一般相対論では、質量が原因となって場所によって計量が違い、同一座標系内の場所と時間の違いによって、時間の経過と物差しの大きさが変化する。 ある地点からみた遠方の姿は、別の遠方の場所がみる姿とは異なる。その間の一般的な時空の写像を一般座標変換という。それは、 局所の計量から決まる局所の微分的変換として、重力方程式を大局的に解くことで得られ、ブラックホールの時空を説明したり、 宇宙解を解いたりするのである。そこにおいて時間と空間とは相対的だが、質量はそうでない、質量は不変でどこに置いても同じ と考えるべきだろうか。場は物質から決まり、場は、物質の運動にだけ影響を与え、その質量には影響を与えないのだろうか。
時間の経過の遅い、ブラックホールの周辺時空を遠方から見るとスローモーションになる。そこの人間は、一言喋るのに一年を要するかもしれない、 ほとんど動かない彫像と化している。それをある瞬間に同じ力で叩くとその彫像は、すばやく変化できない。その場所の 1kg という力をかけても 彫像は変化できないだろう。そのことを、質量が大きくなったとは言わないのだろうか。 質量もテンソルで場の影響で方向によって大きさの違うものではないだろうか。 光速も物差しも方向によって大きさが違うのである。物差しの短縮と時間経過の違いは、速度に反映すると考えられる。
特殊相対論で横方向の速度は、時間経過の比率に等しく緩やか (1/γ)であり、加速度は、さらに小さい(1/γ^2)。加速度は、力/質量の比であり、 力が 1/γ倍に小さく横質量がγ倍に大きくなっている。一般に、時間経過に k 倍の遅れがあるとき、速度は 1/k 倍、加速度 1/k^2 倍というのは、 横方向の短縮がないローレンツ変換の要求である。ある方向の物差しが j 倍になるとき、速度は、j/k 倍、加速度は、j/k^2 倍だろう。 しかし、力が 1/k 倍に小さく、質量が k 倍に大きくなるため加速度が 1/k^2 というのは、一般的であるとはできない。
この時間の経過の遅れは、質量の増加とみえるのではないかと考えて、次のような考えをしてみた。宇宙論のポテンシャルの発散の問題も 解決できるかもしれないからである。
m= m0(1 + GM/rc^2) ...............(1)
m0GM/rc^2 の項は、そのポテンシャルエネルギーを質量換算(c^2 で割った)したもの。(1)を、ニュートン重力の式 F= GMm/r^2 にいれると、
F= GMm0/r^2 + (GM)^2m0/r^3c^2 ....(2)
となって M^2/r^3 の項が付け加わる。(2)を r で積分して、重力のポテンシャルΦ= -GM/r は、
Φ= -GM/r - 1/2 (GM/rc)^2 .......(3)
となり、-1/2 (GM/rc)^2 の項が加わることになる。
重力ポテンシャルΦとFの関係は、F= -grad Φ、 F= -(dΦ/dx, dΦ/dy, dΦ/dz) であるからΦの r^-2 の項が Fでは、r^-3 になる。 ρ一定の宇宙の重力ポテンシャルの積分可能性は、これによって解決されるとは思えない。符号が同じであるから、 ポテンシャルがさらに積み重なるだけである。それゆえ、これは重力の遮蔽ではなく、質量の相乗効果である。
もし、重力のポテンシャルがΦ= -(GM/rc)^2 だけなら、厚さ d、密度ρ、半径 r の球殻の質量が 4πdρr^2 なら、 そこからのポテンシャルへの寄与は、 4πdρ/c^2 という一定になる。積分はまだ発散するし、重力 F が r^3 に反比例してしてしまう という大きな問題が残る。 (3)の式は、GM/r= x とおくと Φ= -x が Φ= -x -(x/c)^2 になっている。 r が大きくなると関係ないが、 r の小さいところでは、これは大きな差になる。(ここまで、2003 Aug 15)
前章の議論を反転して考える。ポテンシャルが質量を減少させると考える。総量のエネルギーが不変であり、物質がポテンシャルの低い 場所に移動するとき、その変化で運動エネルギーが発生した分、静止質量は減少していると考えるのである。このとき(1)は、
m= m0(1 - GM/rc^2) ................(1)
であり、第2項の符号が反対になる。ニュートン重力の式、F= GMm/r^2 の m に入れると、
F= GMm0/r^2 - (GM)^2 m0/r^3c^2 ....(2)
となって - M^2/r^3 の項がでてくる。重力のポテンシャルは (2)の F/m0 を r で積分して、
Φ= -GM/r + 1/2 (GM/rc)^2 ........(3)
となり、1/2 (GM/rc)^2 が加わる。この効果は、r の小さいとき働く重力の遮蔽である。 r の大きい場所のポテンシャルの式を違わせるものでない。
m= m0 (1 + φ(r)/c^2)
m を r の関数とするとき、φ(r)m(r) が通常の φ(r)m0 の代わりをする。これが -GMm0/r であるなら、
-GM/r= φ(r)(1 + φ(r)/c^2)
から、φ(r) を求めることもできよう。φ(r)m(r) の r による微分 (φ(r)m(r))' がニュートン重力 GMm0/r^2 であるなら、 (φ(r)m(r))'= φ'(r)m(r) + φ(r)m'(r) から
GM/r^2= φ'(r) + 2 φ(r)φ'(r)/c^2
というφ(r)の微分方程式から φ(r) の関数形を求めることも可能であろう。しかし後述するが、それらも疑わしい。
遠方からの重力を受けている物体は、多くのバネによって四方八方から繋がれている。そのことが、慣性を説明するのだろうか。 慣性は、遠方の質量が作るポテンシャル場の影響かもしれない。しかし、実際的にそれが示されるとは思わない。 重力を空間の性質として説明するポテンシャルは、遠方の影響が強いので太陽系の端に出た位でその違いが測定できるとは、思えない。
地球上で暮らす我々は、地球の表面の一定の重力を受けることに慣れている。しかし、宇宙空間に出て行って、無重力状態の 衛星の生活をするとき、その重力を感じることがなくなるが、慣性はまったく影響なく残る。無重力生活で気をつけることは、 体の速度を変えるときに、はっきりと力積がいるということである。体の方向転換には地上と同じだけの衝撃を伴う。重力が 1/6 の月の上では、物体は、落ちるときの加速度が1/6であるが、6倍の秒数で同じ速度になる。6倍の高さから落ちることで同じ エネルギーを蓄える。例えば、2mの高さから落ちることを地球上で警戒するなら、12mの高さを落ちたとき受ける衝撃は同じである。 重力はなくなっても、慣性は残る、誤解を招く表現をあえて採ると、慣性質量の大きさと重力質量の大きさは同じでないのである。
地球から出て地球の半径の10倍、100倍に離れたとしても慣性の量は、全く変化しないことを我々は測定し確認することだろう。 そのとき我々の体は、地球から繋がったバネを失い、距離の2乗に反比例するそのバネは100倍、1万倍弱まる。 それに対してポテンシャルは、バネのようにある方向に力を与えるものではない。それはある高みを空間に考えることで、 その傾き、勾配が重力を与えるものとして、空間に特性として与えるものである。その大きさは無限遠を0としてマイナスであり、 質点からの距離に反比例する。だから、地球の半径の10倍、100倍離れても、地球の影響は 1/10、1/100にしか弱まらない。 それよりも遠方の影響が大きいことに気がつく。太陽から地球への影響よりも、太陽地球間の2000億倍も遠いアンドロメダ銀河、 (その質量は少なくとも2000億の太陽より大きい)の、影響の方が大きいという事実も出てくる。これは物理的な実体が効果と乖離 している症状のようにみえる。ポテンシャルは本当に物理的な実体なのか。
理想的な引っ張りバネの特性は、平衡点からの変位に比例する引力を与える。もしも両側からバネで引っ張られた物体があれば、 それらの働きとして、両方からの引力の和の合力を受ける。a, b ふたつにの物体を結ぶ線分の中点に c 点があり、バネ(バネ定数 1 kg重/cmとする) で結ばれているとき、c 点を a 側に 1cm ずらせると a からの引力は 1 kg重減り、 b からの引力は 1kg重増える。 和は、b 方向に 2 kg重増える。微小な変位に復元する方向の力が働く、このような場合、それらは安定である。 それは、通常のバネとかゴム紐の途中に物体がある状況を考えても分かる。
a が原点(0,0)に b が (1,0)にあり、c が(r,0) あれば、理想的なバネでは、力 (右を正とする) が変位に比例し、 a 点からの力は、-r 、b 点からの力が、(1-r) なら、合計の力は、 -r + (1 - r) = 1 - 2r であり、 中央、r= 1/2 で力が 0 になる。中央より少し右では、1-2r は負、少し左では 1-2r が正であり、 中央の安定点を外れたとき安定点に戻す働きがあることを知る。
力の空間的な積分であるポテンシャルは、バネの場合、r^2 比例である。a 点と b 点から伸ばされたバネの中点のポテンシャルは、 r^2 + (1-r)^2 = 1 - 2 r + 2 r^2= 2(r-1/2)^2 +1/2 となって2次式の放物線となり、r= 1/2 に極小点ができる。
ニュートンの万有引力はそれとはすこし違う。距離の2乗に反比例する力をもつので、a, b 2 つの天体からの引力のバネがある物体 c を引っ張って支えているとき、物体 c が a, b を結ぶ線分の中点からわずかに b 側に移動すると、 b 側の引力が強まり a 側の引力は弱まり、物体 c は、ずれた方向にさらにずれる不安定さをもつ。これはバネやゴム紐とは違う引きかたである。
a からの引力は -1/r^2、b からの引力は 1/(1-r)^2 となる。合力は、 -1/r^2 + 1/(1-r)^2 であり、通分して、 (r^2-(1-r)^2)/r^2(1-r)^2= (2r-1)/r^2(1-r)^2であるから、分子= 0 となるには r= 1/2 である。r が 1/2 未満のとき負、大きいとき正となる。 ポテンシャルは、a 点から -1/r、 b 点から -1/(1-r) である。両者の和 -1/r -1/(1-r) = -1/r(1-r) は、r= 1/2 で上に凸になる。 物体が空間にあるとき、不安定点には上に凸のポテンシャル、安定点には下に凸のポテンシャルをもつのである。 万有引力は、つねに上に凸のポテンシャル、不安定である。それなら宇宙のすべての物体は、この不安定性をどのように扱っているのだろうか。
ただし、天体的規模の万有引力は、もしバネとしてもバネ定数は非常に小さいものである。地上では、重力は一様とするのが第1近似である。 質量 1kg に働く 1kg重の重力は、上に1m移動しても、下に 1m 移動してもその重量の変化を測定するには精密な重力計でなければ分からない。 地球の半径 6500km からみて 1m は、その 1/650万であり、1m の高低差による重力の違いは、距離の2乗に反比例の式から、 650万分の1の2倍、325万分の1kg重、0.3 ミリグラム重である。しかし、上に行けば重力が弱まるという重力の常識を認めれば、 万有引力の作る場が安定でないことも理解できる。
理想的なバネで物体間が結合されているとき、物体に変移を与えると、物体は抵抗して移動を拒み、正のバネ定数をもって平衡点に戻る 方向の力を受けることになる。それは、慣性とはかなり異なる性質である。現実の物体にバネ定数の痕跡はないし、 万有引力で結合した物体間に負のバネ定数も確認できない。そこには、慣性は、加速度への抵抗であり、バネは、変位への抵抗という違いがある。
しかし、ポテンシャルというスカラー値が空間に分布し、その勾配を万有引力とすることは、考えや計算を単純にする。多物体から受ける重力 での物体運動を計算するのに、万有引力では、N-1 個からの物体間の距離 r_i を使って、引力を受ける側の質量 m も掛けて、引力のベクトルを N-1 個加算し、物体の質量 m で割算して加速度をだす。
F = G Σ M_i m / (r_i)^2
a = G Σ M_i / (r_i)^2
もともと重力による加速度を求めるのに物体の質量 m は、不要なものであったことが分かる。引力ベクトルの加算は、3個の成分の加算である。 それに比べてポテンシャルは、-1/r に比例するスカラーの加算でその場所のポテンシャルを出し、その勾配から加速度がでる。
φ= -G Σ M_i / r_i
a= -grad φ
grad = (d/dx, d/dy, d/dz)
grad φ= (dφ/dx, dφ/dy, dφ/dz)
ポテンシャルの空間的微分(勾配) はベクトルで、φの x 方向の変化率を x 成分、y 方向の変化率を y 成分、z 方向の変化率を z 成分とする。 万有引力は、それ以上説明のできない遠隔力であったが、ポテンシャルは、場である。
ポテンシャルとはその場所に単位質量を置くのに必要なエネルギーであるが、どこからそこに置くかの任意性があり、 ポテンシャルに確定値を求める事は、本質的にできない。例えば、電気的なスカラーポテンシャルは、その差しか意味を成さない"電圧"である。 そのような仮想の値を使うのは、計算上の必要だけだろうか。そうではなく、新たにポテンシャルを物理量とみなし、ポテンシャルの従う 物理に切替えることが必要だった。それが一般相対論である。ポテンシャルの不確定は、一般座標の不確定に置き換えられている。
高さ h に gh のポテンシャルがある。そこに質量 m を置くのに必要なエネルギーが位置エネルギー mgh である。そこから物体を落とすと 運動エネルギー 1/2 mv^2 に変わる。重力が受ける質量に比例し、ポテンシャル・エネルギーが受ける質量に比例するため、場の概念となる。 電場が電荷に対して力を与えるように(F= q E)、重力場は質量に対して力を与える場である。重力場を E として F= m E、と書いても F = ma から、 E= a である。つまり重力場は、質量に比例した力を与えるというよりも、質量に関係なく加速度を与える場である。
電場がスカラーポテンシャルの勾配である (E= -grad φ) のと同じ意味で、重力場は、ポテンシャル場の勾配である。(a= -grad φ) 質量 M の質点から r の距離の重力場は、GM/r^2 の大きさの中心に向かうベクトルであり、ポテンシャルは、-GM/r のスカラーである。 ポテンシャルと質量 m の積がエネルギーであり、その r による微分がニュートンの万有引力である。 質点周囲のポテンシャルは、球対称で半径に依存し、-GM/r という値をとる。その勾配は、中心方向から外向きのベクトルであり、 大きさは GM/r^2 となる。それを GM r/r^3 という書き方もする (分子のrはベクトル)。符号を逆転した -grad ベクトルが重力場である。
ニュートンの万有引力が遠隔力であるのに対して、ポテンシャル場の考え方は、近接力である。特殊相対論から重力が即時的伝達をすることは 考えられないから、電場と磁場とが光速で伝達する電磁気のポテンシャルを使う考え方との類推から、重力の伝達も光速ということは、一般相対論 においてももつと思われるが、ニュートン重力の即時伝達に伝達時間を考慮すると間違いになることも知っておく必要がある。 電磁気でも同じ仕組があって、等速直線運動をする電荷の出す電場は、常に即時的な現在の電荷の方向を指すのである。
ある質点からの距離 r の点の高さが -1/r になるような漏斗面を地上で考えるとポテンシャルを模擬でき、理解の助けにすることがある。 3 次元空間上のポテンシャルを、2次元の面の高さとして表しているのである。ニュートン力学での物体の円軌道、バランスがとれていない 楕円軌道、さらに速度が大きく方向転換ぐらいしかできないで軌道が補足されない双曲軌道がその曲面上の物体運動として可能らしいことが分かる。 しかしこれは、それ以外の運動が可能かどうかなど詳細は、もちろん議論できない程度の粗雑なモデルである。 ポテンシャルの凹みは、中心質量 M に比例し、距離 r に反比例するから、遠方の大きな質量の窪みは、近傍の小さな窪みと同じ程度の深さになる。 いろいろな規模の凹みの分布する宇宙の星々の間の航海の路線を想像することができる。 近傍の太陽は、ピンで突いたような窪み、アンドロメダ銀河からは、その2000億倍巨大なスケールの坂道だが、低下は同じ程度である。
2物体 M と m とが重力で関係し m が無限遠から近付き、仕事 W (W>0)をして M から r の距離 に静止したとき、r 点での m の静止質量 m は、無限遠での質量 m0 より小さい。 質量エネルギーの保存則から、r 点での質量 m と仕事 W の和は、m0 に等しいからである。
m + W/c^2 = m0 .........(1)
仕事 W は、ポテンシャルφ(r)<0 (φ(∞)=0)の低下量とその点での質量の積に等しい。これには、後述するように、異論がある。
W= -φ(r)m ..........(2)
ここでもし(2)を W= -φ(r)m0とするならこの地点での静止質量 m は、これを (1) にいれ、
m = m0(1 + φ(r)/c^2) .........(3)
となる。この式では、φ/c^2 → -1 で、m → 0 となる。しかし、仕事W = φ(r)m0 とする式は、質量がポテンシャルの低下によって 減少する、m が変化することと矛盾した表現である。そこで、(2)を (1)にいれると、
m= m0/(1 - φ(r)/c^2) .........(4)
となり、(3) とは、異なる式になる。(3)とは、弱い重力ポテンシャル φ(r)/c^2 << 1 では一致するが、強い重力では違ってくる。 φ/c^2 → -1 でも、m → m0/2 にしかならない。φ(r)/c^2 が→ -∞ のとき初めて m → 0 になる。
物体に自由落下運動をさせる場合は、運動エネルギーが動質量になって質量を加算するから、ポテンシャル低下による静止質量減少を補って、 質量は無限遠と違わない。ブラックホールの地平面では、ポテンシャルはどうなっていて、質量はどうなっているのだろう。
時間の経過は、ポテンシャルの低下と直接に関係している。地平面のすぐ外での時間経過 dt' と無限遠での時間経過 dt との比は、 (1-2GM/rc^2) をκと書けば、dt'/dt = √κ である。ブラックホールの時空を極座標 (r,Θ,Φ,t) 表示し、
ds^2= dr^2/κ+r^2dΘ^2 +r^2sin^2ΘdΦ^2 -c^2κdt^2
と描けるが、dt^2 の係数 g_44= -κ, dr^2 の係数 g_11= 1/κ であり、その他のdΘ=0, dΦ=0 のとき光速は、ds^2= 0、dr/dt = c√(-g_44/g_11)=κc になる。(地平面の外で g_11 >= 1 から、物体は r 方向に短縮している。) ポテンシャルをφ= -GM/r とするとき、g_44 との関係、φ= -1/2 c^2 (g44 + 1), g44 = -1 - 2φ/c^2 も出る。地平面で g11= ∞、 g44= 0 になり、φ= -1/2 c^2 となる。ポテンシャルは、無限遠の 1/2 に下がっている。ニュートンポテンシャルは、ある距離で-∞ になるのではなく、距離を 0 に近づけてやっと-∞になる。(4)式のφ(r)mでは、地平面で質量の方が 1/2 になる話である。 両者はどう折り合いをつけるのか。
(2)式について、不正確な考え方を訂正する。質量 m を r の関数にするだけでなく、ポテンシャルの式と、質量の式をともに変更する のであれば、両者の任意性がある。W= -φ(r)m(r) というとき、仕事と質量の概念を既定として、質量を単に変数にしたが、 もとのポテンシャル概念は、質量一定を仮定している。(4)の結果を導いた(2)のように、その点の m でポテンシャルとエネルギーを決めている。 それはたしかに、m に比例するだろうが、仕事は力の∞〜rの積分であるから、重力場 g と各点での m の積の積分、 (g= -dφ/dr,または、ベクトルg= -gradφ)
W= -∫gm dr (∞からr_0まで積分) .............(5)
とするのが正しい。力の線積分である W を経路途中の m でなく始点の m0 や 終点の m で割ってポテンシャルとするのは間違いである。 (5)を微分形式で書くと、
dW/dr= gm .............(6)
であり、(1)は、
dm/dr= -1/c^2 dW/dr .............(7)
となる。両者から得られるのは、
dm/dr= -1/c^2 gm という、mとgの関係である。これに g= -dφ/drをいれると、
dm/dr= 1/c^2 m dφ/dr
1/m dm = 1/c^2 dφ
これの両辺を積分し、φ(∞)= 0 で m= m0 を使うと、
ln(m)= φ/c^2 + ln(m0) から
m= m0 exp(φ/c^2) .............(8)
となる。(4)や(3)よりもこの式がありそうである。(8) の m は、(4)(3) の間((3) < (8) < (4))になることは、当然である。 この式は、ポテンシャルの定義を変えたわけではなく、質量のポテンシャルによる変化を記述したもので、ポテンシャルは、-GM/r のまま と考えるべきだろうか。φの空間微分が重力であるという関係は保っているからである。しかし(8)は、φ=c^2 ln(m/m0) という ポテンシャルの新たな定義かもしれない。φの満たすrの関数は、-GM/rとは違うかもしれない。(6)〜(8)は、φとmの関係であり、 片方の r に対しての関数形が定まれば他方も定まるが、関数形を決めるには条件が不足している。
否定的に言えば、この式の意味は、ポテンシャルと質量との関係は、両者の意味を変えているのだから、ほとんど意味はない。 両方の意味とも確かでないから、確かなものがなにひとつないのである。
しかし、確かなことが全くないかとさがせば、無限遠での質量、これは、エネルギーである。これがMの近くに落ち込むことで取り出せる エネルギーは、m0c^2 までであろう。それ以上は、望めない。ニュートン力学では、質量は変わらず、-GM/r のポテンシャルであるなら、 物体 m を物体 M に限りなく近づけるだけで、どこまでもエネルギーを取り出せるという考え方である。ところが、相対論は、E= mc^2 という式ができ、静止質量のエネルギーという通常の感覚では、信じられないほどのエネルギーが質量そのものに存在することを明らかにした。 その代わりに、静止質量 m0 以上のエネルギーをそのものから取り出すことを期待することができなくなったのである。
無限遠で、m0 であった質量が、M の近傍に落ち込むことで取り出せるエネルギーの最大が、m0c^2 であるなら、距離 r= 0 では、質量は 0 になる必要がある。(8) 式では、これは、r→ +0 でのポテンシャルφ(r) → -∞ であることが必要である。それでないと m→0 にはできない。 静止質量 m0 までのエネルギーを取り出すためには、r=0 で m= 0 を式 (8) は、示している。それは、ニュートン力学でのポテンシャルが r→0 において、φ(r) →-∞ であることと一致している。