Maxwell 方程式を満たす電磁場では、どのような静的な電荷と電流の配置でも、 全体場の運動量が 0、という仮説を立て証明を試みるべきかもしれない。 箱の中に運動量はあっても外にも電磁場があって、それが常に逆方向の運動量を持ち、 全体場ではつねに運動量はない、という予想である。この予想も証明は難しい。 逆の予想では、一般に規制する法則のない場合、任意というものである。 私の結論も逆であった。
2 物体 a, b があり、a が b に 力 F_ab を及ぼすとき b が a に F_ba を及ぼす。 F_ab と F_ba は 向きが反対で、同じ大きさである(作用反作用の法則)。 力は物体の質量と加速度の積、物体の運動量の時間変化(時間微分)であるから、 物体間の作用反作用とは、a, b 間での運動量のやり取りが閉じていることである。 a が b に与える運動量変化は b が a に与える運動量変化と符号が逆で、同じ方向を向く。 すなわち、物体間の作用反作用の法則は、a, b の全体の運動量の保存則である。 この法則は、電磁気では成り立たないことがある。
静止した電荷間のクーロン力は、つねに作用反作用の関係を満たすから、 クーロン力を電場の概念に置き換えても、場の運動量は関係しない。 しかし、ファインマン物理にある、2 電荷が直交する例のように、 電荷 A が左から右へ x 方向に進み、電荷 B が下から上に y 方向に進むとき、 A が B にもたらす力は B が下方にいるとき -x 方向、上方のとき x 方向であり、 B が A にもたらす力は A が左にいるとき -y 方向、右のとき y 方向である。 作用反作用の関係では、力の大きさが等しく方向が逆、作用線も一致すべきなのに、 これは、満たさない。物体だけの運動量保存、角運動量保存則は崩れている。
右方に環状電流があり、左からそれに近づく電荷がある。環状電流から電荷に作用する力と、 電荷から環状電流に作用する力は同じ方向をむく。("いまさら電磁気学") 電荷の運動は、遠方から環状電流の外で止まる部分的な電流である。コイルを挟む位置に2つ の電極をもつコンデンサに向かう部分電流である。コンデンサ間の電場は時間変化し、 この変位電流が反作用を受け持つのだろうか。
電磁気では、場が運動量を受け持つ。電磁気での作用反作用の法則は、 物体と場の全体運動量の保存則である。電荷が電磁場から力を受けるとき、 場はその反作用を受け、運動量を変化させる。
S= ε_0 c^2 E x B, g= ε_0 E x B
空間の一点には運動量密度 g が存在する。運動量は、エネルギー(質量)の移動を表す。 Poynting ベクトル S は、単位面積当たりのエネルギーの流れを表す。 これは、体積あたりの運動量、運動量密度 g と比例する。 その時間微分 dg/dt は、場が受ける圧力、その発散 div g は、場のエネルギーの発散、 その全空間での積分∫ g dvが場の運動量である。
図 1 の直方体空間に x 方向に電場、 y 方向に磁場を与えると、z 方向の運動量がある。 直方体の外部には磁場も電場もないときそのとおりである。これは、ありえないことだろうか。 磁場は鉄心によって遮蔽でき、電場の遮蔽は、さらに容易である。外部にもれた磁場があっても、 電場がなければよい。外部に電場と磁場の外積がなければよい。 だから、この箱が"原理的に不可能"とは思えないのである。
しかし、静止した箱の中に運動量が保持できるとすると、 その重心が静止していて運動量が存在することはあり得るのだろうか。 逆にもし重心が移動しているなら、箱は静止しているのに、時間がたてば箱の重心は、 宇宙の果てまで行ってしまうのか。 運動量を持つ箱の電場または磁場を切って運動量をなくすと、その運動量は箱に移され、 この箱をのせたロケットは任意に静止でき、また同じ方向に進行できるのだろうか。 この箱の向きを変えるには、運動量を与えなくてはならないのか。 この変わった挙動を示す箱は存在できるか。これは、ばかげた空想だろうか。 しかし、実在とは法則の正しい適用でしかない。明確にする値打ちのある問題である。
電荷を集めるとき、仮にまっすぐなレールを軸から放射状に用意する。磁場の中を 無限遠から引っ張りこまれる電荷はレールに垂直な力を与え、円盤は回転をしようとした。 それを止めた後だから、磁場を切るとき角運動量が解放されるのである。
しかし、この思考に対する抵抗の激しさは大きなものである。それを一言で言えば、 ”並進の運動量が場に蓄えられるなら、その重心はどこへ行ってしまうのか” ということである。場といっても物質と特に区別するものではない。 エネルギーも質量をもち、慣性力も重力も持つ。運動量があって質量があれば、 重心はある速度で移動しているだろう。それが蓄えられるとは、どういうことだろう、ということである。 大抵の人は、このような考えをする人とは、つき合わないほうが安全と考えるだろう。 ”もしかすると、あなたは UFO 研究者ですか”と、慇懃に聞かれることを覚悟できるだろうか。 危険を察知してここで止めるのも、それは当り前の態度である。
運動量保存という原理的なものを認めたならそれで終りではないか。
個別の問題を解こうとしても、電磁気では、すなおに解ける問題と、そうでないものがある。
いや解ける問題とは、現実の複雑なものの、ほんの一部であるといったほうが正しい。
ここで難しい問題に一生を棒に振るのは、単なるバカである。

このような場合、運動量が全空間でどのような値を持つかは、 数値的にでも解かない限りプラスともマイナスとも 0 とも言えない。 ただ前後の空間の運動量は、大したものではなくコイルの左右領域と同程度であろうか(図 4.(a))。
コイル形状が任意の場合、コイルの内側に属する 3 次元領域では磁場が上向き成分があり、 外側では下向きを保つと単純化して仮定し、 異符号電荷の作る電場の右向き成分領域だけを囲むようにコイルを置くことができるとすれば、 そのコイルの内側領域全ての点で、E x Bの運動量はこちらに向かう成分を持つ。 しかもコイルの内側は、次のように任意に広げることができる(図 4.2.(d))。
+ と - の電荷を x 軸上に配置し、xy 平面上の電場を見る。 電場の x 成分が正の領域だけを含むように xy 平面上にコイルがある。 コイルの磁場の z 方向成分は、 コイルの磁場を単純化してコイルの内側に属する全ての z において正、外側で負であるとする。 コイルの内部領域で、E_x > 0 かつ B_z > 0から、運動量の y 成分、M_y= E_x B_zは正である。
コイルの磁場の単純化があるため、これは、異符号電荷とコイルの磁場のもつ運動量が 0 でない証明ではなく、定性的説明である。実際のコイルの磁場は、z が xy 平面から離れるに従って、 内側領域(B_z > 0 )が広がるものである。また、1 対の電荷の作る電場は軸対称であるが、 これもE_X >0 の領域は、z が xy 平面から離れるに従って広がるものである。
コイルの両側に同符号電荷を置くことと、それを異符号にすることの関係を考える。
コイルの両側の反対符号の電荷の作る電場は、それぞれの電荷の作る電場の和であり、 運動量密度は E x B に比例するから電磁場の積に比例するが、電場単独には線形加算でき、 運動量密度はそれぞれの運動量密度の加算になる。 そのためコイルの片側の電荷の運動量を解析すれば十分である(図 4.(b))。 片側電荷の作る運動量と、他方の電荷の作る運動量は独立であり、 両側電荷の運動量は、その両者の和である。
同符号電荷では、空間全体では逆側電荷のもたらす運動量と打ち消され、角運動量だけが残る、 異符号電荷を置くとき、両方の運動量は同方向を取り運動量が初めて姿を表す、 片側で運動量がなければ、どうして同符号点対称において角運動量が出来ようと考える。 次節の”いまさら電磁気学?”の円環電流に電荷を近付ける話は、この形をしている。 無限遠から電荷をそこに持って来る途中に、 電荷もコイルもずっと同じ方向の力を受けることを素直にとれば、 片側電荷配置の静止場全体の運動量がゼロでないことを示しているのではないだろうか。
図 5 のように電荷がコイルに近付くとき、コイルの磁場が電荷に与える力の方向と、 電荷の移動がコイルに与える力の方向とがともに上方であり、同じ方向である(図 5.1上図)。 それらは作用反作用の関係にはないとの説明であった。これをどう考えるか。 これらの力の反作用は、電磁波ではない。電荷は直線上を進むので、電磁波がでることはないからである。
この本は、電荷の移動によって、周囲には電場の時間変化(変位電流)が発生し、 これが逆向きの力を受けると説明する。電場の時間変化とは、場の性質であり、 場が力を受けるということである。それは場に運動量が蓄積することである。 電荷がコイルの近くにあること自体で、運動量が場に蓄えられるなら、 それに至る力の説明として理解できる。 問題は、そのように静的な電磁場に運動量が許されるかである。
それなら、一様でない静磁場に置かれた電荷の作る場は運動量があるだろうか。 磁場が一様で、ちょうど打ち消されるのなら、一様でない磁場に置けばよい。 例えば、図 6 の電荷の右側に磁場がなければ、バランスは崩れて、場の運動量が存在する。 もちろん、電磁場は、任意に作成できるものではない。 マックスウエル方程式を満たす電磁場でなければならない。ここで、静止場とは、 静電場と静磁場をいう。電流と静止した電荷で作成できる電磁場である。 また無限が介在しないようにしないといけない。例えばどこまでも一様な磁場というのは、 実在できない。しかし、コイルのそばの電荷は、まさにその可能な例であり、 電荷の左右の磁場が対称でないだけではないだろうか。

つまり、電流が電位をもつと、運動量を持つ場をもつ。 断面での放射上の電場と電線を周回する磁場とは常に直交して電線方向の運動量をもつ。 戻りの電線も、電場磁場ともに逆だから、運動量は同じ方向、電力を送る方向に場の運動量が存在する。 戻りの電線と遠端点を結合したものを考えると、この長い長方形の電流は、 ポインティングベクトルが一方向を向いた空間を用意する。
ファインマン物理にあったように、抵抗を持った電線に電流が流れ、電流の方向の電場があるとき、 単位面積あたりのエネルギーの流れであるポインティングベクトルは、外から内に向き電線に向かう。 抵抗での発熱は空間から内側に向かうエネルギーの流れで補充されている。 このように、エネルギーの移動を場から説明する。エネルギーは、電線の中を流れるのではなく、 電線の周りを流れているのである。
電圧と電流との積で電力となるという通常の説明よりも、電線の局所に電位は見えないので、 この変わった E x B で説明する方がうまくいくことに驚いてしまうものである。 今までの交流理論とか、電気回路理論、過渡現象論、電気工学、電子工学、電気通信理論などすべては、 何だったのかと。
しかし、送電線の場では全体が無限に長いから運動量があっても不思議ではない。 そのような場の2次元的な輪切りでは、運動量が現実に存在しても当然である。 有限長の物体の作る静止場が運動量をもつかどうかが、問題である。 問題は、箱の中の運動量であり筒の中の運動量ではない。
直線電流に近付いて磁場が大きくなるにつれて、ベクトルポテンシャルも大きくなる。 電流の方向を向いたベクトルポテンシャルの中に電荷が存在すれば、運動量が存在し、 電荷はその場所に近付くまでにその反作用としての力を受けるのである。
電荷がプラスで、直線運動による接近のとき、電荷の受ける力はつねに電流と逆の方向である。 これの反作用は、場の運動量と考えられる。逆に電荷を無限遠に遠ざける場合に、 その運動量は取り出される。
ところが電流を切る場合には、電線を取り囲む周上の磁場が消えるだけで、電荷は力を受けない。 このときは、電流の流れていた電線側に力がかかるのだろうか。電流の方向に電場ができるのだろうか。
これは、力×時間の次元をもつ力積または運動量であり、B点から A点への逆方向移動では、 逆の運動量が与えられる。rot A= B というもとの関係から、
B x dl = rot A x dl = A div dl - (div A) dl = dA または別の表記をとれば、
B x dl =(∇x A )x dl = A(∇・dl) - (∇・A) dl
dl 経路を辿る線素の発散は 1 であるから div dl = d, A の発散 div A = 0 とすることができるから、
-q∫_A^B B x dl = - q[A]_A^B
∫ B x dl = -A
電荷がそのベクトルポテンシャル A の点に存在するだけでもつ運動量がある。 これは、場の運動量として存在すると思われる。電荷の受ける力の反作用の力積は、 q A として場に与えられたと考えられる。
一般にはないと考える。電荷が力を受けるとき、磁場の発生源が反作用の力を受けているなら、 それは、電荷と発生源の単なる2体の物体間の力学である。 電荷が逆方向に移動するときにバネを押し縮めた物体のように、電荷は行きと逆方向の力を受け、 磁場源もまた逆方向の力を受けるだけであり、2体の系全体の運動量は存在しないことになる。 それでは、場はバネでしかなく、場に運動量があるとか考える必要はない。
電磁気現象一般には、物体系の運動量と、場の運動量を加算して運動量が保存され、 物体と場の作用反作用の法則が成立する。
電磁気の運動量が、力学的に見えるかどうかも重要な争点である。 運動量が場に蓄えられているとき、電磁的運動量が力学的に見えるなら力学の用語で十分である。 重心移動が存在することを要求される。力学的に見えないなら、力学的法則は一部、破綻する。
電線は (0,0) にあり、電荷が (1,0) とする。x 軸上だけを考えると、磁場は、
+-y 方向で、1/x に比例する。電場は、+-x 方向で、1/(1-x)^2 に比例するが x=1 で符号が反転する。
両者は直交するので、運動量の大きさは両者の積、
1 /(x (1-x)^2)
である。これの -∞から1 までの積分と 1 から+∞までの積分を比較すれば、 x 軸上の積分であるが運動量をもつかどうか決定できよう。
しかしよく考えてみると、これは帯電した電流の電荷が少し横にずれただけである。 遠方ではその差はないだろう。 一般に、少しずれただけで完全に様相が一変するということはない。 それなら、計算する必要もない。電線と電荷に大きさはない場合、 微小量のずれがどれほどの影響を与えるかは計算すべきだろうが、 現実の電線と電荷においてはもっと影響がないだろう。
数値的に解いた例は、 mom.c2 を参照。 ポインティングベクトルExBの面内積分は、 その面を通るエネルギー密度を表すが、数値積分では、ある値 6.28..を示す。 z 方向には磁場は変わらず、電場だけ 1/z2に比例で、運動量もその性質を持てば、 そのz方向の積分は有限かと誤認される。ところがx,y方向にも延びているため無限になる。 r 方向に延ばす場合、E は 1/r2に比例し、Bが1/rに比例するが、体積がr3 に比例し、 大きさを比例的に増加した殻も同じ運動量を持つ。 このような事情から、直線電流の側の電荷の持つ場の運動量は、無限大になる。
円環状のコイルが空間の各点に作る磁場と、電荷が各点に作る電場を単に外積すれば、 各点の運動量密度が求められ、これを全空間で積分すると、場のもつ運動量が計算できる。 コイルの作る磁場は、解析的にはかなり面倒な数学(第2種楕円関数)を必要とするので、 数値解によって求めるが、これが 0 ではないことを示す。 数値解は重要な確認にはなるが、その存在を示すのに、コイル形状のもたらす磁場の計算をして、 全空間の運動量を積分して見せる数値解がとくに説明において適切というわけではない。 コイルの作る磁場と、電荷の作る電場に従って、正確に数値的に解いた例は、 mom.c を参照。 円環電流の側の電荷の運動量の全空間積分の数値解は、次の方法で求めた。
原点(0,0,0)中心に半径 1.0 の円を、xz 平面上に置き、電荷の位置を、(1.5,0,0)におく。
ビオサバールの法則を適用して、(x,0,z)
にある単位電流の流れる電流素片の点 Q から一点 P(x1,y1,z1)への磁場を円周一巡について計算する。
b+= dl x PQ /R^3
ただし、R は PQ の距離である。
電場は、単位電荷からの位置ベクトル x-xc を距離の 3 乗(R^3)で割ったものである。
e= (x-xc)/R^3
電場と磁場の y,z 成分の外積から運動量の z 成分を空間の連続点の代わりに、
メッシュ点で求める。それらにメッシュ体積を掛けながら、十分大きい体積まで加算する。
メッシュの間隔は、計算量削減のため、近傍では細かく (+- 10 までは0.1 )、
遠方では(+-10 を超え、+-100 までは 1 に)大きくとる。
また、対称性を利用し、x 軸方向には両方向、y,z 方向には片方向だけを計算し、
全空間はそれの 4 倍とする。
結果的に、運動量は存在した。コイルの側の電荷は静止場に運動量を与える。 静止電荷と定常電流で作られた静止場でも、場の運動量の全空間積分が常に 0 ということはない。 そのことが分かれば、円環電流に近付く電荷の作用反作用の力の問題も解ける。 それだけではなく、その場の構成を導くには物体にかかる力は、不釣合でなければできないのである。
これはまた、電荷点のベクトルポテンシャルと電荷量の積としても表現できる。 これも全く同じ値をもつべきである。これは、今井巧氏の著書”電磁気学を考える” (p383-384)に証明されていた。数値解では、4 π の比率がかかっている。
4 π q A = ∫ E x B dv
コイルと電荷が、ともに上に力を受けたのは、 場の運動量が下方に変化しているから物体には反作用が場から働いたのである。 場は物体の受けた力の反作用(下に向かう力)を受け、それが場に溜ったのである。
ドーナツ状の磁石の一部がギャップになって空間に磁場が出ているとき、 ドーナツ以外の部分に磁場がない理想状態において、 そのギャップの両側に磁場と垂直に電極を用意して電場を与えるとき、 このギャップの運動量はそれ以外のどこからも打ち消すことはできない。
一様な磁場の中の電荷が運動量を持たないように見えるのは、磁場だけを見るからである。 一様な磁場の異なる位置は、ベクトルポテンシャルが異なる。磁場だけを見てどこも 0 と いうのは理屈に合わない。電荷が磁場中を移動するとき、電荷はある力積を受ける。 電荷は変位によって異なる運動量をもつ。 このことは、一様な磁場中の静止電荷の運動量を言うことを不可能にする。 a 点で静止している電荷を移動させて b 点で静止させる。 移動の途中に電荷は場から力を受ける。b 点にある電荷はもとの a 点の電荷と、 周囲の場の運動量が違うのだろうか。一様な磁場という仮定では違いを言うことができないが、 途中で受ける力があり、違わなければならない。
長さ L の止まった客車が一両ありレールとの摩擦はないとする。 この客車の前方の壁から後方の壁に向かって鉄砲を打つ。 鉄砲の玉は後方の壁にぶつかって転がってもとの位置に戻る。 鉄砲の玉の質量を m、玉以外の客車の質量を M とする。
鉄砲は v の速度で打ち出され、 後方の壁に当るまでの時間 t だけ客車は速度 v' で動く。 その移動量を d とする。 運動量保存則から、mv= Mv'またはv'= mv/M、t= d/v' = (L-d)/v から、 d = Lm/(M+m)、移動量 d には v に関係する項がないので、 後方の壁にぶつかって転がってもとの位置に戻る時も全く同様に客車は d だけ逆方向に移動して、 元の位置に戻る。
箱の中の運動量は、重心の位置を変えることはできない、これは間違いである。 元の位置に戻るような鉄砲の玉に運動量はないのである。 玉に運動量があるのは飛んでいるときであり、もとの位置に戻るときには弱いが長時間、 逆向きの運動量があり、時間平均すると運動量はない。 また、ある瞬間をみて、飛んでいる玉の千倍も多くの戻っている玉があるから、 集合平均でも運動量がない。
だからこの例は、箱の中に運動量のある場合の例ではない。 箱の中の運動量がある例とは、鉄砲の玉が戻されない場合であり、 玉が後方の壁に止まるか、箱から落ちて消滅する例である。 このような場合、箱は d だけ変位する。 玉が次々と連続的に打ち出されるとき箱は連続的に移動する。 移動する箱の系から見ると、重心は後方に移動する。
ただ、鉄砲の玉のように物体の運動量の場合、移動の最大値は M=0 とした d= L である。 客車の長さしか移動できないのである。 最初、重心が先頭にあって、鉄砲を打ち終ると重心は客車の後尾に移動しているだけである。 鉄砲の玉が物体でなく光の場合、後方の壁に到着すると光は静止質量 0 のため、消え去るが、 エネルギーは後方の壁に移され、質量が後方の壁で消えるわけではない。 放熱すれば逃げて行くだろうが、エネルギー的に閉じた系としての箱なら、最大移動量は L である。
これを運動量に換算すると、c^2= 9*10^{16} [m^2/sec^2] で 8*10^{10} [VA/m^2]を割ると、 1 m^3あたり、0.88*10^{-6}[kgm/sec]= 0.88[milgm/sec]になり、無視できる程度の値になる。
電磁場のエネルギーの流れと運動量は、とても理解しがたい状態であるといわなければならない。 エネルギーの移動があって、エネルギーの発生と消滅が確認できないのであるから。
を考える。電磁場のエネルギー密度 u は時間において変化しない du/dt = 0。 電場Eと電流jの内積 E・j が配置(図 1)において2つの端面で存在する。 永久磁石は、磁石を取り巻く永久電流の存在と置き換えられる。 永久電流は円筒の上端面では中心から外に向かい、下端面では外から中心に向かう。 電場 Eは中心から外に向かっている。そのため下端面には E・j < 0つまり、 場のエネルギーの発生があり、上端面には E・j > 0 で場のエネルギーの消滅がある。
つまり、客車の一方の壁にあたる下端面で鉄砲を打つためのエネルギーは、 電場の逆方向を向いた電流が発生させ供給し、場のエネルギーの流れ、 ポインティングベクトルを発生させ、後方の壁にあたる上端面では、 鉄砲の玉が当たったエネルギーは、 電場に向かった電流の発生するエネルギーに必要なエネルギーに使われているのである*。
このとき玉は消えているのだろうか。これは鉄砲の玉が帰って来る例だろうか。 鉄砲の玉は一方から他方に移動し続け、後方に溜るのだろうか。
しかし、電子が電圧の高いところに来るだけで質量を増すのだろうか。 電子の質量は速度に依存するが、電位には依存しない。 電子のランダム運動を介在して質量が増えるかというと、 電子のランダム運動は与えられたエネルギーだけ増えているかというと、 調べてみるべきで、温度上昇がなければ増えてはいないだろう。 場の運動量を電流の運動量で打ち消す説は、このように成功しないように思える。
今井功氏の”電磁気学を考える”によると、 電荷がベクトルポテンシャルのあるところに存在するだけで運動量があるとする。 これが場の運動量を打ち消しているかもしれない。 ドーナツの穴の中には電流方向と同じ上に向かうベクトルポテンシャルがある。 そこにプラスの電荷を配置したわけだから、上を向いた運動量がある。 これは場の運動量を打ち消すことはできない同じ方向である。 場の運動量の別の説明かもしれないが、少なくとも打ち消す運動量ではない。
またその本によると、運動量をスカラーポテンシャル中の電流の体積分として表す。 これも場の運動量を打ち消すものではなく、同じ方向になる。 ドーナツの穴の中を上方に流れる電流は、コアの場の運動量と一致する。 これらは、この運動量という同じものの別名であろう。

ある時刻に電荷と磁場がある。ここで、(1)電流の向きを変え磁場の時間変化を作る。 そのとき、コア内の磁場の時間変化により、コアを取り囲む周内に回転電場ができ、 コアの内側と外側は逆方向の電場をもつが、二つの電極の極性は反対なので同じ方向に力を受ける。

しかし、(1)のとき電極が受ける力の反作用を直接、物体としてのコアが受けるのであれば、 場の運動量変化はそもそも存在しない。コア内部の場の運動量は、電場と変化する磁場のために変化する。 それが電極の受ける力と逆方向であり、その大きさも電極の電荷と磁場の時間変化に比例する。 これは場が力を受けるのであり、コア内の場の運動量変化である。物体であるコアが力を受けては、 場が運動量変化をする必要はない。
電磁気の法則は、電場と磁場においてほぼ対称的で、電場中の磁場の時間変化は、 磁場中の電場の時間変化(変位電流)が力を受けるのと同様に力を受ける。 電場の時間変化は、電流と同じく力を受ける。磁場の時間変化は、存在しない磁流と同じく、 力を受ける。両者は、ともに場の受け取る力であり、場の運動量変化の言い替えである。 それにしても一定の運動量しか蓄えられないものに、 持続的浮遊力を期待するのは間違っているかもしれない。空間に運動量を蓄えられるとしても、 どこまでも磁場と電場の強さが強くなる仕組みがないから、これは無意味な夢想、靴ひもを引いて飛ぶ願望 かもしれない。コアの場の運動量が上下して下方向の力が持続的に出せるはずがないという疑いである。 (2)のとき物体に力が及ぶなら起こるのは振動であろう。
E= -1/c dA/dt -grad φ, B= rot A あるポテンシャル A とφが E, B をもたらすとき、 f を任意の関数として A'= A + grad f,φ'= φ - 1/c df/dtという A' φ' も同じ E, B をもたらす。 ベクトルポテンシャル A にはこのゲージ不変性という任意性が要請されている。 (2)の電荷移動のとき物体が力を受けないとするのは、この任意性の利用である。
(2)のときの磁場のない所での電荷移動は、その電荷は力を受けないが、 ドーナツコアの磁場を作っているドーナツ表面の電流に力を及ぼすかもしれない。 ドーナツの穴側の正電荷が外に出るとき、ドーナツの下側を通すなら、 ドーナツ断面のコイルの電流と同じ方向であり、近傍の電流を引き付けるし、 上側を通すなら、逆方向であり反発する。円環電流に与える力はともに下方向である。

一般に、電流の部分どうしの受ける力は、作用線は一致しないため作用反作用の関係ではないが、 大きさが同じで反対方向の力を互いに及ぼす。そのため、電線全体では力をうけることはない。 それは、電線が自ら作る磁場で、内力で変形することはあるが、 自らの磁場で、電線自体が力を受けて自然に並進を開始することはないからである。
そうすると、ある部分電流が電流の他の部分に及ぼす力は、電流の他の部分がその部分に及ぼす 力を知れば十分である。その場所に磁場がないなら、その部分の電流は力を受けないし与えない。 ドーナツ表面電流全体が外部に磁場を作らないなら、 外部の電流がドーナツ表面電流全体に力を及ぼすこともないということである。
物理的に可能なことは、社会の要求があって技術が可能にすれば実現できるだろうが、 不可能なことは、いつまでも不可能である。ひとが物理法則を変えることはできない。 絶対に不可能なことも、さらに基本的な法則を見出すことで、まれに可能に変わること があるが、それほど私は、これを大げさには考えていない。 重力以外でマクロな物体に働く唯一の場、電磁気に謎が残されていると考えることは、 これに取り組む動機ではあったし、不可能な夢をみることが私の性癖ではあったが。
浮揚装置は、そのようなものがあればいいが、という最たるもののひとつであるが、 これはどの程度に不可能だろうか。一様な重力場で静止するのは、それほど不可能には見えない。 簡単にいえば、みえないつっかい棒のようなものですら、浮揚装置でありうる。 弱い場ではレーザー光往復装置でもいいし、物体を往復させて圧力を作ってもよい。 動的に斥力をつくり出す方法は、種々の方法がある。 牽引ビームは、それに比べるとずっと難しい。 一様な重力場で静止浮揚する装置は、エネルギー供給すら要らない。
浮揚装置をONにして上に持ち上げる。それをOFFにして下に下げる。 下げるときに仕事をさせるなら、永久機関である。 つっかい棒を使って登るときのように、上がるとき位置エネルギーを支払うならよいが、 そうでないなら永久機関になる。 しかし、それを平坦な時空に持ってくると、とんでもないものになる。 継続的に浮揚力をだす装置は、平坦な場では加速装置である。 そしてそれにはふつう、この装置ではほとんど考慮されていない、エネルギーが必要である。 エネルギー保存が成立しないようにみえることは、(右回りのコマと同じく、)それだけで疑わしい。
B_y = B_0, B_x = B_z = 0
原点の荷電 +q が電場を形成する。
E_z = q/(4πe_0) z / r^3 ,
E_x = q/(4πe_0) x / r^3 ,
E_y = q/(4πe_0) y / r^3
これらより、ポインティングベクトルは、
S_x = -z/r^3 B_0, S_y = 0, S_z = x/r^3 B_0
となる。ポインティングベクトルの成分が座標の奇関数であるから、 全空間での積分した運動量は 0 になる。角運動量は存在する。
B_y = B_0, B_x = B_z = 0
電気双極子の作る電場は、
E_z = p /(4πe_0) (3 z^2/r^5 - 1/r^3),
E_x = p /(4πe_0) 3 zx / r^5,
E_y = p /(4πe_0) 3 zy / r^5
とすると、
S_x = - E_z B_0, S_y = 0, S_z = E_x B_0
これは y 成分はなく、 x 成分が電場の z 成分の逆方向、 z 成分が電場の x 成分の方向を向いている。 これは円筒状であり、ポインティングベクトルは y を軸として回転している。
空間での積分を考える場合、すでにある半径の球殻での積分で 0 となる。 全空間での積分も 0 となる。
2π∫_0^π S_x r^2 \sin \theta d\theta dr
= 2π∫_-1^1 1/r (3t^2-1) dt dr = 0
この電気双極子は 2 つの互いに反対符号の荷電が一様な磁場のなかにあると考えられ、 それらのポインティングベクトルも重ね合わせになると考えられる。
原点の荷電 +q が電場を形成する。
E_z = q / (4πe_0) z/r^3,
E_x = q / (4πe_0) x/r^3,
E_y = q / (4πe_0) y/r^3
磁気双極子(y 方向)が磁場を形成する。
B_y = u / (4πe_0 c^2)(3 y^2/ r^5 - 1/r^3),
B_x = u / (4πe_0 c^2)(3 xy / r^5 ),
B_z = u / (4πe_0 c^2)(3 zy / r^5 )
S_x= 3 zy^2/r^8- z/r^3(3y^2/r^5 - 1/r^3)= z/r^6
S_y= 3 xyz/r^8 - 3xyz/r^8= 0
S_z= x/r^3 (3y^2/r^5 -1/r^3)-3y^2x/r^8= -x/r^6
やはり奇関数であることから運動量の全空間積分は 0 であるが、 これはコイルとその近辺に荷電を置いたEinstein-Dehars効果実験の例と同じく、 角運動量が存在する。
電場は $1/r^2$ に、 磁場は$ 1/r^3$ に比例するので、 運動量は$1/r^5$ に比例する。ある半径 $ r_0 $ の外側の角運動量は有限の値になる だろう。$r_0$ が小さいほど角運動量は大きい。
E_z = p /(4πe_0) 3 z^2/r^5 - 1/r^3,
E_x = p /(4πe_0) 3 zx/r^5,
E_y = p /(4πe_0) 3 zy/r^5
磁気双極子の作る磁場は、電気双極子の作る電場の式と同じで、
B_y = u / (4πe_0 c^2) (3 y^2/r^5 - 1/r^3),
B_x = u / (4πe_0 c^2) 3 xy /r^5,
B_z = u / (4πe_0 c^2) 3 zy /r^5
両者から求められる、ポインティングベクトル(S = E x B)は
S_x= E_y B_z - E_z B_y =
(3zy/r^5)(3yz/r^5) -(3z^2/r^5-1/r^3)(3y^2/r^5-1/r^3)
= 3/r^8 (y^2+z^2) - 1/r^6
= 3/r^8 (r^2-x^2) - 1/r^6
= -3x^2/r^8 + 2/r^6
= 2/r^6 - 3x^2/r^8
S_y= E_z B_x - E_x B_z = (3z^2/r^5-1/r^3)3yx/r^5 - 3zx/r^5 3yz/r^5 = -3xy/r^8
S_z= E_x B_y - E_y B_x = 3zx/r^5 (3y^2/r^5-1/r^3) - 3zy/r^5 3yx/r^5 = -3xz/r^8
となり、 x=r のとき S_x= -1/r^6 であり、 x=0(yz 平面 ) では 2/r^6 である。 これの全空間での積分を行なう。ある半径 r_0 の外側空間での積分は、
2π∫_{r_0}^∞ ∫_0^{π} S_x r^2 \sin\theta d\theta dr
S_x= {1 \over r^6}(2-3\cos^2\theta )
∫ (2-3\cos^2\theta ) \sin \theta d\theta
= ∫_-1^1 (2-3t^2) dt = [ 2t - t^3 ]_-1^1 = 2
4π∫_r_0^∞ 1/r^4 dr = -4π/(5 r_0^5)
となり、r_0 の外側の空間での積分は、r_0 を 0 にすると無限大になる。 つまり、このような電気双極子と磁気双極子の交差配置では、 無限の運動量を持つことになる。 電気双極子と磁気双極子の交差配置は遠方からみたときの電場や磁場の近似であり、 実在しないからこの結論は無意味というわけではなく、 ある r_0 での有限の運動量は意味がありえる。 しかし、実在する物体配置では r_0 の内側がつねに外側を打ち消す可能性は残っている。