日本語は何処から来たか

日本語の特長


 日本語は我々が習う第一外国語、第二外国語の英語、フランス語、ドイツ語などの言葉とはだいぶ違っている。まず、単語の順序が違っていて主語や述語の順序が違っている。文字も漢字、平仮名、片仮名、数字、アルファベットなどいろいろな文字を使っている。また日本語の発音は子音+母音になって子音が二つ続くことはないが欧米語では子音が二つ続いたり子音で終わったりする。
 日本語の文字は漢字、平仮名、片仮名、アラビア数字を主に使っているが、漢字は中国の文字を借用して音読み、訓読みの二通りの読み方がある。漢字は五世紀の始め、中国の王仁(わに)が論語と一緒に日本に伝えたが、日本語に多大な影響を与えた。さらに、片仮名、平仮名はその漢字から作ったと言われている。現在の日本語の文章を読んだとき最も影響している言葉は単語の率で見ると中国を起源とするものが大多数だ。しかし日本語の起源が中国だと言う人はいない。
 このように日本語の起源を探すにはただ単に単語が似ているだけでは圧倒的に中国が起源ということになってしまう。やはり日本語の起源を見つけるには日本語と@文法が似ている、A音韻の規則が似ている、B基礎語彙が似てるの三つが似ていなくてはならない。
 また、言葉は時代と共に少しずつ変化していくために日本語の起源を探るには古い日本語と他の古い言語の比較をする必要がある。日本は他の民族に攻められ植民地になったこともなくその国の言葉を強制されたこともなさそうなので、日本の最も古い時代の文献である「万葉集」に使われている日本語が最も参考になりそうである。この「万葉集」の日本語を「万葉語」と言うこともある。
 日本語の起源の議論は日本人にはとても興味を引くテーマであるようで、江戸時代から盛んになり江戸中期の儒学者・新井白石は日本語と朝鮮語は似ていて日本人は朝鮮半島の朝鮮人の末裔(まつえい)で、日本語も朝鮮語の起源をもつと言った。その後アイヌ語説、ツングース語説、満州語説、蒙古語説、ギリヤ―ク語説、ポリネシア語説、メラネシア語説、レプチャ語説(ヒマラヤのシッキム国)、タミール語説(インド南部)、トラビヴィダ語説(インド南部)などいろいろな説が氾濫している。
 ウラル・アルタイ語という言語学上の分類がある。アルタイ語は日本語、朝鮮語、ツングース語、満州語、蒙古語、トルコ語、タタール語などを言い、またウラル語はフィンランド語、エストニア語、ウゴル語、サモイェード語、ハンガリー語などが含まれる。これらの言葉は日本語とほぼ同じような語順で構成され英語、フランス語、ドイツ語などと違った単語順になっている。ウラル語は全部の人数を集めても話す人数は日本語の1/5と言われている。
 日本語は一国一言語使用であるが、一国一言語の国は日本と韓国、北朝鮮くらいで、多くの国は国内に多くの言語を使用している。パプア・ニューギニアやインドネシアでは各々500言語くらい使用しているようである。それらの国々では国語も数言語、公用語もさらに加えて数言語あると言う。インドの紙幣では15種類の言語で二ルピーと書いてある
 しかし、日本語に近い言語として江戸時代以前を考えると、日本語(万葉語)、琉球語(琉球国)、朝鮮語(高句麗語、百済語、新羅語、耽羅国(済州島)語)、アイヌ語、タミール語、等を考えなければならない。現在分類できるのはこの程度で、九州から韓国近辺がこの日本語の起源の謎を解く鍵を握っていそうである。
 

朝鮮語と日本語

主語述語の順序が同じで、文法上もかなり一致する。疑問文には「〜か?」、命令文には「〜せよ」等は全くそっくりと言っていいほどである。 
数(ひ、ふ、み、よ〜)も高句麗語は日本語と同じであったが高句麗や百済が滅ぼされてこの言葉は無くなってしまったという説がある。人体語も下記のような一致が見つかっている。 
 「友達じゃない」は韓国の古語(百済、高句麗語)では「ドンモダルジャヌイ」だそうだ
その他韓国語の古語と日本語の古語には多くのルールがあり
b系
  ボグム ⇒ ふくむ(含む)
  パダ ⇒ わだ(海)
  パダクチ ⇒ わたくし(私)
  ボビ ⇒ ほうび(褒美)
  バチルア ⇒ はしら(柱)
p系
  パパ ⇒ はは(母)
  ペナ ⇒ はな(花)
j系
  ジャジャ ⇒ さあさあ
  ジャンチ ⇒ さち(幸)
d系
  ドゥク ⇒ つか(塚)
  オゥドレ ⇒ いずれ(何処)
ch系
  パダクチ ⇒ わたくし(私)
  バチカム ⇒ はじかみ(山椒、生姜などの古名)
ng系
  トン ⇒ どう(筒)
  ドンボン ⇒ とんぼう(そこつ者)
等のルールがあるという。
また身体語には
  アタム(一番端の丸型の物) ⇒ あたま(頭)
  ばな(突端) ⇒ はな(鼻)
  マンヨル(小さく丸く固まった物) ⇒ まゆ(眉)
  マチゲ(合わせ毛) ⇒ まつげ(睫毛)
  アグ(顎) ⇒ あご(顎)
  ムトナ(出っぱっている所) ⇒ むね(胸)
  パルダ(吸うもの) ⇒ ぱい(おっぱい)
  バル(原) ⇒ はら(腹)
  ベソ(腹中) ⇒ へそ(臍)
などがある。  *:日本語の真相、1994年、文芸春秋文春文庫、李寧煕著

 もちろん語順は同じだし、非常に良く似ていてかなりの言葉が古代韓国語と古代日本語は共通の語源を持っているように見える

アイヌ語と日本語

 アイヌ語は文字が無かったと言われており、江戸時代の陸奥に住んでいた言われているアイヌ人のアイヌ語の記録は無く、征夷大将軍によって討伐され日本語に変わってしまったようである。残っていた北海道のアイヌ語は明治政府が入ってから初めて記録された。そのため古代にどのような言葉だったか想像の域を出ない。古代にはどの辺までアイヌ人が住んでいたのかも定説が無い。しかしアイヌ語は日本語と語順はだいたい似ているが韓国語よりも似ていない。
「あの人 は 誰 ですか ? 」 は 「 Toankur hunna an ? 」
(とあんくる  ふんな  あん? )」 (訳 あの人  誰  ですか ) で日本語と順序は同じです。
 「明日 何処に いきますか?」 「 Nisatta  hunak  un  earpa?
(にさった  ふなくん  え  あらぱ?)」 (訳 明日 どこへ 君 行く?)  
  ちょっと順序が違いますが、日本語でも「明日どこにあなた行きますか?」も使うことがあります。 またアイヌ語には人称変化があり「私がウサギを捕まえる」と「彼がウサギを捕まえる」での「捕まえる」は違った動詞を使います。
だから「目は口ほどにものを言い」という諺は人称毎に言わなければならなく、短くは言えない言語だそうです。 

琉球語と日本語

 琉球は琉球王国だったものが江戸時代に薩摩藩に支配下になって日本に編入されました。しかし、琉球語と日本共通語とは整然とした音韻の対応があるそうです。
 例として日本共通語の「h」は琉球語の「p」に対応していて、「歯」はハ⇒パ、「旗」はハタ⇒パタ、「畠」はハタケ⇒パタケ、「墓」はハカ⇒パカだそうです。やはり日本語の一方言だなという感じがします。
 古代の日本語はP⇒F⇒Hと変化してきたそうですが古代の日本語の発音を残しているとも言えそうである。そういえば韓国でもPとFの区別が日本の発音と違い「コピー(copy)ください」と言うとコーヒー(coffee)を持ってきます。同じように「ファッション」を「ペッション」と聞こえるような発音します。

タミール語と日本語

 タミール語はインドの南端のタミルナードという州があり、そこに住んでいる人種がタミル人で、そこで話されている言語がタミール語です。このタミール語を話すタミール人は五千万人の人口があります。  タミール語は大きくはインド南端で話されるトラヴィタ語の一種と考えられている。トラヴィタ語にはタミール語、テルグ語、カンナダ後、マラやラム語の四つがある。もちろん言葉は全て日本語と同じ順序である。
比較表を「日本語の起源」から引用すると。

日本語      東京弁      琉球宮古島弁    タミル語
歯          ha         pa           pal
旗          hat-a       pat-a         pat-am
畠          hat-ake      pat-aki        pat-ukar
果て         hat-e       pat-i          pat-u
初          hat-u       pats-u         pat-u
幅          hab-a       pab-a         pama-al
晴れ         har-e       par-a         par-a
貼る         har-u       par-u         parr-u
張る         har-u       par-u         par-u
墓          hak-a       pak-a         pokk-anai
櫃          hits-u       pits-u         pett-i
舟          hun-e       pun-e         pun-ai
という具合でこの本では、対応する基礎語が500近くありその内300語ほど載っている。感心するほど良く似ている。 また、五七五七七の韻律までもが同じだと言う。
 しかしタミ-ル語を話す地域とは約7000km離れているので容易に世の中に受け入れられてない。
 またこの本によるとタミール語と朝鮮語も400語ほどの対応があると言う。

参考文献:大野晋著、「日本語の起源」新版、岩波新書、1994年

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