質量・重量・力について

 

SI単位への換算方法は換算表が手元にあれば単位換算はなんとかなります。

1(kgf)=9.8(N)なんてことはすでに十分理解しているつもりの人も多いかと思われます。

それはわかりきっているんですが、何かの製品のカタログで「重量60kg」なんて単語が漠然と出てきた場合、それは力なんだか質量なんだか従来単位なんだか大いに悩んだことはありませんか?

 

・・・・・・私もかなり悩んだ方です。(^^;) 

相当悩みました。

 

このページでは特に質量、重量、力の違いについて書いてみました。
まずはじめに表10をじっくり眺めてみて下さい。

 

表10  質量・重量・力

質量 力, 荷重

m

(kg) α(m/s2) x m(kg) (N)
αは加速度という[量]
重量(重さ), 力, 荷重 力, 荷重

W

(kgf) = 9.8 x W (N)
9.8はただの[数値]

 

  質量mがありました。その値に加速度を掛けてあげると力となります。 「質量」とよばれる量{※1}と「力」とよばれる量{※1}は全く異なるものです。当然単位も異なります。 

しかし質量に加速度を掛けてやると「力」という量に化けるのです。 物理の教科書にのっている F=mxα という式がそれです。

  上の文章は次の様に置き換えることが出来るでしょう。
  電流 i がありました。その値に抵抗を掛けてあげると電圧となります。 「電流」とよばれる量と「電圧」とよばれる量は全く異なるものです。当然単位も異なります。

 しかし電流に抵抗を掛けてやると電圧という量に化けるのです。 物理の教科書にのっているE=IxRという式がそれです。

  E=IxRのIの値は様々なものがあります。

同様にF=mxαのαだって様々な値が存在します。

 

  重量、荷重とか呼ばれるWがありました。その値に9.8を掛けてあげるとやはり力のままです。 「重量、荷重」とよばれる量と「力」とよばれる量は同じですが、単位が異なります。 「重量、荷重」は(kgf)という記号を用いる工学単位・重力単位・従来単位の世界、「力」は(N)という記号を用いるSI単位・絶対単位の世界の単位です。

  力の量を前者では重量と呼んだり、荷重と呼んだりする傾向が強いように思います。呼び方が異なるだけで量はあくまでも同等です。単位のみが異なるのです。 工学単位・重力単位・従来単位を用いた数値に9.8というただの数値を掛けてやるとSI単位・絶対単位に変わります。 1(kgf)=9.8(N)という式がそれです。1(kgf)と9.8(N)は共に力という量です。9.8という数値は決まり文句で一定です。

なぜ9.8なのか?ということはあまり考えない方がベターです。「 (kgf)を(N)に直すときは、無条件に9.8を掛けるんだ!」と意識することがよいでしょう。 9.8という数値は正確には9.80665の様ですが、9.81にしたり10にしたり文献によって様々です。精度が違うだけで、計算した結果がアバウトでよいのであれば 1(kgf)=10(N)で十分です。

  量は同等、単位のみが異なる例を紹介します。
  例えば熱量です。従来単位の(cal)をSI単位の(J)に変換するにはただの数値4.2を掛けてやります。 1(cal)=4.2(J)という式がそれです。1(cal)と4.2(J)は共に熱量という量です。 4.2 [正確には4.1868(国際カロリー)] という数値はやはり決まり文句で一定です。

 

1 量とは例えば「時間」「長さ」「角度」「周波数」「熱量」「圧力」「流量」のことです。

 

これより

工学単位

 重力単位

 従来単位

のことを代表して 従来単位と呼ぶことにします。
絶対単位 

S I単位

のことを代表して S I単位と呼ぶことにします。
重量     力    荷重 という呼び方を代表して 力と呼ぶことします。

 

表10はF=mxα、「量を変える」、また1(kgf)=9.8(N)は「単位を変える」ことを意識したものです。

それを理解したところでもう少しすっきりした表に改善し、表11を作成しました。
質量と力のみの量を扱っていることが明確になります。

 

表11 質量・力

質量    

m

(kg)  

F

(N)
         
  =  

W

(kgf)  

P

(N)

 

ここで記号について説明します。
m、W、F、Pは変数で本来数値であるべきところを記号に置き換えたものです。
本ホームページでは私が任意に決めたものです。

記号(変数) 説明
m 質量 たまたまmを用いた
W たまたまWを用いた
F たまたまFを用いた
P たまたまPを用いた

 

文献で用いられているこれらの記号は様々ですが質量を表すmのみは経験上大体共通です。
しかしこれらの記号のみがもし漠然と書いてあったならばそれが質量なのか力なのかよくわかりません。
質量を「W」と定義する人もいるかもしれません。

次にこれらの記号に単位を添えて表現してみます。

記号(変数)

m(kg)

質量
W(kgf)
F(N)
P(N)

(kg)(kgf)(N)が付くことで質量なのか力なのか明確になります。

 

次に単位系について考えます。

 

表11 力の従来、SI単位

記号(変数)   従来単位 S I単位
m(kg)   ○(△)
W(kgf)    
F(N)    
P(N)    

(N)とあったら無条件でSI単位、(kgf)とあったら無条件で従来単位です。
(kg)はSI、従来両方で用いられますが従来単位で質量という量を扱うことはSIに比較するとあまりない(なかった)と考えます。

表11を単位系で表現してみます。

 

表12 質量・力

質量

従来及びSI単位 (kg) SI単位 (N)

=

従来単位 (kgf) SI単位 (N)

 

 

  最も重要なことはどちらの単位系であろうが質量と力の区別を明確にすることです

 

 

世の中には工学単位・重力単位・従来単位・絶対単位・・・・・・と概念や呼び方が、様々でややっこしいのでSI単位に統一しようとした(された)わけです。

これにより(kgf)という単位は使用できなくなります。

 


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困ったことに・・・

◆W(kgf)は力と理解できますがfを省略し、W(kg)と記載されている文献があることです。
力でありながら質量単位の(kg)を使用しているのです。SI単位では(kg)が質量と決めているため、これでは困るのです。
力は(N)、質量は(kg)なのです。

 

◆余談ですが古い工学系文献では今でいう力でありながら(kg)を使用する替わり?に質量を(kgs2/m)と記載してあるものも存在します。

 

◆さらに余談ですが質量m(kg)の物体に加速度α(m/s2)が生じると本来ならmXα(kgm/s2)という力となっても不思議ではありません。この(kgm/s2)キログラムパーセックの2乗は読むのが大変なので、

(N)といってるんだそうです。<1990年伊藤勝悦著工業力学入門、森北出版株式会社>

 


質量と力の違い

1秒と1グラムはどちらが大きいでしょうか?

 

答えはでません。質問がおかしいのです。異なる量どうしは比較できないのです。
算術の加減乗除のうち加減できないのです。質量と力も同様で比較することができません。
質量m(kg)と力P(N)について、式の中で 
m + P  、  m - P  なんてあり得ないのです。

質量は量のみを表しますが、力は量と方向を表します。質量はスカラー量、力はベクトル量なのです。

 

表13 質量・力

単位 性質 スカラー/ベクトク 次元

質量

(kg) スカラー M
(N) 量+方向 ベクトル M・L・TΛ-2