サンクト・ペテルブルグの北東約350kmに位置するヨーロッパで2番目に大きいオネガ湖、その
北方湖上に浮かぶ小島キジ−はロシヤの古い木造建築の宝庫である。このうちとりわけ圧巻は22の玉ね
ぎ型ドームを持つプレオプラジェンスカヤ聖堂である。この聖堂の最上部にあるドームは地上からのさ
37メートル、700立方メートルの木材を使い、1714年に竣工された。ロシヤ正教の聖堂は玉ねぎ型ドー
ムがその象徴とされるが、このドームを木材で実現したところにこの聖堂の凄さがある。
ドームの屋根板はヤマナラシ材で、40年に一度貼り替えられると言う。また壁体は丸太組みで、アカ
マツ丸太が使われている。2002年現在、老朽化が進んでいて、観光客は内部に入ることはできない。し
たがって、荘厳な雰囲気で知られる聖堂内は、残念ながら見ることができない。ユネスコからも修理の
必要なことが指摘されているが、老朽化した建物をどのように修理するのかは大難題で、種々検討され
てきたようである。
その結果、いよいよ来年から修理が始まると、現地のガイドの話である。建物の上
部を持ち上げ、老朽化の一層進んでいる建物下部の部材の補修あるいは取替えを行ない順次上方を補修
していくという。難航が予想される修理が一日も早く完了し、今後も末永くこの聖堂の勇姿が見られる
ことを期待したい。
この聖堂に隣接して敷地内には二つの建物がある。前述のプレオプラジェンスカヤ聖堂が夏季に使わ
れるのに対し、冬用のボクロフスカヤ聖堂が1764年に建てられた。またこの二つの聖堂を結びつける目
的で、八角形の鐘楼が建てられた。鐘楼はしばしば火災に見舞われ、現在の建物は1862年に復元された
ものである。
これらの聖堂、鐘楼の敷地に隣接した南側に、キジ−島周辺のみならず、ロシア北部から伝統的な木
造建築が移築された。その中の一つ、ラザロ復活聖堂は1300年頃の創建とされ、ロシアに現存する最古
の木造聖堂といわれている。この聖堂がこのように長く保存されてきたのは、移築前、この建物は大き
な聖堂内に建てられていて、風雨に曝されることがなかったためであるという。
オネガ湖から見たプレオプラジェンスカヤ聖堂(左)、
鐘楼(中央)、ボクロフスカヤ聖堂(右)
プレオプラジェンスカヤ聖堂全景
プレオプラジェンスカヤ聖堂の玉ねぎ型ドーム
応急の添え木が施されているプレオプラジェンスカヤ聖堂壁面
鐘楼(左)とボクロフスカヤ聖堂(右)
ラザロ復活聖堂全景
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