦長へと引き継がれます。宇宙艦隊アカデミーでは歴史の授業で「偉大なる英雄」として語られる彼。それが真実なのかは、皆様ご自身の目で確かめて下さい(笑)。いや、あの人間くささがカークの魅力なんですが。
 声の出演の矢島正明氏は言うまでもなく素晴らしい役者様ですが、皆様には「UFO特集の声のひと」と言った方が「ああ、あの声か」とピンとくるかも知れません。矢島氏の声で、日本版のカークは随分と「理知的に」見えてしまいます。
スポック

 ミスター・スポック

 論理的思考でのみ動いていると主張してやまない素敵な人情家。ヴァルカンという惑星の住人です。Dr.スランプなどでもパロディにされていたので顔をご存じの方も多い? カークとスポック、後述のボーンズとはいいトリオ。演じるはスパイ大作戦でもお馴染みのレナード・ニモイ。スパイ大作戦では変装の名人パリス役で登場していますが、余談ながらこのシリーズ、何故か「変装の名人」という役どころは役者が長続きせず、かくいうニモイ氏も短命だったということでパリス以降同様の役どころはなくなったそうです。
 ニモイ氏はスタートレック劇場版を2本も手がけており、また子息はスタートレックシリーズの監督を務めるなど、幅広い才能の持ち主です。最近は髭を伸ばされたようで。
 さてスポックは、「ひょっとしてカークよりも彼が艦長をやった方が優秀なのでは?」と思わせるほどの能力の持ち主ですが、(実際カークが提督になった一時期、艦長を務めた時期があります)彼自身はあまり出世や権勢と言った物に興味がありません。彼の発想はヴァルカンの思想体系の中核を成す「論理」で動くことを「前提」としており、(それに「感情」という要素が加わることもしばしですが)それが危機に及んで常に最良の道を選択するゆえんでもあります。なお、彼は純粋なヴァルカン人ではなく地球人とのハーフなので、感情は彼の行動決定にかなり重要な影響を及ぼしています。例えば「友情」とか(そう言うとスポックは片眉を跳ね上げるでしょうが)。
 TNG出演の際「何故声が違うんだ!」と怒りの声が爆発した人気キャラクターであります。声の役者さんが既に故人であったので、やむを得ないのですが。
 さて、ヴァルカン人には「ヴァルカン・ネック・ピンチ」(ヴァルカンつかみ)と呼ばれる奇妙な体術が備わっています。首の付け根を掴んで一瞬にして相手を昏倒させる技ですが、後のシリーズに登場するデータが同じ技を使っている所を観ておもわず「ニヤリ」としてしまったら、あなたはもうトレッキーです。
 ちなみに、当店に散見する「長寿と繁栄を(Live Long and Prosper)」というフレーズは、バルカン人の挨拶から来ています。
ボーンズ

 レナード・マッコイ(ボーンズ)

 愛称はボーンズ。とにかくスポックとの軽妙な掛け合いは見事! という他はありません。文章を書こう、という方は彼らのリズミカルな会話を一度は聞いてみて下さい。「I’m Doctor」「He’s Dead」などの名(迷)台詞を残しています(笑)。演じるはディフォレスト・ケリー。ジーンズの似合う素敵なおじさまです。
「地底怪獣ホルタ」というエピソードで「私は医者だ、石屋ではない!」と名訳をしてくれた日本語版の吹き替えにも解るとおり、これはボーンズの口癖になっております。「サタデー・ナイト・ライブ」でもダン・エイクロイド扮するボーンズが(ちなみにカークはジョン・ベルーシ)「私は医者で仕立屋ではない!」と叫ぶシーンも爆笑物。
 とはいえボーンズはギャグメーカーでは決してなく、頑固な皮肉屋で、融通の利かないスポックに対していつも喧嘩を売っている割には、時としてスポックの身を案じる姿を見せるなど、人情味のあるキャラクターです。口が悪い割には人間を愛して止まない頑固者。それがボーンズの愛される理由でしょう。
 新シリーズでもパイロット版(放映前のプレゼン作品。現在は「デネブ星の大法廷」もしくは「未知への飛翔」というタイトルで放映されています)では医療部の提督として登場しています。(名前がクレジットされていないのは「トレッキーならわかる」からでしょうね)
 TOSシリーズ中、その演技力の堅実さ、表現力の豊かさからジーン・ロッデンベリーに特に乞われて出演したと言うだけあり、本シリーズでは決して欠くことの出来ない人物であります。文学のファンですが、しばしば記憶違いをしておりそのことでスポックに突っ込まれたりもします。なお、豆料理はマッコイ家の伝統であり、これを莫迦にするとマッコイ家を莫迦にすることになるそうです。

 1999年。6月11日、米ロスアンゼルス市内の病院で、ケリー氏が死去されました。79歳でした。死因については公表されていませんが、長年わずらっておられたそうです。ジョージア州生まれの彼は「OK牧場の決闘」などでも魅力ある演技を見せてくれ、「ガンスモーク」「ボナンザ」などのTVシリーズでも画面を飾ってくれました。もうあのスポックとの掛け合いが見られない、とスタートレック6を見たときに思いましたが、本当に永遠のお別れが来ようとは夢にも思いませんでした。
 心より氏のご冥福をお祈りいたします。

チェコフ

パヴェル・チェコフ 

 パヴェル・チェコフ。階級、アドミラル(提督:笑)。嘘です。
 スタートレック放映開始時、国際化されたクルーの中で「なんでロシア系がいないんだ!」との声に答えて登場したのがチェコフです。
 チェコフの活躍ハイライト。。
 OK牧場で、撃たれて死ぬ。
 空母「エンタープライズ」デッキから落ち、瀕死。
 カーン・シンから耳に変な生き物を入れられ、操られた挙げ句、瀕死。
 すばらしいですね(笑)。
 ST4ではテーマ曲まで作って貰えるほど、愛されたキャラクターです……愛されてるのか?
 クルーの中では最も若く、カーク以上に物事を深く考えず行動するため、保安部員と並び死亡率の高い人です。でも、何故か本当に死んだことはないよなぁ。女の子を見るとすぐにナンパしようとする辺り、彼女を作るのはチェコフが最初か? と思わせながらスールーに先を越されている辺り、やはりうっかり君のようです。
 何かに付け「僕のふるさと」ロシアが一番だと言う辺り、案外ピカードの原型なんじゃないかと言ったら、ピカードファンの方は怒るでしょうか。存在感がある、という意味ではTOSクルー中随一と呼んでも差し支えありますまい。ああ、またチェコフの悲鳴が聞こえる……
 演じるウォルター・ケーニッグ氏は、最近心臓病の手術を受けられたそうで、ちょっと心配です。映画「ムーントラップ」に主役として出演したり、「バビロン5」にも出演されたそうです(私はまだ←は見ていないのですが)どうにもチェコフのイメージが強く、「ムーントラップ」でも、いつ死ぬんだろうと心配してしまいましたが、大丈夫でした。ロシア訛りの強い巻き舌の発音が、耳に心地よくなったらあなたももうチェコフのと・り・こ☆  
カトー

ヒカル・スールー(カトー)

 おそらくオリジナルのメンバーで最も手堅い人生を生きてきた人。週がわりで趣味を変えた男、でも正解。
 拳銃とか、フェンシングが好きのようです(笑)。
 日本ではカトーの名の方が有名ですね。映画「ジェネレーションズ」吹き替えの際、カトーと吹き替えられていたことにオールドなファンは大喜びしました。地味で手堅い手腕を持ちながら、何故か腰の据わらない、うわついたイメージがあります。
 さて、何故彼が手堅い男かを説明しましょう。
 そのいち。ちゃっかり家庭を持ち、娘デモラはエンタープライズB操舵手にまで出世している。
 そのに。ちゃっかり艦長になり、当時の新鋭艦、のちに級(クラス)の代名詞となったエクセルシオールでおいしいとこ取りの活躍をした。
 そのさん。クリスチャン・スレイターを部下に持っている(それ関係ないやん)
 操船の腕はぴかいちで、ST4ではヘリコプターまで操縦してみせます。チェコフと気が合うようで、休日は彼と過ごすことが多いようですが、要領のよさは前述の通り、チェコフ以上。
 演じるジョージ・タケイは名前の通り日系人。スタートレックのコンベンション(ファン大会)では常連で、わざわざ日本から来たファンのために案内をかってでたりするほどサービス精神旺盛な方。ああ、わたしもスールーに案内されたい☆
 現在は主に著作活動を中心に活動しており、役者としてはTVを中心に活動されているようです。「冒険野郎マクガイバー」に出てきたときは「あっ、カトーだ!!」と画面の前で踊った覚えがあります(本当)。
 かっこいいスールーをご覧になりたい方は、是非ST6をご覧下さい。また、ボイジャーでもその勇姿をご覧になれます。

若かりし頃老いてなお盛んな頃(^^;;;モントゴメリー・スコット(スコティ、チャーリー)

 恐らくは世界で最もエンタープライズを愛し、宇宙で最もエンタープライズと名の付く船に乗船した男、スコティ。日本語版ではスポックと間違うという理由でチャーリーと名を変えて登場しています。米国映画の中でスタートレックのパロディといえばボーンズの「私は医者だ!〜ではない!」と、「スコティ、転送だ!」でしょう。そして最も容姿の変わった人でもあります(笑)。
 さて、スコティが愛される理由にはまず、演じるところのジェームズ・ドゥーアンについて語らねばならないでしょう。
 ドゥーアン氏はとにかく、この「機械屋」と呼ぶに相応しい職人スコティを心の底から愛しています。「ちょっとスコティの役で出て貰えないか?」と頼まれればスタートレック以外の作品にでもその勇姿を見せてくれます。彼の勇姿がご覧になりたい方は「ローデッドウェポン」(主演エミリオ・エステベス)などをご覧になると良いでしょう。この作品にはかのシャトナー氏も悪役で出ています。こうしてセルフパロディすら喜んで引き受ける彼の度量の大きさが体重にも……もとい、人気にも繋がっています。
 同じくエンジニアであるTNGのジョーディが電子系のエンジニアであるとすれば、スコティは間違いなく機械系です。数々の奇蹟でエンタープライズを救い(そのうちのいくつかはTNG中で「インチキしていた」と告白していますが(^^;;;)いつもハイドロスパナ片手に駆け回る。
 しかし彼の凄いところはこれだけではありません。
 TOSファンならばご存じの通り、カーク、スポックに次いで指揮経験の豊富な士官は彼なのです。彼にしてみれば「そんなめんどくさいこと儂はしたくないが」と言うでしょうが、しばしば地上で行方不明になる有能な上司のおかげで、すっかり実務経験豊富になってしまいました。
 さらに。彼が如何にエンタープライズを愛しているか、その証左として勿論ST6の折り、出向する同船を腕組みしつつ嬉しそうに眺めている姿、でもいいわけですが、ここはやはりオリジナルシリーズから例を引きましょう。
「トリブル騒動(放映時は「新種クアドトリティケール」)」を観ましょう。それで全てが解ります。
 彼が上官への忠誠や義務、士官としての尊厳よりもエンタープライズのことだけをどれほど愛しているか、このエピソードで全て、わかります。そりゃもう、ええ、完膚無きまでに。
 彼の名台詞は数多いですが、私が一つ上げるとすればST4の「ハロー、コンピューター」でしょうか。
 最後になりましたが、ちょっとだけネタ晴らしを。
 実は彼、TNGにて再登場しますが、その際にクルーと握手するシーンがあります。TNGのクルーといえばウォーフがいるわけですが、皆と固く握手を交わしていくにこやかなスコット、ウォーフの所だけは大きく迂回していきます。スコティといえばカークと並んで大のクリンゴン嫌いですが、さすがはTNGスタッフ、心憎い演出です。
 TNGから入ったファンの方は、その当たりも念頭に置いてご覧になっては如何でしょうか。
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