Part−T 1.誕生秘話

東京近郊のとある研究室で、やがて訪れるであろう食料不足解決のために、数人からなる研究開発チームが行動範囲の広いミツバチを作るための遺伝子組み換え技術に取り組み始めました。

彼らの研究は、DNAのどの部分がどんな役割にかかわりがあるのかを探り当て初歩から始まったのですが、どんな研究でも最初は何処から手をつけてよいのか判らない手探り状態ですが、1つ1つの部分を順番に当たりつぶしてゆく気長な作業でした。

普通ミツバチはミツバチ科,ミツバチ属,ミツバチ類に属し、人類とに関係は遠くメソポタミア・エジプト・インド文明から続く物で、ご存知の通り産み落とされた卵のときは同じでも、育てられる環境の中でそれぞれ役割の違う、女王蜂・オス蜂・働き蜂などに変化して、女王蜂を中心とする数万匹くらいの社会を形成して生活するのですが、ある日偶然に偶然が重なり、まだ名前のない女王様とだけ呼ばれる女王蜂と10数匹の蜂が誕生したのです。

彼らはアクリル製の透明な箱の中に入れられていたのですが、取り組んでいる研究は最先端であっても、お金をかけていないボロイ研究所に春1番の吹くある日、一人の主任研究員Aが「今時研究室でストーブ」と言われるかもしれないが、そのストーブを片付けようとして躓き箱にぶつかりひっくりかえしてしまったのです。

当然箱は壊れ、中に飼われていた蜂たちは箱の外へと逃げ出し、どじな主任研究員Aの頭上を飛び回り、Aはこれに驚き扉開き部屋の外へ逃げ出し、蜂たちもAを追いかけるように部屋の外へ、研究所の外へと飛び出して行ったのです。

もちろんこの失態は、Aから所長へと報告はされたものの、見た目は他のミツバチに比べ大きいだけで、何処といって代わり映えのしない姿形であったが故に、Aが所長から怒鳴りつけられただけで、この一件は外に知らされることなく片付けられてしまったのです。

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