【例14】三洋電機 SS-70の修理
今回は新潟の方から依頼のラジオを修理することにします。このラジオは昭和33年頃の三洋電機SS-70型で、回路としては特に珍しい物ではありませんが、デザインに人気があり、比較的高値が付く機種です。ダイヤルの中心にマジックアイを配したデザインが人気の理由でしょうか。
【故障内容】
【修理】

【2】裏蓋を外して、セットの後ろを観察します。真空管は左から12BE6,12BA6,12AV6,35C5,35W4です。マジックアイは6E5で、これだけは単巻トランスからヒーター電源を取っていますが、他はトランスレスです。全く鳴らないのですから、真空管を全部外して他のラジオに刺してみましたが、テスト用のラジオでは真空管は問題なく動作しています。よって真空管が原因ではありません。

【3】底のネジを外してシャーシを引き出します。スピーカーの線の長さは十分ですから、このまま作業をすることにします。ヒューズが2本入っていますが、このラジオはこれが正解です。ただし、錆が発生して劣化しているようですので、ヒューズは後ほど交換することにします。

【4】シャーシを裏から見ます。目立つ故障はありません。部品もとても綺麗です。この状態で全ての抵抗をテスタで測定し、抵抗が切れていない事を確認しました。時々、電源の抵抗が断線して全く動かないラジオに出会うことがありますが、このラジオはそうではないようです。ついでにスピーカーと出力トランスの断線の有無も見ておきます。これも問題ありません。

【5】電源の電解コンデンサのテストをします。松下電器BL-280の修理と同じく、高圧安定化電源と電流計を接続して電解コンデンサの状態を見ます。結果は良好です。容量抜けもなさそうなので、このまま使うことにします。

【6】電源を入れて確認する準備が整いました。ラジオのPU入力にCDプレーヤーを接続し、音が出るかを見ます。これで音が出れば、電源から出力管周辺は生きているという事です。結果、問題なく音が出ますので、低周波部分は生きているという事になります。時々、ボリウムや切替スイッチの不良で鳴らなくなるラジオがありますが、このラジオでは問題ありません。よって、高周波側に不具合があると見られます。


【8】仕方ないのでオシロスコープなどで信号波形を追う事にしましたが、なんとシャーシを裏返しにしたとたん、正常に動作するようになりました。シャーシを元に戻すと鳴らないのです。これは必ず再現し、ある角度にシャーシを傾けると動くようになります。こんな時は何かショートしているか、断線しているか、真空管が悪いかですが、真空管が悪くないことは分かっています。従って、断線かショートのはずですが、いくら中を見ても分からないのです。相当長い間色々とやった末、写真の部分を突くと動かなくなる事が分かりました。

【9】アンテナコイルが邪魔ですから外してよく観察します。バリコンゴムが溶けてシャーシとバリコンが近づいていますが、バリコンのアース側はシャーシから浮かせてあるようです。
