キャサリン・ジェーンウェイ
惑星連邦には女性艦長が多い。ジョーディの母親がそうであったし(『インターフェイス救出作戦』)、『恐るべき陰謀』のスコット艦長、エンタープライズC型のレイチェル・ギャレット艦長(『亡霊戦艦エンタープライズC』)
がそうです。女性士官も決して少なくはない。が、主役としての登場はこのジェーンウェイがはじめてなのです。
画期的なことと言える反面、少なくとも主人公のパーソナリティを肉付けする設定がオリジナルのカーク(米国人)から→フランス人ピカード(国籍)→黒人シスコ(人種)→女性ジェーンウェイ(性差)という形をとらざるを得なかった、と見ることも出来ないことはないです。ある種こうしたハードルを無理なく乗り越えるために段階を踏むのは、正しいことだと私は思います。今度は(あれば、の話だが)異星人の艦長に挑戦して欲しいですね。
ともあれ、ジェーンウェイのお話である。
まだ第一シーズンのみを見た結果で書いていることをまず、お詫びしておきます。シナリオ自体は見ているものの、実際の映像と違って見えることは往々にしてあるからです。こうした長いシリーズの場合、ストーリーの進行に従いキャラクターに肉付けされていくものなので、あくまで初見としての印象の域を出ない、という意味です。そうしてみると、ジェーンウェイはごく普通の女性という印象を素直に受けます。恋人もいるし、男女の仲にしても女性らしいスタンスで(艦長という立場さえなければ)ピカードよりは寛容です。カークは勿論、人のことを言えた義理ではないだろう(といいつつ、ピカードも結構浮き名を流しているようですが)。
乗員に対する態度も母を思わせる所があり、初期のスタートレックにある『チーム』としての機能よりも、『家族』としての機能がクルーに与えられていたことを思わせます。※ロッデンベリー存命中ならば、はたしてこの設定が通ったかどうか。
※ジーン・ロッデンベリー。スタートレックの生みの親で、トレッキーにとっては神様の様な存在。そのあまりに理想主義的な未来観は製作者サイドでもしばしば問題となったものの、その理想主義こそが『常に明るい未来に邁進する努力を怠らない』スタートレックシリーズの原動力になっていることだけは否めない。
艦長は帆船の昔から父、ないし母のような存在でしたが、ある意味原点に戻ったのだと言えるのかもしれません。しかしまだジェーンウェイのパーソナリティがどこか不安定に感じられるのは、製作者サイドの責任と言えるかも知れません。
ジェーンウェイは当初エリザベス・ジェーンウェイという役名で別人が当てていたものの、すさまじい撮影スケジュールについていけず、自ら降板を願い出た、という裏話があります。そこで急遽ケイト・マルグルーが演じることとなり、役名もキャサリンに変更されました。十分な役作りをする間もなく撮影に取り組んだはずのマルグルーの演技を見る限り、むしろ『さすが!』と拍手を贈りたくなります。マルグルーはドラマなどでも多彩な演技力を見せ、「うちのかみさん」ことコロンボの奥様を演じたこともあります。(『ミセス・コロンボ』。余談ですが、同作にはチャコティも出演したらしいです。改めて見てみないと誰を演じていたのかわかりませんが)他にはヒロイン(!!)を演じていた『レモ/第一の挑戦』などもあり、あの頑固そうな顎は、やはり軍人向きらしくここでもやはり女性士官役。
マルグルーの容姿とも相俟ってジェーンウェイは果断な指揮官という反面、先任の艦長達とは違い調停者としての手腕の冴えを見せています。ピカードとて、半永続的に不穏分子を抱えた状態で指揮を執って、ここまでうまくまとめることが出来るかどうか(ゲリラを指揮したりしたことはあるものの)。
今後に期待のジェーンウェイ艦長なのであります。 |