若い頃、山によく登りました。もともと石に興味があった私は、山頂の石を一つずつ持ち帰ってきました。
             本当は国立公園内だから、石一つ、草一本取って来ちゃいけないんです。撮っていいのは写真だけ。
             残していいのは足跡と思いでだけ、というのが山のモラルです。というわけで、ごめんなさい。
               以下、南アルプスの石(バックが赤系統)、八ヶ岳の石(緑系統)、北アルプスの石(青系統)の順です
写真 その1写真 その2
赤石岳
3120m
赤石山脈を構成する石はほとんどが堆積岩である。かつて1億年ほど前に何千mもの深海にたまった土砂が今や
何千mもの山脈をなしている。そこにへばりつき、喘ぎ喘ぎ登るとき、自然に畏敬の念を払わずにいられない。
さて、この山は赤石山脈の盟主。山頂の石は薄い褐色の砂岩。赤石岳から隣の聖岳に向かう途中に赤色の頁岩や
赤いチャ−トが分布していて、赤石山脈の名前はこの赤い石から取られたものだ。
農鳥岳(西農鳥岳)
3056m
西農鳥岳の方がわずかに高い。頂上はざくざくした千枚岩のような薄くはがれる堆積岩から成っている。
間ノ岳
3189m
日本第4位の峰。だだっ広い山頂は薄褐色の砂岩や黒色の頁岩からできている。
北岳(白根山)
3192m
  頂上は暗緑色の玄武岩質溶岩でできている。ただし、この溶岩は地表で吹き出したものでなく、その昔、今の日本
列島よりず−っと南の海底に吹き出した溶岩が、プレ−トの動きに乗ってここまで運ばれ、のちの地殻変動で持ち
上げられたものである。この石は硬く、長い年月の風雪に耐えて日本第2位の高さを誇っているのである。
北岳周辺には、ここにしかない高山植物が何種類かあるが、この特殊な岩質も関係あるかもしれない。
また、頂上からお池に降りていく途中や間ノ岳に行く途中には石灰岩がわずかに露出していて、水石になりそう。
甲斐駒ヶ岳
2966m
白く輝く独立峰。どこからみても三角錐型の均整のとれた姿だ。色が白いのは全山花崗岩であるからだ。花崗岩は
風化しやすいので、登山道がざらざらと小石を敷き詰めたようになっていて、歩きにくい。
鳳凰三山
2760m
観音、薬師、地蔵の三峰からなっている。すべての山頂は花崗岩からなっている。これらの花崗岩は南アルプスを
構成する古い堆積岩の中に、後でマグマが貫入してきて、このマグマが地下でゆっくり冷えてできたものである。
有名な地蔵岳のオベリスクも花崗岩の岩体である。
塩見岳
3047m
暗緑色の玄武岩質溶岩や、緑色〜赤色の凝灰岩からできている。この溶岩も深海底で噴出したものが後の地殻変動
で持ち上げられたものである。山頂近くには褶曲したチャ−トの地層が見られる。
赤岳
八ヶ岳の盟主。八ヶ岳は全山が火山であるが、赤岳は山頂に噴火口があるわけでなく、かつてここにあった、もっと
高かった火山が爆発で山頂が吹き飛び、残った山体の一部である。石は安山岩。たしかにこの安山岩の中には噴出
時に酸化して赤いものもある。
硫黄岳 南側はなだらかな丘状の山であるが、北側は切り立った爆裂火口になっている。この火口の縁にたつと、名前の通り
かすかに硫黄のにおいがする。頂上には厚い溶岩が被さっている。石は安山岩である。
蓼科山 八ヶ岳連山の最北端にそびえる独立峰に近い火山。頂上は中央部がちょっとへこんでいて噴火口がある。石は黒っ
ぽい輝石安山岩である。
蝶ヶ岳
2664m
北アルプスを構成する石は多種多様である。ものすごく古そうな変成岩から、新しい火成岩まで、この岩種の違い
はそれぞれの山にそれぞれの個性を与えているのだ。春先の雪型で有名なこの山は、頂上は黒い粘板岩
常念岳
2857m
粒の粗い花崗岩
燕岳
2763m
頂上付近に奇岩が立ち並ぶこの山は、全山花崗岩からできている。花崗岩はごま塩おにぎり状に見える。
奥穂高
3190m
日本第3位の山であるが、2位の北岳とは2mの差しかない。この山の山頂には人間が造った3mのオベリスクが
あり、このてっぺんに登れば第2位となる。山頂は硬い灰色のひん岩からなる。(なお、槍ヶ岳のひん岩も含め、
最近は安山岩と呼ばれるようになったようだ。
槍ヶ岳
3180m
有名な槍の穂先は硬いひん岩である。ひん岩にも石英ひん岩、角閃ひん岩、石英閃緑ひん岩、石英斑岩、といろいろ
あるようだが細かいことは判らない。時代は中生代のものという。このように先端がとがる山は尖峰(ホルン)と呼
ばれ、氷河時代に、氷河によって彫刻されたものである。なお、肩の小屋や、西釜尾根には片理と呼ばれる縞模様の
目立つ結晶片岩が露出している。この変成岩は大変に古く、日本列島の土台を造るものである、と言われている。
鹿島槍ヶ岳
2890m
安曇野からみると南北双峰を持つこの山は存在感がある。5回挑戦して1回しか登れなかった思い出深い山だ。
山頂の石は花崗岩。文献で調べてみると近くにはアダメロ斑岩という特殊な石もあるらしい。
立山
3015m
雄山のあたりには片麻岩が転がっている。石は花崗岩によく似ているが注意深く見ると、白と黒の縞模様が見られる。
ここの石も見るからに古そうである。片麻岩は変成岩の中でも高温の環境下でできた石である。ここから真砂岳に行
く途中で次第に花崗岩に移り変わる。
剣岳
2998m
見るからに威圧を与えるこの山は、これから登ろうとする者の勇気を試すかのようである。遠目では黒っぽい山容で
あるが、山頂は灰色の花崗岩に似た石がある。
白馬岳
2933m
長野県側が鋭く落ち込む非対称稜線。頂上は黒い千枚岩のような石である。
HOME