家内の使っているハサミを見たら青鋼とか青紙と表示がしてありました。
これは使っている鋼が日立金属の安来工場で生産される鋼で安来鋼と呼ばれています。
安来鋼は島根県のこの地区で生産され、直接製鋼法という一旦銑鉄を作るという工程をへずに直接、鋼を作りだされます。通常、和鋼と言われます。
この鋼には鋼種の識別のため白いラベル、黄色いラベルと青いラベルが貼られました。
白と黄色は一般にいわれる工具鋼の仲間で、黄色は高純度炭素鋼、白色は超高純度炭素鋼です。
青色は、さらにタングステンとクロムを添加した超高純度合金炭素鋼です。

山陰地方は昔から砂鉄がとれ古代から産鉄地域でした。
神話にある、高天原を追放されたスサノオノミコトがこの地にきて、ヤマタノオロチを退治し、クシナダヒメを助けた話は有名です。
退治したヤマタノオロチの尻尾から刀が出てきて、これが後にヤマトタケルミコトが使用し、天皇家の3種の神器になった草薙剣です。
このことから、このヤマタオロチの話は、古代の鉄資源の争奪戦を表しており、八つの頭をもつヤマタノオロチとは、産鉄のための炭用木材の伐採で氾濫しやすくなった斐伊川のことだという説もあります。
いずれにせよ、この地は鉄資源の争奪や、産鉄族とふもとの農民との争いは絶えなかったことだとうとおもいます。

私の視点
この安来鋼をつくっている、日立金属株式会社の前身は、明治に設立された雲伯鉄鋼合資会社で、出雲特産の砂鉄から鉄を得る和鋼造りの技術を持っていました。その後、日立製作所に吸収され、さらに日立金属株式会社と社名が変更されて今に至っています。
日立金属株式会社は、この地の利を生かし、真砂を原料とした和鋼の製法を受け継ぎ、今日に至っています。
ここで生産される薄い鉄板は、ジレットやシックやウイルキンソンなどでも
使われ、世界の髭そりは安来鋼で作られているとも言えます。
神話の世界から今の鉄鋼業がつながっていると考えると面白いです。
ものづくりは、風土に根ざしている部分も多いことを認識し日本のものづくりの特徴を生かして行きたいものです。

この鋼は鋏や包丁などに使われます。
また、なかでも原料の鉄に砂鉄を使い、タタラと呼ばれるフイゴと製鉄炉で創造された鋼を特に玉鋼といい日本刀などに使われます。

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安来鋼のハサミ