俺の名は、相沢祐一、しがない高校生だ。
両親の海外赴任のため、今日から一人暮し。
さっそくアパートを捜すことにする。

「学生さんね。えっと…」
「できれば、安い部屋で」
「ハハ、みんなそう言うんだよ」

お金がないわけではないが、できれば安い物件がいい。
そのぶんだけ、小遣いが増えるってもんだ。

「これなんかどう? 安いよ」
「………たしかに」

しかし!
いくらなんでも、月5000円は安すぎるっ!
これは…なんかあんだろ

「なんにもないって。古い建物だけど、建築法はクリアーしてるし」
「…ヤクザが住んでたり」
「ないない。それどころか――」

俺を除いて、住人はみな女性。
若い娘がいっぱい。うはうは…

だ、だまされるもんか…

「じゃあ、これで」
「はい、ここに兄さんの名前を書いてね」

古い木造二階建。
風呂無し、共同トイレ。
『ひなびた荘』――築?年

「今日からここが、俺の城か…」




   “らぶえあ”



ツイてる。
めちゃツイてるー♪

「今度となりにこしてきた、相沢です」
「まあ、それはどうもどうも。倉田佐祐理と申します」
「ど、どうも」

すんげー美少女が隣に。
しかも…

「おや、キミは新入りかい?」
「は、はい。201の相沢です」
「わぁ、お隣さんだぁ♪ よろしくぅー」
「妹の佳乃だ。歳も近いみたいだし、仲良くしてやってくれ」

美人姉妹がこれまた隣♪
それだけじゃない! 他の部屋もみんな人妻・女子高生でウハウハ☆

「…しかし…なんで、こんなボロアパートに、わざわざ…」

出来すぎだよな。
まさか…狐に化かされているのでは?

「まあ、いいや。明日になればはっきりするだろう」

引越しで疲れた体を
布団に投げだし、睡魔が訪れるのを待った。






「………」

寝つけるはずがない。
よく考えてもみろ。
薄っぺらな板一枚で仕切られた空間。
その先には、美女たちの無防備な寝相が…


『佐祐理はぁーー、最低人間ですぅーーーーー!』


「…うるせぇ」

両隣から、間断なく続く
嬌声の嵐


『ふふ、気持ちいいかい? ――ポテト』
『ぴこぉ〜〜』
『ふふ。次はアナルを調教してやろう』
『あー、わたしもするー』
『佐祐理なんか、死ねばいいのぉぉーーーーっ!』


「………」

耳を抑えて、じっと堪える。
5000円の意味が、おぼろげながら見えてきた。






翌朝――
天晴れ日本晴れ。
きょうもニコニコ“になびた荘”

「…眠い…」

どうせ今日は休みだ。
ようやく訪れた、静かさに浸りながら、夢の世界へレッツゴー。



どんどん

『繭ー! 開けなさいー! 繭ー!』
『…ほんとうのおかあさんじゃないもん』



「………」

…五月蝿い。



どたどた

『わー! ごきごきー』



「………」

布団に頭を沈めて
下界の騒音を遮断しようと試みる。
これなら…



『へへ、奥さーん』
『ダメです、もうすぐ娘が…』
『おかあさんっ! なにやってるのっ』
『な、名雪! こ、これは…その』



「あーっ! もうっ」


ここに『安息』という言葉はないんかいっ!
…ないんだろうけど。



結局俺は、夕方まで外で過ごすこととなった。



さて、夕餉も終わり
寝ッ転がりながら本を読んでいると

「…?」

畳から、妙な匂い。
というより、見回すと、あちこちの隙間から、煙が!

「火事かっ!」
「サンマを焼いてるんだよ」
「なんだ、おどかすなよ」

ったく、ひとさわがせな。
ため息をつくと、俺は再び本に手を伸ばし…

「って、おまえ誰だっ」
「にょあ!」

お互いびっくり。
そこには、へんな髪型のガキが

「みちるの髪、へんじゃないっ!」
「…このガキ、だれに断って、人様の部屋にっ」
「にょわ、なにをするんだ。ここは、もともとみちるたちが住んで…」

大声でわめき散らすクソガキ。
つまみだそうと、手を伸ばすが

するっ

「ん?」

手は空を切るばかり

「…つーか、スケスケ…」
「いやぁ、さわるなっ! エッチ、へんたい〜」

触るどころか、
まるでホログラム映像を見ているようだった。
ま、まさか…

「幽霊かぁーっ!」
「にょわ! ひとぎきのわるいこと言うなぁ」

手を引き抜くと、その勢いのまま
あわてて部屋から脱出。

「ひぃぃ〜」

転げ落ちるように階段を下ると
裸足も構わず、一目散に、できるだけ遠くへ

「でてってやる、こんなアパート、でてってやる〜!」

必死に逃げた。



     (つづく)






実は、らぶひなって読んだことないっす(−−;
タイトルのわりには、AIR以外のキャラばっかだし(笑)

次回はラブラブな事件が!?


 ではでは。また来週。


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