真剣10代・語り場っ!



次代を担う青少年たちと大人が世代の違いや立場を超えて、さまざまな事象を真剣に討論しようという人気企画
――それが、『真剣10代・語り場』である。

きょうもまた…違う人生を歩き、歩んでゆく者たちが、互いに膝を交えてそれぞれの価値観を激しくぶつけ合っていた。


「うぐぅ、つまりだね」
「あぅー、真琴の話も聞いてー。つーか、聞け」
「みんな、落ち着いて落ち着いて」

順番順番と諭す名雪。
だが時間制限のせいもあって(はたまた他人の意見を聞けないのか)各々が勝手に喋りだし、収拾がつかない事態に陥っていた。

「観鈴ちゃんは悪くないよー。ボクだって気持ちわかるもん」
「なによー、友達できないのは本人の責任でしょー」
「ちがうよ、キミは学校という場所をよく知らないから…」
「あぅー、それとこれとは話がべつー」

白熱する議論をよそに…

「………」

話題にあがっている当の観鈴は、居心地が悪そうに論争を聞いていた。
ただでさえ口べたなのに、場の雰囲気に圧されて会話にまったく参加できていない。
隣には無表情のまま、それぞれの意見にうんうん頷く川澄舞。

「あんただって、あれ学校って言えないでしょー」
「う、うぐっ、キミだって友達いないじゃない!」
「いるもん〜♪」

ねー美汐と、向かいの席に座る少女に同意の視線を送る。

「………」

天野美汐はあいまいな表情を浮かべて、黙っていた。

「まあまあ、学校だけが人生のすべてじゃないですよ」

自称・白樺派の栞はニコニコ微笑んで、適当に相槌をうつ。
良識派を自負しているが、どうも…単純に自分の意見をもっていないのが真相らしい。

「さっきから聞いとったら、ウダウダと…」

『大人の代表』として中央の席に座る晴子が、堪忍袋の緒がブチ切れたとばかりに、立ち上がって熱弁をふるう。

「あのな、人生なんてのはなー、そもそもカッコ悪いもんや」

若者の未熟さが歯がゆいのだろう。
大声で一喝。

「恥かいて後悔しての繰り返し。死ねないから生きとるだけや! ガキの分際で分かったようなこと言うなっ」

迫力に圧倒され、議論が止んだ。
晴子は満足そうに全員を見回すし、いったん息をついで、ふたたび喋りだそうとした途端…

「…分かったように語ってるのはアンタでしょ」

みなの視線がいっせいに発言の主に集まる。
先ほどから、冷めた視線でつまらなそうに議論を見守っていた、美坂香里である。

「なんやと…」
「アンタの人生はアンタの人生。あたしとは別でしょ」

ふんと鼻を鳴らすと、バカにしたように言い放つ。
自信家の彼女にとって、他人に指摘されること自体が気に食わないのだ。

「あたしはカッコよく生きたいの。人に説教されるなんてゴメンよ」

その傲慢な態度に、晴子のボルテージは一気にMAXへと駆け上がる。

「目上の人間の話もまともに聞けんよーなアホが、語るなっ」
「…なによ…先に生まれたってだけじゃない」
「それが大事なんや。ウチら先達のなー」
「若いってのは特権なの。昔話はもう結構よねぇ?」

同意を求めて参加者を見回すも、みなあわてて視線を逸らす。
そのあいまいな態度に、香里は露骨に不快そうな顔をみせた。

「…ふん。だいたいアンタらさ、不幸自慢大会してて楽しいワケ」
「ちょ、香里…」
「おねえちゃん…」

名雪と栞が諌めようとするが、ヒートアップした香里は納まらない。
叱咤は晴子だけでなく、先ほどまで話題になっていた観鈴の態度にまで及ぶ。

「友達がなによ。人間どうせ生まれるときも死ぬときもひとりよ」
「………」
「そうやって黙ってるからさ、いいようにつけこまれるんじゃない」
「…がおがお…」

指摘は正しいが、自分も同じ轍を踏んでいることに気づいていない。
だいたい、観鈴自身が友達を欲しいと言ったわけでもなく、まわりが勝手に話を広げているだけなのだ。

「…うっ、う…」

ついに堪えきれず、泣き出してしまう。
それに乗じて香里を責め立てる、あゆと真琴。

「やーい、泣ーかしたー」
「いじめっこー」

居心地が悪さに香里は、もうガマンできないと叫んでスタスタと会場から去っていった。

「か…香里。みんな、呼び戻そうよ」
「やだ」
「ほっとけばいいじゃなーい。あんな女ー」

毎度のことながら…
議論は迷走の果てに、混乱のなか時間切れ。
FAXがそれぞれへの抗議文を、カタカタと吐き出していた。

「うう…観鈴ちん、がんばらないと…」
「…よしよし」

泣きつづける観鈴を舞が優しくなだめる。
美汐はあいかわらず、様子をだまって伺っている。

「アホもおったけど…とにかく打ち上げといこかー」

豪快にガハハと笑う晴子。

「わーい」
「ボクさんせーい」

先ほどまでの対立もどこへやら…。
現金なもので、あっさりと同意。

「そか。よーし、オトナの世界を教えたる。ミナミつれてったるでー」
「わーい」
「でも…わたしたち未成年…」

名雪は香里が去った方にちらちらと目をやりながら答える。
だが…心は、誘いのほうに傾きつつあった。

「構うかいな。人生勉強やー」


   (おしまい)

作品解説!

いい番組だよねー。
ゲーム化希望(笑)
もちろんDCでね♪



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