パトリオット





「だいたいねぇ、アメリカって国は自己中心的過ぎるのよ!」
「うんうん」
「そーだよな」

志保の批難にうなずくあかりと浩之。

「………」

レミィは笑顔のまま、それでもいくぶん気まずそうに言葉の続きを待つ。

「京都議定書に不参加でしょ? 自分たちさえよければってカンジで」
「地球規模の問題なのにね」
「アメ公バカだもんな。事の次第がよく分かってないんじゃねーの?」
「そうかもねー」

アハハハと3人大笑い。
レミィの表情がまたすこし、曇る。

「潜水艦で漁船沈めたり」
「うんうん、在日米軍は問題おこしてばっかだし」
「日本にはコメ買えとか言うくせによー、自分たちは農作物輸入に制限かけてんだぜ」
「市場が閉鎖的っていってもねぇ…日本の環境基準、クリアできないだけの話だし」
「そーよ、アメ車なんてアメ公ぐらいしか乗んないわよー」

対米批難に花が咲く。

「………」

レミィは渇いた笑顔のまま、会話を聞いていた。

「…あ。レミィ、ごめん」

その様子に気づいたあかりが気遣いをみせるが、レミィは両手を振って答える。

「ノー。べつに気にしてナイヨ。アハハ」

屈託の無い笑顔。
あかりも安心したのか、ニッコリと微笑む。

「そうだよね。…レミィは“日本人”だし」
「アハハ」

すこし困ったように笑うレミィ。
だが、彼女の瞳の揺れに、まだ3人は気づかない。

「そーよ、あかり。レミィは日本人より日本人してるもの」
「そうね」
「ムネがデカいだけのチアガールバカ娘たちと一緒にされたら迷惑よねー?」

アハハハと、3人はふたたび爆笑。

「ポテトとコーラの食いすぎで、連中バカばっかだもん」
「治安も悪いしねー」
「ほんと、あんなとこに生まれないでよかったー」
「日本バンザイ、だよな」

口々に日本が米国に対していかに優れているかを列挙しはじめる。

「………」

レミィのガマンが、もはや限界にきていることも知らずに…

「…シャーラップ……ジャップ…」






ぐさっ!

「ぎゃああああああああああああああああああああああああああ!」
「あ、あかりが!」
「やめろっ、レミィ!」

(いつのまに持ち出しだのか?)レミィの和弓によって脳天を貫かれるあかり。
浩之たちは興奮したレミィをなんとかなだめようとはするが…

「アハハ〜♪ キルジャップー!」
「や、やめ…ぎゃあ…!」
「イヤー、ヒ…ヒロがぁ…」

抵抗むなしく、惨状はさらに広がってゆく。

「アハハ、アメリカに逆らうカラダヨ☆」

声はもう届かない。
碧色の瞳に愉悦をうかべて、“黄色い獲物”たちに次々と標的を定めてゆく。

「リメンバー、パールハーバー! チャラチャーチャーチャーチャ〜ン♪」

『星条旗よ永遠なれ』を愉しげに口ずさみながら、レミィは湧き上がる愛国心への衝動に、身を委ねていった。



  (おわり)





あとがき

今度は『パールハーバー』を見てアメリカ人としてのアイデンテティを取り戻すレミィ、って話でいきましょうかねぇ(笑)

では〜

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