*火星テラフォーミングの条件(その2) 気温を上げる

 地球の平均気温が15度であるのに対して、火星はマイナス58度である。その理由は、火星の大気圧があまりにも低いため太陽からの熱エネルギーをほとんど捕獲できていないからである。

地球の場合は、太陽エネルギーの大部分を温室効果ガスである二酸化炭素と水蒸気に吸収させて温度が逃げないようにしている。前に述べたように、火星は大量の二酸化炭素を保有しており、その温度を上げれば大気中に放出され、地球と同様に気温を上げることができる。つまり、ある程度火星の気温を上げれば、地中の二酸化炭素が放出され、温室効果によってさらに気温が上昇するのである。では、どうすれば火星の気温を上げることができるのか。いくつかの案を挙げてみる。

 

  (案1) ミサイルを撃ち込む

火星の極冠や地表にむけて、ミサイルを撃ち込み、その爆発によって気温を上げるというもの。しかし、テラフォーミングを考えた場合、このような著しい環境破壊をする手段は採用できず、非現実的。

 

  (案2) 宇宙空間に巨大レンズを浮かべる

火星の軌道上に巨大レンズを浮かべて太陽光を集め、火星表面に照射し、気温を上げるというもの。環境破壊などは問題がないが、莫大な費用がかかるため非現実的。

 

  (案3) 火星大気へのガス注入

フロンガスのような赤外線を吸収するガスを、火星大気中に混入させる方法。このガスの候補として、六フッカ化エタン、一塩化三フッ化炭素などが挙げられる。この方法は効率よく気温を上昇することができ、安価でしかも容易に行うことができる。しかしこの方法は、現在地球が遭遇している、オゾン層破壊といった深刻な環境問題の観点からすると、長期的に使用することは不可能。

 

  (案4) 炭素質物質

火星の表面を覆っている、太陽光を吸収しやすい暗黒色の炭素質物質を利用する方法。この炭素質物質を破砕して火星表面にまき散らし、太陽光の吸収効果を上げる。