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スタートレック ヴォイジャー(略称VOY、VGR)

  邦題:スタートレック  ヴォイジャー

ボイジャー まずは、ボイジャーの絵を載せてみました。

 ちょっと違いますね。それもそのはず、企画段階のラフスケッチだからです。当初はさして有機的なデザインでなく、メカニカルなイメージが先行していたようですね。
 さて、ボイジャーはDS9と密接に関わっています。その点をちょっと解説してみましょう。
 ボイジャーのクルーは勿論連邦の一員なのですが、のっけからこのクルーはほぼ全滅してしまいます。そこで補充要員として迎えたのがマキ(マキー)のクルーだった、というのが第一話となります。マキというのは、DS9周辺の最大勢力カーデシアに対抗するゲリラ組織で、つまり非合法組織です。おぼっちゃんだらけの連邦と、無法者だらけのマキが協力し合って故郷へ帰る、というのがボイジャーのメインシナリオです。
 故郷?
 そう、故郷です。
 彼らはある異星人の力により、人類のいる銀河から遙かに飛ばされてしまったのです。未知の領域。これぞ”No One Has Gone Before”です。つまり、原点に立ち返り未知との遭遇を最も極端な形で再現して見せたわけです。
 冒険!
 なんと甘美な響きでしょう。この言葉の前にはサラリーマンも棒きれで犬を追い回していた少年の頃に戻り、おばちゃんも少年の後ろ姿に自分の夢を重ね合わせていた少女の頃に戻ってしまいます。心と瞳をあのころに戻し、さあ、くつろいだ気分で腰掛けてみましょう。
 目の前に、新たなる冒険が始まります!

ジェーンウェイ

 チャコティ 

 ドクター 

ジェーンウェイ キャサリン・ジェーンウェイ

  惑星連邦には女性艦長が多い。ジョーディの母親がそうであったし(『インターフェイス救出作戦』)、『恐るべき陰謀』のスコット艦長、エンタープライズC型のレイチェル・ギャレット艦長(『亡霊戦艦エンタープライズC』) がそうです。女性士官も決して少なくはない。が、主役としての登場はこのジェーンウェイがはじめてなのです。
  画期的なことと言える反面、少なくとも主人公のパーソナリティを肉付けする設定がオリジナルのカーク(米国人)から→フランス人ピカード(国籍)→黒人シスコ(人種)→女性ジェーンウェイ(性差)という形をとらざるを得なかった、と見ることも出来ないことはないです。ある種こうしたハードルを無理なく乗り越えるために段階を踏むのは、正しいことだと私は思います。今度は(あれば、の話だが)異星人の艦長に挑戦して欲しいですね。
  ともあれ、ジェーンウェイのお話である。
  まだ第一シーズンのみを見た結果で書いていることをまず、お詫びしておきます。シナリオ自体は見ているものの、実際の映像と違って見えることは往々にしてあるからです。こうした長いシリーズの場合、ストーリーの進行に従いキャラクターに肉付けされていくものなので、あくまで初見としての印象の域を出ない、という意味です。そうしてみると、ジェーンウェイはごく普通の女性という印象を素直に受けます。恋人もいるし、男女の仲にしても女性らしいスタンスで(艦長という立場さえなければ)ピカードよりは寛容です。カークは勿論、人のことを言えた義理ではないだろう(といいつつ、ピカードも結構浮き名を流しているようですが)。
  乗員に対する態度も母を思わせる所があり、初期のスタートレックにある『チーム』としての機能よりも、『家族』としての機能がクルーに与えられていたことを思わせます。※ロッデンベリー存命中ならば、はたしてこの設定が通ったかどうか。

  ※ジーン・ロッデンベリー。スタートレックの生みの親で、トレッキーにとっては神様の様な存在。そのあまりに理想主義的な未来観は製作者サイドでもしばしば問題となったものの、その理想主義こそが『常に明るい未来に邁進する努力を怠らない』スタートレックシリーズの原動力になっていることだけは否めない。

  艦長は帆船の昔から父、ないし母のような存在でしたが、ある意味原点に戻ったのだと言えるのかもしれません。しかしまだジェーンウェイのパーソナリティがどこか不安定に感じられるのは、製作者サイドの責任と言えるかも知れません。
  ジェーンウェイは当初エリザベス・ジェーンウェイという役名で別人が当てていたものの、すさまじい撮影スケジュールについていけず、自ら降板を願い出た、という裏話があります。そこで急遽ケイト・マルグルーが演じることとなり、役名もキャサリンに変更されました。十分な役作りをする間もなく撮影に取り組んだはずのマルグルーの演技を見る限り、むしろ『さすが!』と拍手を贈りたくなります。マルグルーはドラマなどでも多彩な演技力を見せ、「うちのかみさん」ことコロンボの奥様を演じたこともあります。(『ミセス・コロンボ』。余談ですが、同作にはチャコティも出演したらしいです。改めて見てみないと誰を演じていたのかわかりませんが)他にはヒロイン(!!)を演じていた『レモ/第一の挑戦』などもあり、あの頑固そうな顎は、やはり軍人向きらしくここでもやはり女性士官役。
  マルグルーの容姿とも相俟ってジェーンウェイは果断な指揮官という反面、先任の艦長達とは違い調停者としての手腕の冴えを見せています。ピカードとて、半永続的に不穏分子を抱えた状態で指揮を執って、ここまでうまくまとめることが出来るかどうか(ゲリラを指揮したりしたことはあるものの)。
  今後に期待のジェーンウェイ艦長なのであります。

副長☆ チャコティ

 USSボイジャー副長。カーデシアと国境を接するドーバン5号星出身。この惑星は200年前、自分たちの文化を護るべく移住してきたネイティヴ・アメリカンの住む惑星で、惑星連邦とカーデシアの和平協定によりカーデシア領となってしまった惑星だ。地球、そして宇宙においても安住の地を追われた訳である。当時連邦士官であったチャコティは反カーデシア組織マキ(マキー)にその身を投じ、ゲリラ戦を展開していくことになります。
 ケアテイカー(管理者)と呼ばれる異星人によってボイジャーともども遠い宇宙へ飛ばされ、マキのクルーをボイジャーに迎えるためのいわば政治的配慮によって副長に任命された、というところまでが第1話となります。
 いやぁ、それにしても、ライカーも好きですが、いいですね、副長☆
 それにしてもおもしろいのが、スピリチュアル・ガイドの存在です。様々なものをインスパイアしてくれる動物の姿をした導き手のことなのですが、おもしろいというのはガイドそのもののことではなく、ネイティブ・アメリカンの神秘主義を大きく取り扱っていることです。かつて東洋神秘学が幅を利かした頃の映画界の現象にも似ていますが、本質的なところでそれとは異なるように思えます。勿論興味本位な神秘主義への憧憬があることは否めませんが、最も重要なのは彼らがネイティブ・アメリカンということです。
 X−FILESや映画「ヤングガン」などにも見られたように、近年ネイティブを持ち上げるエピソードがきわめて多いことは、現象として事実です。理由は様々にあるのでしょうが、そのひとつに歴史的犯罪への贖罪があるだろうことは否定できません。しかしながらベトナムものが流行した際、己の犯罪を隠す手段としてアメリカが選んだ「帰還兵」という題材が「戦争で不幸になったのは必ずしも彼ら(ベトナム)だけではない」というすり替えであったのに対し、少なくとも前向きに対処している(ごまを擂っている)だけ、より健全に歴史的事実を認識しようと言う努力の跡が見えて、ほほえましいです。日本人として、これは見習わないといけないかもしれないですねぇ……
 チャコティというキャラクターそのものが、彼をヒーローとして描くことで罪滅ぼしをしようと言う作為が見えないこともないキャラクターではありますが、回を追うごとに肉付けされていくに従い、どのようなエピソードが生まれるのか、期待大です。TNGの如く、設定だけの人格ではなく一個の個性として歩き始めるのを楽しみに待っています。
 チャコティ演じるロバート・ベルトランは本当にネイティブの血を引いており、役者としても「マイアミ・バイス」や「ニクソン」に出演した経歴を持つ演技派の役者です。吹き替えの石塚運昇氏よりも声は比較的高く、きびきびとした実務肌の副長であることをアピールしています。一方石塚氏は深く重厚な声の持ち主で、ジェーンウェイの頼りになる副官として、少し違ったイメージを受けます。「バトルアスリーテス大運動会」ミスターミラクルや「カウボーイ・ビバップ」ジェット・ブラックなど、コミカルな演技も深みのある演技も両方こなせ、最近洋画などでチェックしているお気に入りの役者さんです。

ドクター ドクター

「緊急事態の概要を説明したまえ」

 姓なし、ミドルネームなし、名なし。呼び名はドクター。または、ドクター・シュヴァイツァー(笑)。
 医療スタッフの死亡したボイジャーにあって唯一医療知識のあるドクターであるが、その正体は緊急医療ホログラムである。
 役柄的な位置づけとしてはTNGのデータに当たる役柄です。彼は自分がホログラムであることを認識しつつも、データやモリアティ教授のように人間になりたいと思っているわけではありません。「我思う、故に我有り」といいますが、そういう意味では彼を知的生命体と認識すべきであるでしょうが、クルーは彼を物扱いしています。唯一オカンパ人のケスだけが、彼を一個の人格であると認めています。
 おおよそここまでが第一シーズンのお話です。
 映画「ファースト・コンタクト」にてボーグに対し皮膚の炎症について語る雄姿(!)がありますが、おそらく同モデルのホログラムが多数存在していると思われます。
 名台詞としては先に挙げたものの他、「またホログラムのスイッチを切り忘れたな」や、先日亡くなられた故・ディフォレスト・ケリー演じるボーンズの名台詞「私は医者だ、〜ではない」も挙げられます。ボイジャーシリーズにおいてコミカルな面、シリアスな面を演じ分けられる役柄で、開始直後からキムとともにキャラクターが立ってます。立ちまくってます。個人的には「コンピューター、パリスを消去☆」という台詞が忘れられません。
 ドクター開発チームのメンバーとしてはかのレジナルド・バークレイ(TNG)が挙げられ、また容姿はドクター・ルイス・ジマーマンをモデルにして作られたといいます。トレッキーはご存じと思いますが、ドクター・ジマーマンの名はTNGのデザイナー、ハーマン・ジマーマンからとられたものです。
 彼について多くを語る必要はありません。彼が登場した第一話から個性が溢れており、見れば間違いなく虜となることうたがいなし!
 本国アメリカでは早々にドクター(ロバート・ピカード)ファンの為のホームページが立ち上げられるなど、おそらくVGR屈指の人気者と言って良いでしょう。ああ、早く続きが見たい。
 ロバート・ピカードは「グレムリン2」「インナースペース」などにも出演していますが、硬軟幅のある演技者としてコメディ「バック・トゥ・スクール」などにも出演しています。いやあ、とにかく上手い人ですね。それらの経歴がヴォイジャーで花開いたというところでしょうか。
 声の役者さんは中博史氏。「機動新世紀ガンダムX」でもテクス・ファーゼンバーグという医者を演じていますが、こちらはドクターとは全く正反対の役柄で、いきなりヴェルレーヌの詩を読み始めるような変わり者です(笑)この演技力の幅が、ドクターというキャラクターを肉付けするのに一役買っていることは否定できないでしょう。
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