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『今月のトピックス』(2001年1月)


「自動制御」が苦手な?あなたに!


今月から数回(回数未定)にわたり,自動制御理論を基礎の基礎から解説する.
電験3種あるいは第2種,1種受験者またはエネルギー管理士(電気)の受験者のなかにも,「自動制御はどうも苦手で出題されないといいのに.」とか「自動制御は頭から選択しないですめば選択しないことにしている.」という人は結構多いのではないかと思う.しかし,この認識は「饅頭食わずして,饅頭怖い.」ようなもので,受験対策(=効率的合格を目指す)上は好ましくないどころか大きなマイナスとなる.
もとより自動制御の理論的完全な理解は,現行の教育制度(あるいは教育レベル)では,恐らく4年制大学課程では無理と思われる.たとえば,自動制御にはラプラス変換がつきものであるが,これの本質的理解には複素関数論のマスターが不可欠であり,相当高度の数学的センス(学力)が要求される.しかし,この辺は割り切り方ひとつでどうにでもなるものである.
つまり,ラプラス変換の本質論には初めから目をつぶり,ラプラス変換の機能を使いこなせればいいとするわけである.
また,電気管理士や電験2種以上には,自動制御の安定判別(ラウスの判別法・フルビッツの判別法・ナイキストの判別法…(裏話)もともとはナイキストの判別法は電子回路の発振の判別に使用されたものである.)が出題されるが,この場合も安定判別の本質論には取りあえず目をつぶり,パターン学習により問題の解答を処理できればいいとするのである.このように,適切な(?)割り切りにより,自動制御は易しいもの,点が取りやすい科目であると思う(思いこむ)としめたものである.今回以降の講義でこの具体的な割り切り方や独学ではなかなか分かりずらいことに重点をおいて解説していくことにする.

[伝達関数の考え方]

  
フィードバック制御系の基本構成は第1図のように表される.
[前向き伝達関数;forward_transfer_function]
第1図中のG(s)では信号は左から右の向き(=順方向=前向き)に流れる.この意味からG(s)を「前向き伝達関数」という.
[後ろ向き伝達関数;backward_transfer_function_or_feedback_transfer_function]
第1図中のH(s)では信号は右から左の向き(=逆方向=後ろ向き)に流れる.この意味からH(s)を「後ろ向き伝達関数」または「フィードバック伝達関数」という.
[開ループ伝達関数;open_loop_transfer_function]

第2図のようにループを一巡する場合の伝達関数を「開ループ伝達関数」または「一巡伝達関数」という.第1図における開ループ伝達関数は,G(s)H(s)である.
[閉ループ伝達関数;closed_loop_transfer_function]

第3図において,入力はX(s)で出力はY(s)である.この入力・出力間の伝達関数を「閉ループ伝達関数」または「総合伝達関数」という.
第3図の閉ループ伝達関数は,G(s)/{1+G(s)H(s)}である.[*ホームページの書式;HTML=hiper_text_markup_languageでは分数表記が出来ないので本ページではカッコ;(),{}等とスラッシュ;/を組み合わせて分数を表すことにしている.読者は普通の分数表記に直して学習されたい.]
閉ループ伝達関数;Y(s)/X(s)=G(s)/{1+G(s)H(s)}は基本公式として覚えておく必要がある.
ど忘れ対策も兼ねてこの公式の導き方を説明しておく.

第4図において, E=X−HY…@
GE=Y…A
@式×G=A式より,
GE=GX−GHY=Y,
∴GX=(1+GH)Y…B
B式を変形すれば,
Y/X=G/(1+GH)
となる.
うろ覚えの場合には,この手法を使って確認すればよい.[電験の学習に限らずどのような勉強においても,公式を丸覚えするより,ある程度公式を導き出すような学習をした方が理解も深まるし次のステップにも楽に進めるものである.]

[練習問題]



(1)第5図において,(a),(b),(c)および(d)の各場合の総合伝達関数を求めよ.
(2)G1=2/(1+s),G2=1/(1+2s),H=1/sとしたときのそれぞれの場合の総合伝達関数を求めよ.

[解答]


次回までの宿題にしておきます.基本ルール通りにやれば簡単なので恐れることはありません.

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