
この写真を撮ったのは数年前の事である。函館の道路をバスで揺られながら「左手に恐山が見えます」とバスガイドさん(添乗員だったか?)の声により慌ててシャッターを切った。だから多分遠くに見える山のどれかがかの霊山に違いない。けれども現像もせずに何年もほったらかしにしていたつけがきて、僕の記憶はそれがどの山なのかを特定する事はもはやできない。
恐山に関しては学生時代”地獄絵”を見に行ったある寺で出会った御老体に「あそこでは昔別れた人に会えるというからなあ。ワシも行ったことがあるんだ」というような話しを聞いたのを思い出した。これは十年以上前の出来事だから、詳しい内容はすっかり忘れてしまっているが、御老体が少し照れたような笑みをした事に感銘を受けて”地獄絵を見に言ったつもりが、とんでもなく素晴らしいラブストーリーを聞くことになった”という結びのエッセイを書いた記憶がある。当時としては割と気に入っていたのに、肝心のノート(原稿用紙だったか?)はどこかにいってしまっていて、これももう読み返す事はできない。
