『一発劇場!!偽』
「・・・」
黄昏時。風景がオレンジ色に染まるその中で・・・
「遠野?」
彼女はまるでその中に融けてゆくのを願うように、彼方を見据えていた。
俺の掛けた声にも気づいた様子がない。
「・・・遠野っ!」
本当に彼女が消えてしまいそうで・・・俺はたまらずに声を張り上げる。
遠野が、ゆっくりと振り向いた。
「どうしたんだよ?こんなところに呼び出したりして・・・」
世界は黄昏のオレンジから逢魔ヶ刻の群青へと移ろうとしていた。仄かな夕日の残
滓を背に遠野が悲しげに目を伏せる。
「・・・に意味はあるんでしょうか・・・」
不意に吹きつけた風が遠野の台詞をさらっていった。俺の耳に届いたのはその言葉
の尻尾だけ・・・
「なんだって?」
「・・・ですから・・・」
*
「・・・・・・」
「・・・国崎さん・・・」
「・・・あのな」
思わずため息が漏れる。
「・・・やはりこれはこの国の未来に関わることではないでしょうか・・・」
「いや、遠野・・・」
「・・・いますぐになんとかしなければ、きっといつか取り返しのつかない事に・・・」
「・・・・・・」
遠野らしい、といえば遠野らしい。
前々からただ者では無いと感じていたが・・・まさかこれほどだったとは。
「いいか、遠野?」
俺をまっすぐに見つめる遠野から目を逸らすと言った。
「忘れろ。そんな、くだらない事は」
ぴくり
「くだらない!?何がくだらないんですかっ!?」
うわ、遠野が怒った。
つかつかと歩み寄ってくると襟元を絞り上げて怒鳴りつけられる。
「国崎さんっ、あなたはいいんですかっ!!」
「ちょ、ま、待て!遠野っ」
細い腕のどこにそんな力があるのかわからないが、なすすべも無く振り回される俺。
「何なんですかっ!『となりのあの子は大塚むすめ。あいつの彼女は大塚むすめ』って!?ただの整形女でしょう!?」
「いや、そんな事言われても・・・」
「その上、『僕の姉貴も大塚むすめ』ですよっ!?」
遠野はそれだけではおさまらないのか俺の腕を掴むと・・・
「ぎゃぁーーーー」
「いいんですかっ!?許せますかっ!?周りの女全員が改造済みでもっ!」
肩を軸に締め上げる。知っている、これは『立逆脇固め』と言う奴だ・・・ってに分析してる場合じゃない。
肩がめりめりと嫌な音を立てて軋む音が頭の中に響いてくる。
「こういう商業的詭弁を許すから日本はダメになってゆくんですっ」
「だ、だから、なんで俺に・・・そんなこと言ったってしょうが・・・うがっっ」
「・・・そういえば、そうです」
どさっ
はぁ・・・助かった。
「すみません。取り乱してしまいました」
・・・お前は取り乱すと他人の関節を極めるのか?
「まあ・・・お前が深くこの事態を憂いでいるのはわかった」
「・・・・・・」
「でもな、世の中にはどうしようも無いことだって・・・」
そこまで言いかけて・・・遠野がさっきよりも深く落ち込んでいるように見えて・・・
「・・・心配するな。あのCM見て、『じゃ、私も思いきって大塚むすめになっちゃお』
なんて思う奴はいないぞ、多分な」
思わずフォローしてしまった。
だが、遠野はまだ何か引っかかる所があるのか憂い顔で呟いた。
「いえ、やはりこういった事は出るところに出て白黒はっきりさせなければ・・・」
「なんだ?ジャロにでも電話するのか?」
「いいえ・・・」
遠野は時折見せる夢見るような表情を浮かべると・・・
「関根さんに『竹内力』で抗議してもらいます」
「は?」
関根さん?竹内力?
「ひょっとして・・・『クレーマークレーマー』か?」
「はい」(うっとり)
<おわり>
――― 雀バル雀のコメント
朱猫さん、どうもありがとうございます(^^)
う〜ん、ナイスでした〜。
CMは知らないんですが
フーゾク関係に増殖中でしょうね(笑)>大塚むすめ
…ま、まさか、あの連中も!
だってぇ…みんな顔が似てるしぃ(こらっ)
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