ラジオ展示室「未整備ジャンク品5」
未整備品、その5ページ目。珍しい物を見るとついつい買ってしまいますが、整備する時間がありません。
【J51】松下無線(National ・現:松下電器産業) KS-2型(國策二号) 1940年頃(昭和15年頃)
使用真空管:57,58,26B,12A,12F
受信周波数:550-1500KC
定価:45円00銭

松下無線の國策2号型。戦争の拡大に伴い、国に協力するという名目の下に各社が似たような名前で発売した物のうちの一つです。國策2号とは松下の商品名で、後の統制規格の名称ではありません。内部の作りは高級機種のため大変立派で、国策とは名ばかりです。高周波1段、低周波2段増幅の5球式、コストダウンも省資源化も敗戦間際に比べるとまたまだ甘く、ラジオ自体もかなりの重量があります。正面右下つまみが不正規ですが他は欠品も無く、程度は良好です。
【J52】松下無線(National ・現:松下電器産業) 新Z-2型 1938年頃(昭和13年頃)
使用真空管:56,26B,12A,12F
受信周波数:550-1500KC
定価:24円00銭

松下無線の新Z-2型。製造から70年近く経過していますが、非常に状態が良く、まるで新品のようです。おそらく殆ど使われないまま、何らかの事情で仕舞い込まれたと見られます。保管した場所が良かったため、錆も木の腐りも無く美しいのですが、このままでは動きません。真空管は56,26B,12A,12Fで、感度は良くないはずです。

松下無線のZ-5型。外観は傷みも少なく年代並みですから補修は楽そうですが、左下つまみが欠品しています。47Bの代わりに3YP1が入っているため、戦後も遅くまで使われていたと思われますが、修理した形跡は無いようです。ダイナミックスピーカーを搭載した高級機種で比較的珍しいのですが、再生式ですから音は良くないはずです。青いビニール電線が持ち込まれており、誰かがスイッチを繋いでみたようですが、スイッチを繋いだだけで鳴る事はありません。

松下無線の小型受信機で、当時はいわゆるミゼットと呼ばれた型です。初段は24Bですが、3球式ですから強電界地域でないと実用にはなりません。この頃の製品はキャビネットが頑丈で立派な物が多いので、虫にも食われず比較的傷みが少ない状態で出てくることが多いようです。このラジオも状態は良く、回路もオリジナルを保っています。このラジオがナショナル一連の国民*号のはじまりなのか、別に国民1号があるのかは分かりませんが、とりあえず買った物です。
【J55】大阪變壓器(HELMES・現:ダイヘン) 401號型 1935年頃(昭和10年頃)

ヘルメスの小型受信機で、これも所謂ミゼットと呼ばれる物です。これは4球式ですが、オール三極管のため強電界地域でないと実用にはならないでしょう。真空管は27A,26B,12A,12Bで、珍しくオリジナルのまま残っています。状態は良く欠品なし、回路もオリジナルを保っているようです。キャビネットは日本楽器製造(ヤマハ)製です。ヘルメスの製品はデザインが良い物が多く、優美なデザインの製品はオークションや骨董市で高価になりがちです。しかし、中身が改造され元に戻らなければラジオとしての価値がありませんから、見つけても飛びつかずに慎重に選んだ方が良いでしょう。

ヘルメスの小型受信機で、これも所謂ミゼットと呼ばれる物です。これは四極管を使用しているので401型に比べると感度はかなり良いはずです。船の飾りが美しいキャビネットは日本楽器製造製。真空管はオリジオルの24Bが1本、57にソケットごと変更されていますが、元に戻すのは難しくないはずです。真空管は私が外して磨いたのですが、在庫球の中に紛れてしまいました。

早川金属工業の55型受信機「鳥取号」。24B,24B,47B,12Bの4球式で回路は特に珍しい物ではありません。全体的に状態が良いのですが、頭の部分の木が剥がれているのが悔やまれます。傷が白いため最近剥がれたと思われますが、破片は残っていません。付いていた真空管は57S,24B,27A,12FKで、出力管にはなんと27Aが刺さっています。戦時中応急処置として刺した球がそのまま残ったのでしょうか。27Aで音が出るのか試してみたいところです。57Sと80HKは新品同様なので、戦後真空管を交換してからすぐに使われなくなったと推定できます。写真のような鳥取号の銘板付きで、実際に米子市から出てきた物です。

林信一商店のラジオで、所謂カセドラル型と呼ばれる物です。丸屋根のラジオはアンティークラジオの代名詞の様なイメージですが、流行した時期が1932〜1935年頃と比較的短く、ラジオ自体が庶民には買えない高価な商品ですから、残存数は多くありません。このラジオは当時多かったラジオ商発売の製品で、真空管は27A,26B,26B,12B、出力管は当時廉価版として使用された26Bです。つまみが1個欠品、状態は悪くありませんが、きちんと修理しようとすると大変な手間がかかります。

滿洲電電の受信機。銘板が失われ、形式・製造年が分かりません。唯一、満州電信電話のマークのみが、このラジオの生い立ちを語っています。当時現地で使われ、何らかの理由で日本に帰って来た物か、終戦の際に現地から引き上げてきた物かは分かりませんが、おそらく前者であろうと思われます。空襲にあったのか、キャビネットが左上が一部燃えて穴が空いていますが、ラジオは生き残りました。いつか修理してあげたいと思っています。

これも滿洲電電の受信機。オリジナルは57,26B,12A,12Bの4球式ですが、出力管がソケットごと6V6-GTに交換されています。また整流管は12Fに変更されて、もはや原型はとどめていない感じです。使われた12Fと6V6-GTはなんと中国製?で、このラジオが戦後大陸に残された後、何らかの偶然で帰国したと思われますが、謎は深まるばかりです。回路を元に戻す事はもう出来ないかも知れません。