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コンデンサの容量を測る
小型のトリマコンデンサやチップコンデンサなどは、容量表示が無いものがほとんどです。
部品箱の中に適当に放り込んでおくと、使いたいときに容量がわからなくて困ってしまいませんか?

最近は、デジタルテスタも安いものがたくさん出ています。
2000円以下のものもいくつか出ていますし、1000円で買えるものまであるようです。
こんな安いデジタルテスタでも、アナログテスタに比べて、
・入力抵抗が高い(低電圧レンジでも、1MΩか、それ以上あるので被測定回路に影響を与えない)
・分解能が高い(フルスケールが'1999'でも1/2000。アナログテスタでは1/100〜1/200が限度?)
などのメリットがあります。
そこで、安いデジタルテスタで、小容量のコンデンサが測定できるアダプタを作成しましょう。
例によって、なるべく「簡単」「小型」「軽量」「安価」を目標に...
どうでもいいことかもしれないけど、3-1/4桁とか
3.5桁とか3-3/4桁ってどういう意味か知ってますぅ?
例えば、'3999'表示のものは何桁?
'3999'の'3'は'、0'から'9'の10通りのうちの'0'から'3'の4通りだから、3-2/5桁じゃないの?(って、そんな表示見たことありませんけど...)
実は、デジタルテスタの内部は2進法ではなく、2進化10進法(BCD:BinaryCodedDecimal)で表現されています。
・10進の1桁ごとに、2進の4桁を使う。
ということで、つまり、
・'0'から'9'までは'0000'から'1001'となる。(普通の2進と同じ)
・'10'は'1010'ではなく、'0001 0000'と、つぎの2進4桁にくり上がる。
ということは、
・'3999'は'0011 1001 1001 1001'と表現できる。
だから、'3'は2進4桁のうちの2桁(2ビット)あればたりるから「0.5桁」で、'999'の3桁をプラスして「3.5桁」、同様に、'1999'は「3-1/4桁」、
と言いたいところだけれど、デジタルテスタは「マイナス」の電圧も計れるので、符号の分にもう1ビット必要で、
・'3999'表示のものは'-3'から'3'で3ビット(3/4桁)必要なので、「3-3/4桁」
・'1999'表示のものは'-1'から'1'で2ビット(2/4桁)必要なので、「3.5桁」
ということでした。なんかややこしいねぇ。(最近では「4000カウント」とか「50000カウント」という表現も増えてきました)

これが、「C-メータ・アダプタ」の回路です。
電源は9Vの乾電池です。PICを使用しているので、5Vが必要ですが、消費電流が1mA以下なので、S81350などのC-MOS3端子レギュレータで安定化しています。
(78L05などは数mA消費します)
被測定コンデンサ(Cx)を接続するコネクタは、ICソケットなどを利用し、いろいろな端子間の幅に対応できるよう、5端子くらい用意します。
D1、D2は小電流スイッチングダイオード(1S1588や1S4148など)。
測定レンジは、フルスケールが
・100pF
・1000pF
・0.01μF
・0.1μF
・1μF
の5レンジで、出力は100mV(フルスケール)です。
つまり、例えば100pFレンジで100pFを接続すると、100mV出力されます。3.5桁のデジタルテスタの場合、普通200mVレンジにして接続するので、
このとき200pFまで測れますが、この回路はあまり直線性がよくないので、100pFや50pFまでにしたほうが誤差が少なくなるでしょう。
レンジ切り替えスイッチは、ロータリースイッチでもよいのですが、小型のタクトスイッチを4個並べてもよいでしょう。
出力は、電源のマイナス端子が、テスタのプラス端子となるので注意が必要です。
また、液晶表示のデジタルボルトメータ(DVM)モジュールなどを接続する場合、DVMの電源が9Vの場合でも、このアダプタの電源と共有するにはかなりの工夫が必要です。
(一般的にDVMの入力範囲は、プラス、マイナス端子ともに電源電圧の範囲内で、しかも、電源電圧より狭くなっています。)
PICはマイクロコンピュータ(Microchip社ではマイクロコントローラと呼んでいる)なので、クロックオシレータが必要ですが、ローコスト化のため、
内部RCオシレータの設定にしてあります。
動作原理は、それぞれのレンジに対応する周波数の方形波を、C-Rに通したときの充放電電流を、ダイオードで整流して出力し、そこからCの容量を測定します。
しかし、C-Rの直列回路の充放電電流はCの容量に比例しません。
そこで、C-Rの時定数を、方形波の周期に比べて十分に短い時間にすることによって、直線性を確保しています。
ただし、それでも完全な直線にはなりません。 そこは、簡易型ということで、目をつむることにしましょう。
レンジの切り替えは、発生させる周波数を変えることによって行っています。
PICは単なる方形波発振機として使用していますが、汎用ロジックICや発振用ICに比べ、小型化でき、コストも決して高くはありません。
ソフトウェアは単純で、スイッチの入力によって、100kHzから10Hzまで切り替えて出力するだけです。
ただし、タイマなどを使わずに、全てソフトウェアループでタイミングをとっているため、少々計算が必要です。
回路ができあがったら、使用前に校正が必要です。
もともと、それほど高精度を目標としていないので簡単に行います。
校正に使うコンデンサは、ポリプロピレン・フィルム・コンデンサがよいでしょう。
フィルムコンデンサの中で、最も安いポリエステルフィルムコンデンサの次くらいに安いコンデンサですが、許容差が±5%のものがあります。('J'表示は5%、’K'表示は10%を表します)
このアダプタは、温度特性があまり良くないので、なるべく使うたびに校正したほうがよいでしょう。
PICのオシレータ用の端子を、出力ポートとして使用していますので、レンジを1つ減らすなどすれば、セラミックまたはクリスタル発振にすることができて、温度特性がかなり改善されます。
また、レンジ間の誤差より、直線性のほうが気になるので、レンジごとのコンデンサより、レンジ内で数種類のコンデンサを用意したほうがよいかもしれません。
 
このアダプタの完成基盤です。
15x15穴のユニバーサル基盤に収まるくらい、小型化できました。(3端子レギュレータは取り付けてありません)
右の写真は、このアダプタとデジタルボルトメータキットを組み合わせたものです。
MAX136が使用してありました。
ICL7116やICL7136もほぼ同様ですが、このLSIは、電源のプラス端子を基準に、-5Vが出力されています。
そのままでは、取り出せる電流がかなり少ないので、トランジスタで電流増幅してこのアダプタの電源に利用しています。
また、アダプタの出力はマイナスなので、DVMのIN HIをPICのVssにして、IN LOをアダプタの出力に接続しています。
内部回路の不明なデジタルボルトメータでは、このように電源を共有することはできませんので気をつけましょう。
使用するPICには以下のプログラムを書き込みます。(C-MeterHEX.zip)
ダウンロード後、解凍すると2つのHEXファイルができます。
PICに12C508A/509A 12F508/509を使用する場合
・C-METER509.HEX
PICに12F629/675を使用する場合
・C-METER675.HEX
使用するPICに合わせてHEXファイルを選択しPICに書き込みます。
> HEXファイルのダウンロード <
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